グラン クリュ 石塚伸吾さん

高校卒業後、お給料のいい所で働こうと思って選んだのが最初に入ったお菓子屋でした。たまたま製造の部門に回されたのが、作りはじめたきっかけです。最初はあまり真剣にやってはいなかったんですが、1年半くらいしてかな、どうせやるならしっかりやろうじゃないかという気持ちに。そして店も移りました。

ホテル、レストラン、個人店といろいろなタイプの店でお菓子を作りましたね。僕に言わせると、例えばホテルだけいくつもまわっても、システムとか大差ないと思うんです。レストランでも、個人店でも同じことが言えると思う。だから、あえて同じカテゴリーの中では動かず、その時見たいなと思った世界に飛び込むようにしました。

実は、独立は考えていませんでした。でも、『ペリニヨン』にいたとき「自分の店を持ったら?」と人に言われて、「なるほどそういうのもありだな」とその1年後にここをオープンさせたんです。2001年の6月に改装し、今までの16坪だけでなく、44坪となりにつきました。広い店だとお思いかもしれないですが、なんとこの44坪はほとんど工場なんですよ。今、ロールケーキの製造が追いつかないほど大変。スタッフもあと10人入れたいくらいなんです。



ロールケーキは、店を作ったときに「何かウリになるものをひとつ作りたい」と思い、作りはじめたものです。店をやる以上、「売れる」商品をひとつは持ちたかった。でも、奇抜なケーキで人を引き付けるのではなく、シンプルだけれど本当に美味しいというものが看板になったらと思ったんです。それが実現できたのは喜びですね。今では平日でも200本売れます。
ロールケーキは、ジェノワーズに生クリームだけ。ごまかしは一切ききません。卵は前日に産んだものを使っていますし、クリームもバターも新鮮でいいものを使っていますよ。






いろいろ複雑なお菓子が増えましたが、僕は、基本はジェノワーズだと思っています。これが美味しくないとお菓子屋としてはだめだと思う。そして、オーソドックスにお菓子を売る店でありたいですね。企画ものとか、小手先だけの味のアレンジとかではなくて。店が基本だから、デパートなどへの出店もしていません。

これからは、もっとお菓子の種類を増やしたいですね。パンもやりたい。いずれは"グランクリュ村"みたいに、いくつかの建物が点在して、生菓子、焼き菓子、パン、喫茶、軽食とかできる、「グランクリュに行くと楽しくてことが済む」という空間を作れたらいいですね。多摩市の憩いの場、シンボルになれたら最高。でもまずは人を補充しないといけないな。




店のリニューアル後は特に、経験の少ない若いスタッフが増えました。それでもしっかりやってくれています。それは僕にとって恵まれたことであると同時に、彼らにとっても、1年目からどんどん仕事ができて、大変でも恵まれた環境なんじゃないかな。いくら経験があってもやる気がないとだめ。やる気あってはじめて経験がいきてくると思うから、スタッフにはこのままやる気を持って経験を積んでいってほしいですね。






グラン クリュ
東京都多摩市落合3−11−2
042-376-0141

石塚さんの秘密