昨年はロイヤルウェディング、今年はエリザベス女王在位60周年やロンドンオリンピック開催と、皆様もいつもよりイギリスへ関心を寄せている方が多いのではないでしょうか?!
私はといえば、実は初めて買ったお菓子のレシピ本がイギリス菓子のものであったり、社会人になった頃(もう20年以上昔の話ですが)はスコーンにはまってしまい、ありとあらゆるレシピで試したり、本場のクロテッドクリームってどんなだろう?とロンドンへ行ってみたり。
小学生の頃にはビートルズに目覚め、ティーンエイジャーの頃はブリティッシュロックに首っ丈・・・っと、話がそれてきたので、お菓子の話に戻しましょう。

英国菓子への興味は今でも続いていますが、より深くのめりこんだきっかけは大阪の『ブロードハースト』さんに出会えたこと。
それまではスコーン、ショートブレッド、トライフル、フラップジャックくらいしか知りませんでしたが、バナフィーパイやベイクウェルタルト、サマープディングにメイズオブオナーなど・・こんなお菓子もあるのね〜と興味は深まるばかり。

「ブロードハースト」さんの英国菓子たち、左の写真はスコーン、ミンスパイ、ベイクウェルプディング。右の写真は、マディラケーキとオートミールとレーズンのクッキー(だったはず・・・)

ちなみに“ベイクウェルタルト”とはアーモンドクリームとジャムを敷き込んだシンプルなタルト。てっきり“よく焼いたタルト”という意味で名づけたのだろうと思っていたら、町の名前なんですね。
それから“サマープディング”は薄くスライスしたパンをベリーのシロップに浸して型に敷き込み、サッと煮たベリーを詰めて冷やしたもの。油脂を全く使わずヘルシーなデザートなのですが、もとはと言えば病院で入院している患者さんの為に作られたものだとか・・・なるほど!と思いませんか?
また、成人の日に大阪で開催される“とんど祭り”に出店されていたブロードハーストさんが“スティッキートフィープディング”というホットなデザートを販売していました。
黒糖蒸しパンみたいな味で、そこにキャラメルソースがたっぷり。雪が舞い散る寒い日でしたが、その温かさとしっかりとした味のある甘さに、一瞬寒さも忘れたほど美味しかった!
これは芯から冷える湖水地方のデザートで、栄養価の高いデーツをたっぷり使っている・・・と聞き、ブロードハーストさんが“とんど祭り”で提供したことに妙に納得。(お店では提供したことはありません)
プディングというとプリンを思い浮かべるかもしれませんが、食後のデザートを総称してプディングと言うというのも最近知ったこと。

そんな名前の由来や、どうしてそのお菓子が誕生したか?を知ると、ただ食べるよりも楽しさは倍増!
とんど祭の時に提供された“スティッキートフィープディング”

実はそれを教えてくれたのは、ブロードハーストで食べたブラムリーという青リンゴが縁で出会った、横浜で月1回開催されている英国菓子教室&イングリッシュティールーム。
『Homely』という紅茶と英国菓子を愛する女性3人のユニットが、横浜の新羽駅近くのマルナカホームという場所を借りて行っています。
3人ともティーインストラクターの資格を持っていらっしゃいますが、それ以外の簡単なプロフィールをお聞きしてみると・・・
中心となっている渡邉理恵子さんは渡英し『Betty's cookery school』で学ばれたということで、英国のお菓子や料理について造詣が深くていらっしゃいます。
(※3月30日に横浜ロイヤルパークホテルにて開催される“YOKOHAMA国際文化セミナー・伝統と歴史の国イギリス”にもご登場されます)
テイクアウトしたブラムリーのアップルパイ。そしてブロードハーストさんといえば、この箱にも使われているブルー!ポップな雰囲気で大好きです
菊池美輝さんはリプトンティーハウスで長く務められた後、現在は英国のものを輸入販売する仕事に携わっていらっしゃいます。
また、英国の家庭でお菓子を学ばれる経験もされています。
西塚香苗さんは栄養士や製菓衛生士の資格をお持ちで、現在は主婦として母として家庭と紅茶の世界の両立をされていらっしゃいます。

ちなみに、昨年のお教室やティールームでどんなお菓子が登場したかというと・・・

イートンメス・・・・ウィリアム王子も卒業した学校の名物デザートで、メレンゲとクリームでできています
ファットラスカル・・・・ベティーズ・ティールームの十八番でチェリーの目とアーモンドの歯が!ドライフルーツがたっぷり入ったソフトなビスケットみたいな感じ
シムネルケーキ・・・・母の日や復活祭でいただくフルーツケーキ+マジパンでデコレーションしたお菓子

-- シムネルケーキ --
母の日やイースターの時に食べられるケーキ・シムネルケーキのデモ中の渡邉理恵子さん ドライフルーツたっぷりのケーキに、手づくりのマジパン(卵を入れるのが特徴)を乗せ、この後焼きます。上に乗っている11個のボール状マジパンはユダを除くイエスの弟子11人をあらわすそうです

シムネルケーキに使った、イギリスで購入してきたというミックススパイス。フランスのパンデピス用スパイスなどとは違うとかで、イギリスに行ったらいろんなお店で購入して、好みのものを探すそうです。私もイギリスに行くことがあったら買い集めたい!
焼き上げたシムネルケーキ。ちょっと焼きすぎちゃったかな(笑)

各自が作ったシムネルケーキは、こんなふうにラッピングしてお持ちかえり。このまま母の日のプレゼントに使えます!


