「ルヴァン」
中島 孝一(なかじま こういち) 氏

ルヴァン富ヶ谷店の店長を
1989年10月から勤める。


「自分たちが食べて満足がいくものを、お客様にも食べてもらいたい。」そう語る、ルヴァン富ヶ谷店店長の中島さん。梅雨の明けきらないムシムシとした日にもかかわらず、店には絶え間なくお客さんが訪れていました。



「ルヴァン」その名前はパン好きでなくとも耳にしたことがあるのでは?「お店の外観だけ撮影に使わせてくれ、ってこともあるんですよ」と、にっこり笑う店長の中島さん。山小屋風のかわいらしい店で作られるパンは、自家製天然酵母を使った、皮の固いヨーロピアン・タイプのパンです。その味わいは見た目の無骨さ(失礼!)とは違い、噛むほどに繊細な粉の味が際立ちます。

ルヴァンのパンって天然酵母特有の酸っぱさが少なく、食べやすいですよね。
「酵母の酸味は、肉食中心文化の人々に受け入れやすい味。ただし日本人は、それほど肉食文化ではないので、どっちかというと酸味を押さえたパンの方が口に合います。酸味の強いパンは作りやすいですが、粉自体の持つ甘さが生きてこない。たしかに酸味の強いパンもいい意味では個性ですが、材料の味が生きてこないんですよ。」
管理がたいへん難しいといわれる自家製酵母を使って、同じ味のパンを毎日作りつづけるというのは並大抵のことではないと思いますが。
「たしかに酵母の管理には気を遣います、まるで子供を育てているようなものです。でも、昔のヨーロッパでは主婦がパンを家で作るのが普通だったんです。だからなんら難しいことをやっているわけではありません。酵母でパンを作っているパン工房は、日本でいえば酒蔵や味噌倉と一緒。年を増すごとに、どんどん作りやすくなってくるんです。」

さらっ、と説明をしてくれる中島さんでしたが、8月に1週間ある夏休み中もやはり、誰か一人は様子を確かめに店に来るそうです。
そんな見えない努力が、ルヴァンの味をささえているのですね。

お店に行くと、いつも一切れのパンを試食にくれるルヴァン。一人一人と対話をしながらゆっくりパンを選べるので、質問があればどんどん話しかけてみては?「美味しく、楽しく」ルヴァンのパンを食べる方法をいっぱいアドヴァイスしてくれるはずです。

お店隣りの「ル・シァレ」では本日のプレート(1000円)などルヴァンのパンを引き立てるメニューが日替りで用意されています。営業時間は9:30〜19:30、夜はワインも楽しめます。

取材日 1998年




中島店長の秘密