あるかき氷店の店主に「お好きなかき氷のお店はどこですか?」とお聞きした時に帰ってきた答えが「秋田の広栄堂さんです。生のフルーツを使っていて、お店の奥には果物の皮が山積みになっているんですよ」
北へ行けば行くほど、かき氷を食べられる店は少ないと思っていたので、秋田で・・しかも生のフルーツを使ったかき氷が食べられるなんてびっくりしました。
自身のブログでもそんな事をチラッと書いたところ、秋田のかき氷情報を寄せてくださる方がいらっしゃって、他にも生フルーツを使ったかき氷を提供する店があることがわかりました。
こうなったら秋田かき氷旅に行くしかない!と、日を改めて日帰り旅行と相成ったわけです。
今度は1人旅。1人で列車に乗っていると、なぜだか眠くなり・・・半分以上は寝ていたのではないかしら。
青森行きの“はやて”と、秋田行きの“こまち”が連結されています。私はこまちに乗り込んで。朝早いけれど満席状態でした

約4時間半で秋田に到着、やっと着いた〜!
むくみ気味の足、最初はエンジンがかからなかったけど、だんだん足取りも軽くなり、約15分くらいで『広栄堂』へ到着。
この日は天気が悪かった為、店の前に行列が無くてホッ♪

『広栄堂』

それにしてもメニューが多い・・ひとつを選ぶのは大変。あぁ、こういう時に「誰かが一緒ならいろんな種類が食べられるのに」と悔しい気持ちに。
フルーツ系も、注文を受けてから作ってくださる白玉入りのものも(白玉は別皿で出すという点が素晴らしい!氷で冷えた白玉は硬くなって美味しくないですから)、ソフトクリームが乗ったものも・・・迷った時は名物をまず食べるべきか?!
「えっと・・・どれも美味しそうで迷うんですけれど・・・名物の生グレープフルーツソフトにします!」
「は〜い。それはね、生グソって言うのよ。」とチャーミングなお母さん。
「はい、知っていましたが、ちょっと言うのが恥ずかしくて・・(笑)」
テーブルで待っているとボリュームたっぷりのかき氷が運ばれてきました。シロップは底の方に入っているので、崩さないように縦に掘るようにいただきます。
さらりとした氷に、驚くほど甘さが控えめ(フルーツそのものの味がしっかり感じられる)のシロップ。果肉もたっぷりです。
ソフトクリームを混ぜ合わせて食べると、さっぱりシェイクという雰囲気。この大きさでもペロリです♪
生グレープフルーツソフト
底からは果肉がゴロゴロ
ここまで来たからには、1杯では帰れません。
「お代わりお願いします! 白玉にも惹かれるのですが、生いちごを氷少な目で」
登場した生いちごのかき氷はナチュラルで優しい赤に染まっており、その色合いにまず癒されます。
一口いただくと、フレッシュいちごジュースをいただいているようです。これもまた甘さはぐーっと控えめ。
「どちらが美味しかった?」とお母さんに聞かれ「むむ・・その質問は難しいです」「この2つがウチの一番人気なのよ」そうでしたか!


氷少な目にしていただいた生いちごかき氷は、
優しい赤色に染まって

店の端には和菓子を陳列するショーケースが置いてあるので「かき氷の季節以外は和菓子を?」とお聞きすると「店主が病気をしてからは和菓子はやっていなくて。かき氷は息子ができるので続けることができているのだけど。お煎餅もね、手焼きでやっていたのよ」
そうか・・・でもご主人の後を引き継いでご子息がかき氷をがんばっていらっしゃるだけでも、ステキな事だと思いました。
「この辺りでは生の果物を使ったかき氷を出す店って、昔から多いんですか?」「いや、ウチだけよ〜」
なるほど、広栄堂さんが先駆者で、他のお店が追随して出すようになったということですね。
秋田ご出身の方にチラリとお話を聞く機会があり、「広栄堂さんのかき氷を食べて育ったんです」と。
これからも、いつまでも、何世代にも渡って愛されるお店であってほしい、そしていつかまた私が訪れる時にも同じ味のかき氷が食べられますようにと祈るような気持ちで店を後にしました。



さて、すぐ斜め向かいに和菓子屋『斎藤もちや』があります。あまりに近いので、ハシゴするのが申し訳ないような気分になりますが(なんとなくお互いのお店に悪いような気がして)、歩くしかないツーリストとしてはありがたくもあり。
店頭のガラスケースには“大福”の文字。それをチラッと見ながら店内に入ると「夏場は大福はお休みしてるんですよ」と女将さん。
夏はかき氷メニューだけだそうです。こちらも生果物を使ったものがいろいろ。レモンと迷った末、プラム氷をお願いしてみました。

