フレンチレストランランベリーの移転と共に、そのお隣りに、2010年7月12日にオープンしたリベルターブル。パティシエであるシェフ森田一頼氏によるフランス美的料理“CUISINE PATISSARTISM”という他にはない形のお料理スタイルを展開してきました。そして、今回、新たなステージを目指して、9月末に、一度クローズし、12月をめどに、移転再オープンされることとなりました。

新しいお店では、デセールはもちろんのこと、テイクアウトの商品も提供されるとのこと、とても楽しみですね。

リベルターブルでいただいた素晴らしいコースと、現在、ヒカリエに出店して販売されているお菓子を紹介したいと思います。


この夏、昼夜共に、コース内容が一新されました。中でも、ディナーのコースは、ひとつの地方をテーマに、構成されることになったのです。そして始められたのが“フランス、夏のプロヴァンス、コートダジュール”と題した見事なコースでした。


アミューズ

「グリーンオリーブとフロマージュのトリアングル」
スタートは、パータフィローでオリーブとチーズを三角に包んで揚げた品。
熱々、揚げたての状態で供されます。まさに、プロヴァンス!といったアパレイユですね。



「一雫の完熟トマトのガスパチョ」
もうひとつのアミューズは、一口でいただく冷たいお料理。
口に含むと、ベジタブルゼラチンの膜がはじけて、フレッシュな味わいのガスパチョが口いっぱいに広がります。

「サラダメスクラン やきなすを合わせて」
プロヴァンス由来のサラダメスクラン。柔らかな葉野菜に、キューブ状のバジルのジュレやパウダー状のオリーブオイルが散らされています。そして、非常に印象的なのが、アニバーサリーのコースでも出された「やきなすのアイスクリーム」。シェフの郷里、新潟特産の、焼きなす用に作られた、その名も「やきなす」という茄子で作られているのです。甘さをぎりぎりまで抑え、焼きなすそのものを食べているような香ばしく、豊かな香り。ボウル一杯いただいてみたいと思わせる品です。そのアイスクリームに、焼き茄子と生姜のジュレが添えられ、和素材が、違和感なく、溶け込んでいます。



「杏とフォワグラ」
フォワグラのテリーヌに、プロヴァンスでもよく食べられる杏の組み合わせ。
杏は、フレッシュ、コンポート、ピュレと様々な形で使われています。
濃厚なテリーヌに甘酸っぱい杏の組み合わせがたまりません。

「クレープに巻かれた蟹とブイヤベース」
まず、ソースなしで供され、そこに熱々のブイヤベース風味のソースが注がれます。
ソースを注ぐ前のお皿も美しいですね。
蟹を巻いたクレープに、ニース風のブイヤベースのソース(マルセイユ風ブイヤベースと異なり、スープドポワッソンのような濃厚な味わい)という贅沢な一皿。





「仔羊のアンクルート ラタトゥイユ」
仔羊を繊細なパイ生地で包み、マデラソースを添えたクラシックで本格的なプロヴァンスの料理。パイにはきちんと火が通り、仔羊はロゼに焼きあがっているのがさすがです。芳醇なマデラソースといただく贅沢。そして、添えられたラタトゥイユも、家庭料理とは一線を画するレストランならではのこだわりの品です。



アヴァンデセール


「ロゼワインと桃」
ガラスの器に美しく盛られたさわやかな一皿。
お花が散らされたシャンパンロゼのエスプーマの軽いジュレの下には、桃のコンポートとペッシュドヴィーニュのソルベが隠れています。


「アンデスメロンのシブースト、軽いミントのかき氷」
シェフのスペシャリテのひとつ、オープン時から作られている人気のデセールです。
こだわりの、甘みの強い山形庄内産アンデスメロンを使われた品。
テーブルの上で、フレッシュメロンのソースがかけられます。
かき氷をイメージしたさわやかなフレッシュミントのグラニテ。本当に上品なかき氷です。丸くくり抜いたみずみずしいメロンに、メロンのソース、そして、メロンを使った香り高いシブーストクリームとメロン尽くしの贅沢なデセール。甘くておいしいメロンだからこその味わい。濃縮牛乳のアイスクリームの濃厚なミルク感とフレッシュなメロンの味わいの対比。そして、はかなく溶けてゆくグラニテ。





