エリソン

高山 睦美 氏

料理とお菓子はどっちも大好きだったんです。東京・代官山の『シェ・リュイ』に入って、最初は料理を担当していました。男性8人に女性は私1人です。フランス料理ですから鴨とかウサギなどジビエをさばかなくちゃいけないわけですよ。動物を見るたびいつも驚いちゃったりして……。私には粉と卵でお菓子を作っているほうがあうかなぁ・・って思い、デザート部門にまわしてもらったんです。

故郷の札幌に帰ってからも何軒かの洋菓子店で働きました。女性だけのスタッフでお店をオープンしたのが4年前です。自分もそうですし、女性はやっぱり男性よりも力がないですよね。だから"ズル"しちゃいますよ。機械でできるところは機械でやったり、例えば立ってやらなくちゃいけないと思われている仕事も、アウトドア用の椅子に座ってやったりしています。無駄な労力を使わないことで心地よく仕事もできるし、お客さまにホッとできるお菓子と空間を提供することができると思うんです。

北海道はまだまだ東京ほど洋菓子が生活に入って来ていません。ケーキを作るときも、自分が最初に思い浮かべたものより、気持ちわかりやすいようにアレンジして作るようにしています。昔からあるもの、そして自分の見つけた組あわせ、という2本の柱でお菓子を作っていますが、味のバランスさえ常に意識していればそんなにとっつきにくいお菓子は出てこないですね。

北海道はベリーを中心にいい果物が入ります。同業者の友人から「あそこの果樹園はいいよ」なんていう情報をもらうとすぐ連絡を取ってみちゃいます。地元の美味しいものは積極的に使っていきたいですね。バターや粉などの材料はほぼ、東京にいた時と同じ。原価計算をしながらお菓子を作るというより、好きなものを使って作っています。考えてみると、最近ちょっと原価が上がり気味かもしれないですね。やっぱり「美味しいよ」っていわれる果物など、今まで使っていたものより少し高いですから。

18時半にお店が終わりますが、ダラダラせずにすぱっとその時間で仕事は終わりにします。そして4歳になる娘のお迎えに行きます。北海道に戻って来て、実家が近いのでこの場所で開店しました。クリスマスなど18時半にはとても終われない日々が続くこともありますが、そんな時フォローしてくれるので助かっています。北海道は車で動く人がほとんど。だから、ちょっと不便なこんな場所でもみなさん車で来ていただけるんですよ。そこが東京とはちょっと違うところですね。
取材日 2000年9月


高山さんの秘密