ラ・ブランジェ・ナイーフ
谷上 正幸さん
 
<経歴>
紀ノ国屋、メルカト・セブンクォーターを経て96年に独立。
02年11月に代官山店に2号店をオープン

   


代官山店をオープンして約半年。まだ納得はいっていません。中目黒は今までどおりのラインナップ、ここは品数を少なめにしてドイツパンと焼き菓子中心でいきたいと思ってるんですが、昔からのお客さんには飽きも出てくるし、自分自身欲もでていろいろ置きたくなってしまう。両方の店が理想通りの品揃えに落ち着くにはあと1年くらいはかかるでしょうね。

代官山店も30代の客層をターゲットに考えていたんですが、予想に反して若い子がたくさん買いに来てくれるんです。コンビニで買うのと同じ感覚なんでしょうね。ただ置いておくだけじゃなく、ラッピングとか見た目とか考えなきゃなあと思っています。本当はそういうものは必要なくなればいいんですが。もうすぐ中目黒にも大きなビルができるそうだし、それまでにどうなっていたいか、今試行錯誤している状態です。



両方の店に寄ってそれぞれの店のパンを買ってもらう、というのが一番の理想ですね。同じ名前のパンでも2つの店で粉を変えたりしてるんですよ。ベースは変わらないけれど、マイナーチェンジは常にしています。パン・ド・カンパーニュは、以前グラハム粉で作っていた酵母にフルーツを加えるようになっておいしくなったと思います。 あとは、スタッフにもある程度のスパンで両方の店を経験してほしいとも思っています。店ごとの客層の違いもわかるようになってほしいし、せっかく同じ店なんだから1軒で2軒分みたいな感じでやってほしい。

ここ3年くらいはスタッフを育てようと、自分の気持ちを犠牲にしてやっています。そうしてみて初めて、自分が作るのとスタッフが作るのとではこんなにも味が違うのかと思いました。きついと思いますけど、みんな辞めずにがんばってますよ。成果はこれからだと思います。特にここがオープンしてからは、パンがよくなりましたね。技術がついたかどうかということではないんです、日々の積み重ねですね。ただひたすらあきらめないでやっていた、ということです。

初めに店を出した時、教室をやりたいと思っていたのもようやく実現しています。いろんなことが少しずつ形になっていっていますね。ケーキとかサンドイッチとかはほとんど出していないんですが、今思えば売り上げのほぼ100%がパンというのはよかったなと思います。昔から、他のパンはいいからバゲットは売れる店、というのをやりたいと思っていた。バゲットだけは売れる、それでいいと思うんです。


今40歳なんですが、近い将来の夢としては5年後にパリに店を出したいんです。正確には店をだすのが問題ではなく、日本では受け入れられた自分のパンが、本場フランスではどうなのか、おいしいと言われるのかを見たいんです。それまでに日本の店をちゃんと確立させたいですね。

でも、それが最終的な夢なのかというと、そういうわけではないんです。実はパン屋は55歳くらいまでの仕事で、そこから先は何をしているかわからない。絵を描いているかもしれないし・・・わからないけれど、それが本当の夢かもしれないですね。


取材日2003年6月26日

ブランジェリー ナイーフ
中目黒店
東京都目黒区青葉台1-19-1
03-3496-2710

代官山店
東京都渋谷区恵比寿西1-30-13グリーンヒル代官山101
03-3496-0870
谷上さんの秘密