「レモンの丸いタルトショコラ アニスヴェール」
プロヴァンスでよく使われるレモンやハーブをタルトショコラと組み合わせて。
想像していたものとは全く異なるユニークな構成のタルトショコラ。
グラサージュをかけた球体のサブレショコラをカットすると、アニスヴェールのガナッシュ、ヘーゼルナッツのキャラメリゼ、レモンのソルベ、レモンのジュレ、レモンのクリームが流れ出てきます。レモンがかなり効いていました。レモンやアニスヴェールの清涼感で、とてもさわやかなショコラのデセールに仕上がっていて、こういうタルトショコラもあるのだと、非常に印象的な一品でした。

フレッシュハーブティーに
コンフィチュールを添えて

「マルセイユの小舟 <ナヴェット ド サンヴィクトワール>」
そして、食後の飲み物と共に出されるミニャルディーズがナヴェットというこだわり! オレンジフラワーウォーターで香りをつけるプロヴァンスの伝統菓子のナヴェットがミニサイズで焼かれていて、なんて可愛いんでしょう!

最後までプロヴァンスの旅に酔いしれる、素晴らしいコースでした。

新しいお店では、デセール単品だけではなく、コースも出される予定とのこと、期待がふくらみます。



そして、新たに展開されるテイクアウトの商品は、どのような品々なのでしょうか?
今、リベルターブルは、渋谷ヒカリエ地下二階シンクスフードステージに出店中。
プチガトー、ケイク、キッシュなど、多くの森田シェフの作品に出会うことができます。

リベルターブルの美しいゴールドの位置皿も使ってディスプレイされた美しいケーキ達。
極薄の飴やなめらかなガナッシュやクリーム、繊細な生地など、デセールからもうかがわれた高い技術を惜しみなく発揮して作られた品々。プチガトーに加え、美しいアントルメも人気です。

美しいショーケース



「ダリア」
今回の新作で、シェフおすすめの品。濃厚なショコラのムース、キャラメルフランボワーズのガナッシュ、ライチのクリーム、ライチ、ビスキュイショコラの組み合わせ。滑らかなショコラに、ライチの華やかな香りの絶妙なバランスが味わえる美しいケーキ。



「エクラ」
シェーブルチーズのクリームに、赤すぐり、ローズのコンフィチュール。
ほど良く効かせたシェーブルに、薔薇の華やかな香りのハーモニーの個性的で美しいエクレール。



「ゼニス」
カルヴァドスを使ったシブースト、りんごのキャラメリゼ、パータフォンセの中にはフォワグラのフラン!という贅沢なお菓子。濃厚なフォワグラに甘酸っぱいりんごが、おたがいを引き立て合っています



「クリスタル」
シューの中に、濃厚なプラリネクリームと生クリーム、キャラメリゼされたナッツ。 食感とプラリネのおいしさを味わってほしいシュークリームだとのこと。 コクのあるプラリネのクリームと焼きこんだシュー皮がとてもおいしい。



「ロビュスト」
ユニークな形に目を奪われます。ナッツ入りのグラサージュの中にはシュクセ、プラリネノワゼット、パッションフルーツとクミンを纏わせたバナナのソテー。シュクセ生地のサクサク感の中に、濃厚なプラリネととろりとしたバナナ。ほのかなクミンの香りが素敵。




「シャルム」
おいしいモンブランクリームはフランスの栗とイタリアの栗の組み合わせ。きちんと焼きこまれたメレンゲの快い食感。コンデンスミルクをほんの少し加えたミルキーな生クリーム。




「リュクス」
黒トリュフのクリームと濃厚なショコラのマリアージュ。
贅沢な味わいです。

そして、2週間毎日が日替わり! というガトードゥジュール。
非常にバラエティに富んだ、魅力的な品々です。
初日は

「クラフティ・オ・スリーズ」
バトン状に仕上げたおしゃれなクラフティ。サワークリームのクネルがおしゃれで、味のアクセントになっていました。



「マンゴーとアヴォカドのクリーム」
マンゴーのクリームとアヴォカドのクリーム、マンゴー、パッションのソース
マンゴーとアヴォカドという面白い組み合わせ、アヴォカドのまったり感がマンゴーとよく合います。
オレンジ色にグリーンの層が鮮やか。



