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牛乳の殺菌方法 | ||
牛乳を殺菌する温度や時間によって味にも違いがでてきます。その殺菌方法は大きく分けて3通りあります。 パスチャリゼイション フランスの細菌学者パスツールが発見した熱処理法。もともとはワインの発酵方法として発見されましたが、60℃程の加熱殺菌をすることで素材の風味を損なわずに殺菌できるので、いろいろな食品の殺菌に使われています。この方法をパスツールの名をとってパスチャリゼイションと呼び、この方法で殺菌した牛乳をパスチャライズ牛乳と言います。低温長時間殺菌法と高温短時間殺菌法がこれにあてはまります。 低温長時間殺菌法(LTLT:Low Temperature Long Time) 63℃〜65℃で30分殺菌したものを言います。 時間もコストもかかりますが、カルシウムやタンパク質等の成分を破壊することなく、牛乳の美味しさを味わえます。 高温短時間殺菌法 (HTST:High Temperature Short Time) 72℃〜85℃で15〜20秒殺菌する方法。 低温長時間殺菌法を改善し、時間を短縮することでさらに乳質の変化を最小限におさえることができ、搾りたてに近い味と風味をつくります。 ★低温長時間殺菌、高温短時間殺菌で行った場合の特徴 ・タンパク質やビタミン、カルシウムなどが破壊されない ・胃の中で固まりやすく、膜を作る⇒胃にやさしく、おなかがゴロゴロしない ・時間はかかるが吸収率が良い 超高温殺菌法 (UHT:Ultra High Temperature) 120℃〜150℃で2秒間殺菌(滅菌)する方法。 牛乳を急に加熱すると牛乳のタンパク質が焦げついてしまうため、これを行う前に85℃で5分間予熱処理をします。この方法では有効な菌(乳酸菌など)も全て滅菌し、またタンパク質やカルシウムの変性も大きくなります。
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ホモジナイズ | ||||
牛乳はもともと液体が均一ではなく、クリーム分とホエー(乳清)に分かれています。そこで1ccに150気圧くらいの高い圧力をかけて牛乳の脂肪球やタンパク質を細かく砕き、全体に散らして成分を均一化して消化されやすくします。この処理をホモジナイズと言い、この処理をしたものをホモ牛乳、処理をしていないものをノンホモ牛乳、と言います。
消化されにくい、と言うことは胃の中で固まりゆっくりと消化されるので時間がかかる、という事です。このことをパス牛乳と合わせて考えてみると、胃の中を通過する速さは生乳に近いほどゆっくりで胃の中で固まりやすい、ということになります。 生乳⇒ノンホモ・パス牛乳⇒ホモ・パス牛乳⇒UHT 〔固まる(遅い)← →固まらない(速い)〕 ホモジナイズするとタンパク質や脂肪球が機械にこびりつくのを少なくするので、効率よく処理をするためにも行われます。一方、ノンホモはその分効率が悪く、殺菌時間もかかり手間もかかります。またビン詰めにすることが多く、そのコストもかかります。これらの理由により、普通の牛乳より高くなるのです。 上の表にもでてきましたが、ノンホモ牛乳の上の部分にできる白いクリームは脂肪球の固まりで、"クリームライン"と言います。上に脂肪が固まっているということは、つまり下の牛乳(ホエー・乳清)はローファット牛乳になります。クリームはそのままコーヒーに入れたり料理に使っても美味しいし、もちろん軽くふれば拡散するので飲んでも美味しいです。ノンホモ牛乳は牛乳本来の風味があり、あっさりとした味わいになります。 |
牛の種類 | ||||||||
乳牛の種類は何種類かありますが、日本ではホルスタイン種とジャージー種の2種が乳牛として良く知られています。近年ではブラウンスイス種という牛がいる牧場もみられます。その他、ガンジー種、エアシャー種、ショートホーン種など。
またサイロで乳酸発酵させている牧草を食べている乳牛からは、とても香りの良い牛乳がとれたり、とうもろこしなどの飼料を食べていると、とうもろこしの風味がある牛乳になったりと、変わってくるのです。 |