『斎藤もちや』の外観と店内のメニュー。もちろん冷房無し、自然の風が吹き抜ける店内で食べるかき氷は格別
プラム氷

あっという間に完食後、大福を売る店だからあんこモノも美味しいかも・・・と思い、2杯目は白玉あずき氷。
白玉は作りたてのほやほやが入るので、氷が溶ける速度がさらに速いっ! “冷やし白玉ぜんざい”と言うほうがいいかもしれません。
さすがに小豆と白玉は美味しいですね。この白玉あずき氷の大ファンのお客様は多いらしく、いろんなエピソードを聞かせていただきました。
のんびりとした時間を過ごし、お店を後に。
白玉あずき氷

こちらの並びに雑貨屋さんがあり、覗き込むとかき氷にちょうど良さそうなガラスの器が。
入って拝見すると、イランのガラス食器でお値段も手ごろ。1つ買ってウキウキしながら駅へ。かき氷旅のいい土産ができた♪


『斎藤もちや』の並びにある雑貨屋さんで
かき氷に良さそうなイランのガラスの器を購入



ちょっと時間に余裕があったので、駅に向かう途中、市場に立ち寄りました。
野菜、果物、魚、お菓子や漬物・・・ありとあらゆる品が!



秋田市民市場

特に目を引いたのが果物屋さん。木箱が沢山並んでいますが・・・杏?
「これは梅。種から実が離れやすいタイプね。(実際はお店の方はバリバリ秋田弁です)」関東ではとっくに梅は終っているけれど、秋田は梅最盛期?
「さくらんぼも美味しいんだよ。さくらんぼは山形だと思っている人が多いけど、本当は秋田!これは東京の有名果物店で1万円くらいで売ってるヤツね」
「秋田美人ってメロンも食べ頃だよー。知らない?これは糖度が17度もあって。特別に試食出しちゃおうかな」 うっわー、これは本当に甘いっ!
「すいかもオススメ。どう?」 うー、すいかは大好きなので買いたいけれど、重いからなぁ・・・
でも秋田に来る前は生フルーツのかき氷って意外と思いましたが、市場を見て納得。
美味しい果物が(関東から見れば)安く手に入るんですもの、生フルーツでシロップを作ろうという考えも自然かもしれないと思いました。

結局果物は見送って、いぶりがっこ(たくあんの燻製)を購入。(おじちゃん、ごめん!)

活気のある市民市場の中、果物を扱う店が集まる一帯。オレンジ色の実は梅です



最後は駅直結のビル内にある和菓子屋さんのカフェ『茶○(ちゃわ) 』へ。"三松堂"という和菓子屋が経営する甘味茶屋です。
こちらは食事メニューや甘味メニューの他に、夏場は生フルーツの氷があるのです。先に行った2軒には無かった味のものを・・・ということで、すいかにしました。
注文を受けてからミキサーでガガーッとシロップを作ってくれています。ちょっと果肉を残してあるのが嬉しい!シャリッとしたすいかの食感が感じられます。
駅からこの近さで美味しいかき氷をいただけるのは、本当にありがたいですね。
『茶〇(ちゃわ)』のメニュー。この中から生すいかをセレクト



生すいか氷。シャリッとしたすいかの食感が瑞々しい

後は新幹線に乗って帰るだけ・・・で、ショッキングな出来事が。
器といぶりがっこを入れた紙袋をトイレに一瞬置き忘れ、戻ったところすでに無くなっていて。手をつくしましたが時間切れで泣く泣く秋田を後にしました。
最後はイマイチ締まりませんでしたが、秋田はぜひ再訪したい!
できれば1週間くらい滞在して広栄堂のかき氷を全種類制覇したい・・・いつか叶うか?!

たまには“きっかけはかき氷”の旅、皆様もいかがでしょうか。




おまけの話題


五能線を走る“リゾートしらかみ”は時間があればぜひ乗っていただきたい列車です。大きな窓から日本海がよく見えて、列車の中では津軽三味線の演奏があったり、お楽しみがいろいろ。


この“鶏めし”が大人気で、昼過ぎには売り切れ。鶏めしを探してあちこちの売店を聞いてまわる方が沢山いました。私も購入できず残念!



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