「ブラマンジェ 桃と15種類のスパイスのジュレ」
スターアニス、シナモン、コリアンダー、クローブ、ジュニパーベリー、フェンネル、バニラ、アニスヴェール、胡椒各種、柑橘の皮などをブレンドした特製スパイスで香りをつけた桃のコンポートとそのジュレ。リベルターブルのデセールに使われていたものです。そして、ランベリーとリベルターブルで出されるスペシャリテのローストしたアーモンドを使った香り高いブラマンジェ。贅沢過ぎる一品でした。



「ミルリトン アブリコフリュイ サブレショコラ」
デセールでも、アプリコットとへーゼルナッツのミルリトンを出されていましたが、さらに贅沢な内容。
薄くさっくりとしたサブレショコラに、味わい豊かなアパレイユ、そして、いろいろな種類のドライフルーツとナッツが入っています



「タルトフリュイ」
クレームダマンドを焼きこんだタルト。フルーツの下にはおいしいパティシェール。
ベリーにぶどう、マンゴーなど、贅沢なフルーツ使い。森田シェフならではのタルトです。



「タルトフランボワーズ ショコラ」
濃厚なショコラのクリームに華やかなフランボワーズの酸味。フランボワーズには、たっぷりとコンフィチュールが詰められ、キャラメルフランボワーズガナッシュも隠れていて、やはり、ただものではないタルトです。



「ブラマンジェと季節のぶどうのジュレ」
スペシャリテのブラマンジェに、数種類のぶどうとジュレの組み合わせ。
みずみずしいぶどう、口の中でとろけるジュレとブラマンジェがたまりません。

ショーケースの上には、
キッシュとクルスタッドが



「クルスタッド オ ポンム」
パータフィロに、クレームダマンド、特製の15種類のスパイスでコンポートしたりんごとパティシェールというこだわりの内容。バランスもとてもよいと思います。

「クルスタッド オ マロンフィグ」
パータフィロのサクサク感に、しっとりとしたアパレイユ。フレッシュのいちじくのコンポートと栗の渋皮煮、マロンクリームが隠れています。クルスタッドはりんごで作られることが多いけれど、栗といちじくも秋らしく、食感の対比もあり、とてもおいしかったです。










先日の表参道のイベントで限定販売されたキッシュ。
今回は、なんと、プチガトー同様、2週間すべて日替わりです。
香りのよいおいしいベーコンが命の「ロレーヌ」、野菜がおいしい「小なす、ミニピーマン、玉ねぎ」「ほうれんそう入り」や、しめじ、舞茸、はなびら茸など、きのこの旨みがたっぷりの「4種類のきのこ」、食感を残したカリフラワーとみずみずしいプチトマトが新鮮な「トマトとカリフラワー」などなど。
「シェーブルチーズのインカのめざめ」ときては、シェーブル好きにはたまりません!



そして、スタイリッシュな細長いケイクが5種類。
カット売りのセットもあります。


「ケイク オ トリュフ ノワール カルヴァドス」
濃厚な黒トリュフの香りに、カルヴァドスを効かせた贅沢なケイク。
トリュフの香らせ具合が絶妙です。









「ケイク キャラメル ポワール ノワ」 和三盆糖も使われていて、ちょっとランベリーのスペシャリテのクグロフを思わせる味わい。
しっとりとしたキャラメル風味のケイク。クルミも効いています



「パンデピス オ フリュイ」
ほどよいしっとり感に、スパイスが効いていて上品でおいしいパンデピス








「ケイク オランジュ ショコラ ノワゼット」
濃厚なショコラのケイクにオレンジコンフィとノワゼットのしっかりとした味わい。




「ケイク アブリコ ピスターシュ」
アプリコットとピスタチオの贅沢なケイク。お酒はアマレットとテキーラ。
杏やピスタチオと相性のよいアマレットが効いています。



森田シェフに、ケイクに対するこだわりをお聞きしたところ、香りを大切にしていらっしゃるとのこと。
どのケイクも、しっとりとして香り高く、非常においしかったです。
ラッピングも素敵なので、プレゼントにもよさそう。

今回の出店は、バラエティに富んだ内容で、どのお菓子も、美しく、とても完成度が高く、おいしいものでした。
新たなお店のオープンが待たれますね!

ヒカリエ出店は17日まで。あとわずかです!
森田シェフのお菓子を味わえる貴重なチャンス。
ぜひ、足を運んでみることをお勧めします。



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