イチジクは漢字で書くと、「無花果」。その由来は、花を咲かせずに実をつけることから、といわれています。しかし、イチジクの花は本当に無いのではなく、外見から見えないだけで、実の中に小さな花をつけているのです。果実を半分に切ると、赤いツブツブがたくさん見えますが、あれがイチジクの花なのです。数えると、なんと2000個近くの花が存在しているのだとか!この花が熟すと種になって、イチジク独特のプチプチした食感を生むのです。収穫は秋と夏の年に2回。夏果は、前年の枝に着生した果実が越冬して7月頃に熟し、秋果はその年の新しい枝に着生した果実が8〜10月に熟します。毎日一果実ずつ熟することから、「一熟(いちじゅく)」から転じて「イチジク」という名がついたという説があります。
新鮮な果実を見極めるコツは、ヘタの切り口を見ること。ここに白い液体がついているものは新鮮なサインです。この白い液体の正体は“フィシン”というたんぱく質酵素。果実が傷ついた時、外から進入してくる細菌を殺すためにあるといわれています。“フィシン”は、肉を柔らかくする働きがあるので、肉料理に用いたり、消化促進の作用があるので、食事の後のデザートにも適しています。



【種類】

◆桝井(ますい)ドーフィン
イチジクは、品種改良がほとんど行われないことから、栽培のしやすさと日持ちの点から、日本で栽培される8割を占めています。大きくて甘味があるのが特徴。

◆蓬莱柿(ほうらいし)
江戸時代に中国から伝わってきた古種のイチジクで、日本で栽培される残り2割がこの種類です。関西以西で栽培されていますが、日持ちが悪いため、関東では出回っていません。甘味が強く小さめサイズが特徴。

◆スミルナ種
世界最大のイチジク生産国である、トルコの生産9割を誇るのが、スミルナ種。主にドライフルーツとして利用されます。皮が白く肉厚で、凝縮された甘味と、バニラのような香りが特徴です。カリフォルニアでは「カリルミナ種」と呼ばれて生産されています。

◆ブラックミッション種
果皮が白いスミルナ種に対して、黒い果皮の外見から、黒イチジクとも呼ばれるブラックミッション種。主にカリフォルニアで生産されます。ソフトでネットリ感が強く、プルーンのようなコクのある深い甘味が特徴。




【製菓材料】

パウンドケーキなど焼き菓子の練りこみ用に、ドライ、及びセミドライのフィグを使用します。濃縮果汁、ペースト、ジャム、最近では乾燥・粉砕したパウダーやフレークもあり、菓子のみならず料理にも幅広く使われています。





【パナデリアのおすすめ“イチジク”スイーツ】

いちじくのタルト
¥378
(ル・ププラン)
フィグ・オランジュ
¥500
(パリセヴェイユ)
イチジクのデニッシュ
¥180
(サクラベーカリー)
イチジクの果実のフレッシュ感を存分に楽しめるタルト。ベースのタルト台と生イチジクの間のジェノワーズがクッション的役割を果たし、イチジクの水分が移らず、タルトはサクサク。間に忍ばせたアプリコットの酸味が効いて、後味もさわやかです。
※季節限定

イチジクのねっとりとした濃厚な甘さを、オレンジのコンフィのほろ苦さがキリっと心地よく、カカオ分高めのショコラとの組み合わせは絶妙。口の中ではじけるイチジクのプチプチとした食感、長く余韻が続くカカオの香りと、鮮やかなオレンジコンフィの発色が目にも美しく、五感に響くショコラケーキ。

生のイチジクのコンポートがフレッシュな味わい。バターがふんわりと香るパリパリのデニッシュに、イチジクの水分が染みないのは、間に忍ばせたレモンとオレンジのピールの効果。ほろ苦い味わいも、全体の印象をキリッと引き締める役割に。
※季節限定




【ショップデータ】

ル・ププラン 東京都多摩市関戸4-7-8 
TEL:042-376-0970
パリ・セヴェイユ東京都目黒区自由が丘2-14-5 
TEL:03-5731-3230
サクラベーカリー 若林店東京都世田谷区若林4-6-1 
TEL:03-4500-5679





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