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パティスリー シイヤ
椎谷 宏一 さん  

   



札幌と東京で9年間修業したあとヨーロッパへ渡り、フランスとベルギーにそれぞれ1年ずつ滞在、帰国後は札幌のショコラティエ・マサールでシェフを務めました。その段階で自分の店を持つのが一般的なのかもしれませんが、僕の場合、どうしてももう一度フランスへ行きたかったんです。

一度目にフランスへ行ったときは、ただ漠然と「行ってみたいな」という憧れからだったんですね。ところがマサールでシェフを務めるようになると、それまでとは責任の重さが違うわけです。今までは気付かなかった疑問点がいろいろ出てきてしまって・・・。この次は自分で店をやるんだという自覚がやっと出てきたと同時に、不安も大きかった。それに、店を持ったらもう二度と四季をとおしてフランスを見られる機会はないんじゃないかと思ったんです。


二度目の渡仏では、毎日がとても充実した日々でした。帰国したら店を出すという具体的な目標があったので、技術はもちろん店のインテリアからパッケージデザイン、ロゴなど、とにかく目にするもの全てが勉強になりました。おかげで自分のやりたい店のイメージを細部に至るまではっきりと持って帰国することができました。

本来なら独立資金にすべきお金を渡仏に使ってしまったので、店を出すまでは大変でした。アルバイトをしながら物件を探し続け、やっとのことでここを見付けたんですが、店の建設中もずっとアルバイトをしていたくらいです。どうしても中央区という場所を譲れなかったのは、やはりここが他よりも客層が高く、自分のお菓子に対しても理解のある人が多いんじゃないかと思ったからです。往来のはげしい通りから一本曲がったところ、というロケーションも気に入っているんです。


素材に関しては東京とほとんど変わりなく何でも手に入ります。逆に、流通の関係で北海道のものでも東京にいた方が手に入りやすいものもあるくらいじゃないかな。ただ、生産者が近くにいて、農場や牧場など現場を見られるというのはいいですね。僕も休みの日には店の子たちとよく見に行くんです。「素材へのこだわり」を売りにしているところもありますが、最高級のものばかり使うのは無理だとしても、店として素材にこだわるのはごく当たり前のことだと思いますよ。


商品構成としては、やはりお客様の好みは東京に比べて保守的なので、定番のものに力を入れています。プリンは牛乳だけを使ってやわらかくし、かつ卵のコクも出したいと何度も試作を重ねた商品です。そういうものをきっかけに他のケーキも食べていただければ、と。東京の方が刺激的でいい環境なのかもしれないけれど、僕はやっぱり生まれ育った北海道でやっていきたいですね。



取材日2003年7月11日


パティスリー シイヤ
北海道札幌市中央区北5条西21丁目1-15
011-611-7003
椎谷さんの秘密