最近、パナデリアが気になっているのが“バラ”を使ったお菓子やパン。
かつて、ピエール・エルメ氏の「イスパハン」に衝撃を受けた方も多いかもしれませんが、最近、日本でも、ようやくポピュラーな存在になってきたような気がします。
そこで、パナデリアでは、もっとバラの魅力を知ろうとイベントを企画。試食パーティに加え、若手ショコラティエールの「ショコラティエ・ミキ」宮原美樹さんにバラを使ったデモンストレーションをお願いしました。
それでは、さっそくその様子をご紹介します!





会場は、バラの形をしたチョコレートでおなじみの「メサージュ・ド・ローズ」。日本で一番バラが似合う街、銀座にある本店のショップスペースをお借りして、デモンストレーションを行ないました。

京橋駅にも程近い、便利な立地の「メサージュ・ド・ローズ 銀座本店」。バラを模った美しいチョコレートやパート・ド・フリュイは、贈り物にぴったりです



そして、今回のイベントの目玉は、なんといっても「ショコラティエ・ミキ」の宮原美樹さんによるデモンストレーションです。ご存知の方も多いと思いますが、宮原さんは、本場パリのサロン・デュ・ショコラに出展した経験を持つ、数少ない日本人。そのかわいらしさの裏に、実力を秘めたショコラティエールなのです。

「ショコラティエ・ミキ」宮原美樹さん


そんな宮原さんが、ショコラ今回のために特別に考えてくれたのは、バラを贅沢に使ったショコラショォです。
「このショコラショォはミルクや生クリームなどの乳製品を一切使わないで作ります。水がベースになっているので、バラの香りをより強く感じていただけると思いますよ」
デモンストレーションルームに用意されたのは、パナデリアの会報でもご紹介したことのある「横田園芸」の食用バラ。中でも、特にエレガントな香りが強い“ブルーリバー”という品種です。生花としても美しいこのバラを贅沢に使ったショコラショォは、とても貴重! 出来上りが楽しみです。






贅沢にも、1人に約1本分のバラを使用!軸から、花びらとオシベを手でちぎり、ボウルに入れます。
バラの香りを抽出するため、まずはローズティを作ります。繊細なバラの香りを損なわないよう、お湯は3分以上弱火で沸騰させてから使用するのもポイント。フタをして5分間蒸らします
香りと色がしっかり抽出されたローズティ。こんなに濃い色合いになりました!
バラに合わせてセレクトしたチョコレートは、ヴァローナの“アラグラニ”と、ドモーリの“アリバ75”。溶かしておいたチョコレートに、ローズティを少〜しずつ加えていきます。
最初は、粘土のように固くマットな状態ですが、力強く混ぜ合わせていくと、だんだんとなめらかでツヤのある状態に!
最後にもう一度、湯煎で温め、ショコラショォ専用のポットに入れてから、カップに注げば出来上がりです
扱いに慎重さを要するチョコレートですが、宮原さんの作業はそれを上回る、丁寧さと慎重さ!使う道具を温め、温度を測り・・・と、チョコレートへの愛情と一生懸命な気持が伝わってくるようなその姿に、皆すっかりファンになってしまいました!
最初に広がるのはチョコレートの濃厚な味わい。それがスッと引くと同時に、バラの芳香がふわりと広がります。水で作っているので、後味は驚くほどすっきり。エレガントで繊細ですが、力強さも感じるショコラショォです!





今回のデモンストレーションでは、大輪の“ブルーリバー”を使いましたが、食用のバラというと、飾りに使う小さなバラや、香料を思い浮かべる方が多いかもしれません。恐らく、本当のバラの味といってもちょっとピンとこないですよね。

「実は、バラは色や品種によって全然味が違うんですよ!今日は色々な食用バラを用意しましたので、ぜひ食べてみてください」
と、食用バラの伝道師役を買って出たのは、パナデリア主宰の三宅。以前、取材で小田原の「横田園芸」を訪れ、食用バラにいたく感銘を受けた三宅。このおいしさをたくさんの人に伝えたい、との想いが身を結び、今回のイベントが実現したという背景があるのです。