マディラケーキ ・・・・マディラ酒と一緒に食べるという意味で、ケーキにお酒は入っていません

ジャムターツ ・・・・お茶の時間の定番菓子で、プティフールみたいな小さめタルト


ジャムターツ。黄色い方は
レモンカードを詰めています

コーニッシュチーズケーキ ・・・・クロテッドクリームで有名なデボン・コンウォール地方のケーキ。しっかりコクがあります
コーニッシュチーズケーキ。クリームチーズにクロテッドクリームと聞くと、カロリー高くこってりヘヴィというイメージですが、食べてみると甘さが意外と控えめでさっぱりいただけました。キケンだわ!(笑)


ビクトリアスポンジケーキ ・・・・これは知っている方も多いかしら? カトルカールのような生地でバタークリームやジャムをサンド

バノフィーパイ ・・・・キャラメルのようなトフィークリームとバナナのパイ
これも作り方を知りたかったお菓子のひとつ、バノフィーパイ。練乳を缶ごと煮て作るクリームをたっぷり入れるのがポイント

トリークルタルト (ほぐしたパンを使います)

その他にもチョコレートファッジケーキブランデースナップパーキン・・・どうです? いくつご存知のお菓子があったでしょうか?
-- ブランデースナップ / パーキン --

奥はブランデースナップ、手前がパーキン。ガイフォークスナイトにヨークシャーで食べられるというパーキンは、糖蜜とオートミール入りのジンジャーブレッド。黒糖蒸しパンっぽい食感と味で、日本人の私でもなぜか懐かしい気分に。これは来年ぜひ教えていただきたいと思うくらい気に入りました


そして今年の予定はこのようになっています。(8月はお休み)
1月

チーズスコーン
2月

ベイクウェルタルト
3月

クランペット
4月

春のポタージュ
5月

ティーブレット
6月

ハチミツケーキ
7月

チキンパイ
8月

(お休み)
9月

ウェルッシュケーキ
10月

トライフル
11月

冬のポタージュ
12月

クリスマスアフタヌーンティー
12月は講習ではなく、豪華なアフタヌーンティーを楽しむ1年最後のお楽しみです!


-- クリスマスアフタヌーンティー --

1年最後のお楽しみ、クリスマスアフタヌーンティーのテーブルセッティングから。
手づくりのイギリス式のクラッカーは、隣の人とクラッカーの端と端を持ち引っ張るそうです。真ん中にプレゼントが入っています。この日は、実習なしで、純粋に楽しませていただきます♪
モルドーワインでスタート。この時のテーマがハリーポッターで、ハリーにちなんだお菓子などがメニューに組み込まれています。もちろんBGMも映画ハリーポッターのサントラ
3種類のサンドイッチ、2種類の焼きたてスコーンと、順に提供されます

ミンスパイ(自家製ミンスミートにはイギリス原産のクッキングアップル・ブラムリーも入っているそうです)やエルダーフラワーのゼリー、ハリーポッターにも出てきたトリークルタルト(全て観ているのに、どこに出ていたか分からない私・・)、魔法使いの帽子やフクロウ型のクッキーなど、盛りだくさん。食べきれない〜
クリスマスプディング。型から出し、火をつけたアルコールをかけ、切り分けていただきます。中にコインが入っていて、当たった方には幸せが?!



昨年まではお菓子onlyでしたが、今年からはお料理も取り入れることにしたそうです。
でも、私はやっぱり、お菓子の方がより興味があるかな(笑)。
教えていただきたいお菓子があれば、ぜひリクエストを!来年反映されるかもしれません。
14時からのティールームで提供されるお菓子もできれば知りたいところですが、これは当日までわからないんですよねぇ・・残念。
お菓子教室講習費は¥2500、ティールームはお茶&お菓子で¥600。主婦の懐にも嬉しいお値段♪
最近は『ローズベーカリー』や『サンデーベイクショップ』など英国菓子を買える店も少しずつ増えましたが、英国菓子は簡単に家で作れるものばかりなので、トライしやすいですよ。


また、今年はイギリスではよく行われているという形のチャリティー(自分たちの得意なこと、好きなことを生かして、社会貢献をする)を週末開催しようという企画も進行中。 ざっくり説明しますと、ケーキを作る幸せと食べる幸せ、それによって得た収入を寄付として必要なところへおすそ分けしようというイベントだそうです。 実現、そして成功するよう、私も微力ながら協力できたらと思っています!
毎回素敵なディスプレイで楽しませてくださる『マルナカホーム』さん。イギリス人家庭にお邪魔したよう?!




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