チッチョ・パスティッチョ

大桐 幸介 氏

 最初はコックになりたかったんです。大学卒業後、たまたま知り合いに紹介してもらったところが、札幌にある『パールモンドール』というケーキ屋さんで、自分でも好きでよく食べていた店だったんです。そしてそこにいれてもらいました。その後、イタリアに渡りました。何故、イタリアかというと、もともとイタリアの料理が好きだったのと、子供の頃からイタリアの車が好きで、とにかくイタリアに憧れていました。だから、最初からイタリアに行きたいと思っていたんです。そこへイタリアに渡る話がでて、「ん、じゃあ行くか!」っていう感じでしたね。イタリアでは、レストラン2軒の他、ケーキ屋『ジリオ・ビアンコ』で働きました。

 91年に函館に戻り、西武百貨店に出店していた『六本木クローバー』でたまたま人を募集していたので、約4〜5年働きました。その後、1997年4月に今の店をオープンしたんです。
はじめ自分の店でパンナコッタやティラミスは作ってはいたけど、イタリア菓子を出すことはあまり意識していなかったんです。でも、どっから聞いてきたのか、だんだんまわりのお客さまたちから「イタリアのお菓子屋さんなんでしょ」という声が聞こえてきたんです。それで、やはりイタリア菓子かなぁ…と思うようになって今の品揃えになったんです。最近では逆にイタリアっぽいものを作るように心がけています。

 イタリアにいた時、食事の後に皿にどーんと盛られて、出てくるようなデザートが多かったんです。それを取り分けたりして食べるんですけど…。そのイタリアの修業時代に出会ったお菓子、デザートをこの小さくカットしたお菓子で表現したいと思ったんです。その皿盛りデザートをどうにか、お持ち帰り出来る様にできないかなぁ…という発想で生まれたお菓子が多いですね。
あと地元の果物屋が、突然「これを使ってくれ・・」と、変わったフルーツを持ってきてくれることもあって、そこから生まれるお菓子もけっこうありますね。

デコレーションはあまりごちゃごちゃしないようにしています。基本的には使っているものをのせようかなぁ程度…いろいろデコレーションしてあるのもきれいだとは思いますが、自分としては中の味が想像できるぐらいのシンプルなものにしています。それと、食感が楽しく感じられるようにしようと心がけていはいますね。

 今後はイタリアの小麦粉を使って一通りお菓子を作ってみたいんです。やっぱり違いますよ。スポンジも不思議な食感になるんです。今は、クッキーなどには、フランスの粉を使って食感の違いを出しています。とにかく、お菓子を食べるのは大好き。だからよそのお店のケーキを買って食べたりもします。お菓子は自分の生活の中に密着していますね。

取材日 2001年4月














チッチョ・パスティッチョ
北海道函館市花園町22-26
TEL: 0138-53-8502


大桐さんの秘密