カラヘオ

安部 茂憲 氏

フランス料理のコックになりたいなと思っていたんです。だけど、実は好き嫌いが多くて。トマト、キュウリ、セロリ、それに生ものもダメ。これじゃあやっぱりコックは無理だよなと思って、製菓製パン学校に行きました。卒業後、そのままその学校で助手を2年。でもやっぱり、教えるだけじゃなく、自分で作って売って、直にお客さんの喜ぶ顔を見たくなるじゃないですか。それで、葉山の『ボンジュール』に入りました。そこで橋本さん(『ブレドール』橋本宗茂さん)に出会って、その職人としての心意気に惹かれ、そのあと一緒に『ブレドール』に行きました。

でもね、ほんとはあまり「どこどこ出身」って言うのは関係ないと思います。老舗だろうが、新しい店だろうが、パンを作ることに対する姿勢は変わらないですよ。ただ、店の雰囲気なんかはまったく違う。僕は、ちゃんとパン作りに対する姿勢が持てていれば、あと色々なことは自由でいいと思うんです。パン屋さんのご主人っていうと、白いコックコート着て、なんとなく気難しそうでっていうイメージありません? そういうイメージ、壊したいんです。だから今店ではコックコートはなし。赤や白のTシャツですし、エプロンも自由。コック帽もかぶらず、キャップを着用。もちろん、茶髪だって構わない。見てお分かりのように、僕自身もそうですしね。スタッフみんな並んでも、まさかパン屋には見えないでしょう。

オーナーの鈴木とは、僕が前のパン屋で働いていたとき出会いました。何より、パンの味に惚れ込んでくれたのが嬉しいですね。ちょくちょく通ってくれているうち、共通の友人から紹介されました。さっき僕が言ったような、既存のパン屋に対する概念を覆したいみたいな考えも、近かったんだと思います。それで、「旨いパン屋、そしてそのパンとコーヒーを出す店をやるのが夢」というのにのりました。一緒に働くことになったんです。

鈴木は、僕に対しパンの味には絶対の信頼を置いてくれています。だから、サービスについての話は一緒に色々しますが、パンの品揃えなど、商品そのものに関しては完全に任されています。
フランスパン、ドイツパンなど色々あるけれど、結局は日本人が食べるパンでしょう、僕は日本人の口に合う味ってあると思うんです。「本場の味を追求しました」っていうより、日本のお客さん10人いたら最低でも8人には「カラヘオのパンは旨い」って言ってもらえるようなものを作りたいですね。

今、店は、朝の7時からオープンしています。最初は9時からだったのですが、僕らは3時過ぎから作業をはじめいているじゃないですか、だから7時にはもう焼きあがっているパンがいくつもあるんです。せっかく焼き立てがあるのに、ただただ9時の開店を待って置かれているだけというのはもったいないんじゃないかという話になり、7時からあけることになったんです。お客さんに喜んでもらえる味とサービス、この店で、新しいパン屋の形を目指して追求してみたいですね。

取材日 2001年8月





オーナーの鈴木さん





カラヘオ
藤沢市鵠沼石上1-3-6
TEL: 0466-52-3330


安部さんの秘密