「ベッカライ徳多朗」
徳永 淳(とくなが じゅん) 氏




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1958年、神奈川県生まれ。28才のとき
製油メーカーを退社し、青山アンデルセン、
サンジェルマンなどで修業。
'90年「ベッカライ徳多朗」を開店。




「パンは作った人の人柄を映し出す。」パンづくりを習っていたとき、教室の先生はよくそう言っていました。なるほど同じ材料で、作り方も一緒、同じオーブンで焼いても皆それぞれ違った顔のパンになります。徳多朗のパンを初めて見たとき、おおらかにパンを作っているなぁと感じました。

お店の名前は、名字から。そして子供でも覚えやすい名前にとのことで「徳多朗」になったそうです。"パンが好きで、自分でも作ってみたい"というのがパン屋さんになるきっかけだったそうですが、初めは作り方も全く知らなかった徳永さん。実際やってみると「考え方が甘かったですね。」と毎日同じものを安定的に出すことの難しさを痛感したそうです。お店もちょっと引っこんだ所にあるので、お客さんに知ってもらうまで大変でしたが、開店の時から手書きの新聞を出したりして徐々にお客さんも増えていきました。
当初は徳永さんと奥様、二人だけでしたが、今では総勢11名のスタッフでお店を切り盛りしています。調理の仕事をしていた奥様はフィリング作りの名人。日々、あんやクリームなど美味しいフィリングを考えているそうです。


ショーケースや棚に並んだフランスパン、食パンそしてペストリー。どれもみなイイ顔をしているので、あれもこれも買いたくなってしまいます。お客さんの年齢層も幅広く、男子高校生がおやつに買ったり、おばあちゃんが来たりと徳多朗の味は、多くの人に受け入れられ、「こんな馴染みの店が近所にあったら...」と思わせます。

ところで、徳多朗は水・日曜定休。パン屋さんにしてはめずらしいので理由を尋ねると「自分が休みたかったから。」なんて初めは冗談半分の答えが返ってきましたが、「今は土日で出かける方も多いし、スタッフも週休2日でないと続かないですし。」と柔軟な考えからのことでした。週休2日の効果か、お店のスタッフは皆明るくきびきびと働いていていました。

職人じゃないんです。作るのも遅いですしね。」と謙遜される徳永さんでしたが、表に見えない部分でかなりの職人気質がうかがえました。「なるべく自分で手をかけて、自分が食べておいしいと思うものを提供していきたい。」という姿勢を崩さず、食べる人がウキウキするようなパンを期待してます。

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取材日 1997年