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アントレ 高木康裕 氏 |
![]() 子供の頃から厨房に入って生地をさわって遊んだりはしていましたよ。自分で作るってやっぱり楽しいわけですよね。なのに「菓子屋にならなくていい」と言われれば、逆に「やらせてよ」という気持ちになっちゃったわけです。それで、高校のとき「製菓専門学校に行く」って親に言いました。親父は「厳しい世界だぞ。でもやると決めたらしっかりやれ」って。そして、にやって笑った。あれ、もしかしたら僕、はめられたのかもしれないなって思ったけど、それは未だにわかりませんね。 ![]() 戻った当初、親父とはもちろんしょっちゅうぶつかりましたよ。それも些細なことで。例えば、卵の割り方とか洗い物の順序とかそんなのです。普通だったら、上のやっていることが違うと思ってもなかなか口に出せないものですよね、だから、めんと向かっていえるのは親子でやっている醍醐味といえるかもしれないです。 お菓子に対しては親も僕も"手間を惜しまない"という意見で一致しています。手間や時間をかけたからってお菓子の値段に跳ね返すことはないです。そんなことで儲けるより、お客様には頻繁に店に足を運んで欲しいですから。値段は高くはしません。 今の僕がお菓子作りで念頭に置いているのは"フルーツとの競演"です。フランスでは、生地そのものを食べることが多い。だから焼きっぱなしのお菓子なんかが人気ですよね。でも日本人はフルーツが好き。季節の本当に美味しいフルーツをうまくクリームや生地と調和させながら相乗効果を持たせるよう、味のバランスを工夫しています。 ![]() でもね、こういう珍しいものをうたい文句にしようとは思わないんです。そんなことよりも作り手が気持ちを込めて作ったお菓子。食べたとき、お客様にもその気持が味の中に伝わるような、そんなお菓子を作っていきたいと思います。 取材日 2001年3月 |