これはすべて食用のバラ! あまりの美しさにちょっともったいないような気がしますが・・・。このままちぎって試食しました


「えー、これを食べていいんですか?ワッ!おいしい」
「ホントだ!色によって味が違う」
・・・ということで、にわかに食用バラの試食&勉強会がスタート。バラの品種による味の違い、食用バラ栽培の難しさ、そして香料についてなど、バラ談義に文字通り花が咲きました。


香りが良く、食べても想像以上においしかったバラの花ですが、このままで食べるのには抵抗がありますよね。やはり、お菓子やパンとしていただきたいものです。そこで今回協力をお願いしたのは、「ラトリエ・ドゥ・プレジール」のシェフ、田中さん。フレッシュなバラの花を使った酵母作りに興味があるということで、“ブルーリバー”の酵母でパンを作っていただくことになりました。

現在は店頭で常時販売するようになったバラのパン。最後にふわりと立ち昇るエレガントな香りは、バラにしかなしえないもの!うっとりするようなおいしさです


田中さん曰く、「バラの花びらだけで起こした酵母を使い、さらに、花びら自体も生地にたっぷり加えました。バラの花びらは、酵母を起こしているときからすごくいい香りがして、元気もいいんですよ」とのこと。花びらだけなく、酵母としてもたっぷり入っているせいか、焼成で香りが飛ぶことなくしっかりと残っています。また、数日置くと、ぐっと甘い香りが増し、お菓子のような印象に。女性にとっては、ホルモンバランスを整えてくれる効果もあるそうです。




そのほか、会場にはバラのお菓子を語るには欠かせない「ピエール・エルメ・パリ」のイスパハンシリーズを始め、麗しいお菓子が並びました。

「ピエール・エルメ・パリ」から届いた、パーティ仕様のイスパハンとマカロンイスパハン。力強いバラの香りに、フランボワーズの酸味とライチの香りを合わせたイスパハンは、さすが王道のおいしさ!


「アミティエ神楽坂」からは、バラの香りのショートケーキ“ジャルダンアラローズ”が登場


実は、今回の開催に当って苦労したのが、バラを使ったケーキやパンを集めること。色々と探してみたのですが、なかなか見つからず、フレッシュなバラを使ったものとなると、皆無に近い状況でした。
そこで、立ち上がったのが食用バラの伝道師、パナデリア三宅!自ら車を飛ばして横田園芸に赴き、バラのシロップを作成。なんと、一瓶当り10本のバラを使った贅沢なシロップを作ってしまいました。

会場では、このシロップを使ったガナッシュやヴェリーヌを試食。普通ではありえないほど贅沢にバラを使ったせいか、かなり好評でした! (※ シロップは個数限定で販売中です! 詳細はこちらから→ http://www.panaderia.co.jp/panaderia_news/bara2010/


「ショコラティエ・ミキ」からは、“フランボワーズとバラの水のガナッシュのボンボンショコラ(写真手前)”。乳製品を使わない水のガナッシュは、みずみずしく繊細なおいしさ! 写真奥は、「ピエール・エルメ・パリ」のイスパハンのボンボンショコラ


人々の心をときめかせるバラの花。
その美しさと香りは、リラックス効果をもたらし、成分が体の機能を高めてくれると言います。
今回のイベントでは、そのおいしさと、これからの可能性を体感することができました。
もっと身近に、そして、おいしいバラのケーキやパンを楽しめるようになるといいですね!
(2010.12)

【 Shop Data 】
● メサージュ・ド・ローズ 銀座本店 ●
東京都中央区銀座1-9-6-1F
Tel:03-3561-1066
営業時間:10:00〜20:00
定休日:無休
● ショコラティエ・ミキ ●
東京都世田谷区南烏山4-9-11
第2アベニューハウス001号
Tel:03-3300-1277
営業時間: (平日)11:00〜19:00/(土曜)12:00〜17:00
定休日: 日曜・月曜・祝日

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