「サクランボ」をモチーフにした歌が多いのは、双子の果実が並んだキュートな見た目と、キュンと甘酸っぱい味わいから“恋の味”を連想するからでしょうか?おいしく食べられるのが収穫してからたった2〜3日という儚さも、ちょっと高めの値段も、魅力をさらに際立たせているようです。そんなフルーツ界のアイドル(?)、サクランボの名称は、もともとは桜の実を指す「桜ん坊(サクランボウ)」から来たといわれています。こう書くと、アイドルもなんだかいたずら坊主のよう・・・。それでも、ほんの短い旬を迎えるサクランボが店頭やパティスリーに並ぶと、自然と心が躍ります。一番おいしい食べ方は、やっぱり採れたて。“サクランボ狩り”に出かけて、摘みたてをほおばるのが一番です。ここでちょっと注意したいのは、果実に多く含まれているソルビトールの存在。嚥下作用があるので、いくらおいしくても食べすぎには注意しましょう!
サクランボには、甘果オウトウと酸果オウトウの種類があり、日本で栽培の中心となっているのは、甘果オウトウ。つまり、スウィートチェリーといわれているものです。
製菓用としては酸果オウトウ、一般的にはサワーチェリーと呼ばれるアメリカ産のモンモランシー種のチェリーか、フランス産のグリオット種が一般的ですが、これらは生食には向いていない為、ドライ、冷凍、缶詰に加工されて使用されています。



【種類】

◆高砂
乳白色の果肉はほどよい甘さで酸味が弱く、種が大きいのが特徴的。他の種類よりも一足先に、5下旬〜6月上旬にかけて収穫されます。

◆ナポレオン
ナポレオンがセントヘレナで没した後、ベルギーの王様が1821年にナポレオンにちなんで命名。酸味がしっかりあるのでシロップ詰やジャム、リキュールなどの加工用に適しています。

◆佐藤錦
山形の“佐藤”さんが「ナポレオン」と「黄玉」を交雑して育成したことから命名。品質良好、甘味十分、雨にも強い、と三拍子揃った優等生。日本の代表品種です。

◆紅秀峰
10年ほど前に、山形で生まれたばかりの新しい品種。「佐藤錦」と「天香錦」を交配したもので、実が固く日持ちの良さと、強い甘味が特長的。佐藤錦が終わった7月上旬頃に収穫されます。

◆アメリカンチェリー
アメリカから輸入されるサクランボの総称。日本に輸入されるアメリカンチェリーの80%はビング種。濃いルビー色をしていて、シャキッとした歯ごたえと濃厚な甘さが魅力です。




【製菓材料】

大きくサワーチェリーと、ダークチェリーの2種類。それぞれ、冷凍フルーツ、シロップ漬缶詰、ドライフルーツなど。オードヴィ漬けにしたものや、キルシュ漬けの『グリオッティーヌ』などがある。キルシュは、サクランボを砕き、種子や果肉ごと発酵させたあと、蒸留・熟成させたフルーツブランデーのこと。





【パナデリアのおすすめ“サクランボ”スイーツ】

フォレノワール
¥420
(パティスリー サロン・ドゥ・テ アミティエ 神楽坂)
さくらんぼの雫
¥420
(ラ・テール洋菓子店)
さくらんぼのクラフティ
¥315
(サンルイ島)
「黒い森」という名のケーキ。一番上に鎮座するコロンとまあるいアメリカンチェリーが可愛らしい。口溶けの良いチョコのジェノワには、キルシュがしっかりアンビベされており、間にサンドしたグリオットの濃厚な甘味をさわやかに引き立てています。

ラ・テールが契約している南アルプスの農家“小野さん”のサクランボを使用。ヨーグルトのムースの中央に忍ばせたサクランボのコンフィチュールがフレッシュでおいしい。ムース全体にも、クラッシュした果肉がちりばめられたサクランボ尽くしの一品。

しっかりと焼き込まれた薄めのタルトに、甘さ控えめのアパレイユ。アメリカンチェリーは水っぽさが無く、程よい甘酸っぱさ。全体的にあっさりとしているので、ホールでもぺろっと食べれてしまいそう。誰からも愛される優しい味わいです。




【ショップデータ】

パティスリー サロン・ドゥ・テ
アミティエ 神楽坂
東京都新宿区築地町8-10プリモ・レガーロ神楽坂1F
TEL:03-5228-6285
ラ・テール洋菓子店東京都世田谷区池尻3-27-10
TEL:03-5486-5489
サンルイ島神奈川県三浦郡葉山町一色685-4 
TEL:046-875-8715




もくじへもどる