フランスで新年を迎えるにあたって欠かせない伝統菓子、ガレット・デ・ロワ。1月6日の公現祭(イエスの誕生を祝福するため東方の三博士が訪れた日)を祝うこのお菓子は、1月になると街中のパティスリーやブーランジュリーのショーケースを埋め尽くしてしまうほど。フィユタージュにクレームダマンドというシンプルな構成ですが、表面の模様にこだわりをみせたり中に詰めるクレームダマンドにチョコレートやピスタチオを加えて工夫したりと店ごとにカラーを出しているのが楽しいところ。また、ガレットに添える王冠や中に忍ばせるフェーヴまでオリジナルという店もあるから見逃せません。
さて、ところ変わって日本ではというと・・・?こちらでもその人気は着実に高まっている様子。あちこちのパティスリーで見かけるようになりました。そこで、今回はガレット・デ・ロワ特集。パナデリアが実際に見て食べたものの中からいくつかご紹介します!でも、ちょっと待って。フィユタージュにクレームダマンドを挟んだお菓子というとピティヴィエも同じですよね?両者の違いっていったい何なんでしょう?そこで、オープン当初からガレット・デ・ロワを焼き続けているというア・ポワンの岡田シェフに聞いてみました。
「ガレット・デ・ロワは本来、生地(フィユタージュ)を食べるお菓子で、平たく大きく焼くのが普通。フランスではフィユタージュだけを丸くカットして焼いたガレット・フィユテというお菓子もあるんです。それに対してピティヴィエはサイズが小さめ。クレーム・ダマンドをたっぷり詰めて高さを出します。うちの店のガレットはピティヴィエタイプですね」
なるほど。どうやら日本のガレット・デ・ロワを見てみると、高さのあるピティヴィエタイプも多いようです。
また、新年の風物詩であるガレット・デ・ロワ、フランスではその質を競うコンクールも古くから開催されているとのこと。熱心なフェーヴコレクターがフェーヴを交換し合ったりアンティークものの高価なフェーヴが売られていたりなどの場面も見られるというからその人気振りがうかがえます。最近は日本でも「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」によるコンクールが行われていることもあって、着実においしいものが増えてきています。パティシエたちが力を注ぐ期間限定のガレット・デ・ロワを是非味わってみて!(2008.01)

※今年の販売は終了しているガレット・デ・ロワもあります。販売時期についてはお店までお問い合わせ下さい。





ガレット・デ・ロワ(マロンパイ) \3,780

ふわっと上がりのよいフィユタージュは牛乳入りでソフトな甘みが魅力。中には驚くほどしっとりジューシーなクレームダマンドと大粒のマロン。芳醇なバターとふくよかなバニラの香りがア・ポワンらしい優しさを醸し出しています。なんと、オープン15周年を記念してマカロン型のフェーヴまで登場!

小さなマカロンの裏側には、フランス語で「マカロン ぼくの菓子作りの原点」の文字が
※フェーヴは非売品です




ア・ポワン
住所 東京都八王子市追分町23-15
TEL042-622-0333






ガレット・デ・ロワ \1,900

しっかりと焼きこまれたフィユタージュはザックリとした食感と香ばしさがポイント。中にはラム酒の甘みが心地よいクレームダマンドが入り、フィユタージュに負けない力強さを感じます。


ブリオッシェ \800

リング状のブリオッシュ生地にフルーツをトッピングした、南仏で食べられているガレット。大きく焼いているので外側のさっくりと歯切れ良い部分と内側のしっとりとした生地とが楽しめます。オレンジ、レーズン、チェリーなどのドライフルーツ入りで爽やかな仕上がりに。




アルカション
住所 東京都西東京市東町4-15-14
TEL0424-23-3867






オリジーヌ ボワ  \2,400

香ばしく焼き上げたパイとピスタチオのクレームダマンドが織り成すまろやかな味わいを、フランボワーズの酸味がキリッと締めくくります。ふわっサクッの食感、酸味と甘み、色彩のコントラスト。目にも舌にも美味しい、オリジナリティ溢れるガレットデロワ。伝統的なクレームダマンドタイプの「トラディショネル」もあります。
※1月15日で販売を終了しました。


ガトー・ド・ボワ ドュ・ノール店
住所 大阪府大阪市北区梅田2-2-22 ハービスPLAZA ENT 3F ブライダルカフェ内
TEL06-6452-7000






ガレット・デ・ロワ \2,500(直径18cm)

くっきりと深く切り込まれた模様や端正で美しいフォルムが印象的。力強い見た目に反して、フィユタージュは口溶けが良く軽やかな食感。ビター感のある瑞々しいクレームダマンドがたっぷり入った、リッチで華やかな味わいです。


パティスリー パリセヴェイユ
住所 東京都目黒区自由が丘2-14-5タテヤマビル1F
TEL03-5731-3230






ガレット・デ・ロワ ¥2,415(13cm)

フィユタージュショコラにチョコレート入りのクレームダマンド、そして表面にはカカオニブをトッピングしたショコラティエらしいガレット。程よいショコラ感で優しい味わいにまとめあげています。少し温めると香りがいっそう引き立ちます。
※ガレットの販売は終了しました


ジャン=ポール・エヴァン 東京ミッドタウン
住所 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリアB1
TEL03-5413-3676






ガレット・アーモンド \3,360

上品な焼き色のフィユタージュはアンヴェルセ(バターで生地を包む逆折込みパイ生地)仕込みのため、サクサクハラリと繊細な食感。しっかりとした塩気が、クレームダマンドの風味を引き立てます。ローズ風味のクレームダマンドにライチとフランボワーズを合わせた「ガレット・イスパハン」も。また、5種類揃うオリジナルフェーヴも密かに人気がありました。
※ガレットとフェーヴの販売は終了しました


真っ白いフェーヴが新鮮。裏側にひとつだけゴールドのモチーフが

ピエール・エルメ・パリ 青山
住所 東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山1・2F
TEL03-5485-7766






ガレット・デ・ロワ \4,200

直径30cm近くもある大きなガレットはナイフを入れるのがためらわれるほどの美しさ。繊細なフィユタージュの層や濃厚なバターの香りに圧倒されます。ビター系のクレーム・ダマンドとの相性も抜群。完成度の高い逸品です。


マリアージュ ドゥ ファリーヌ
住所 東京都世田谷区深沢2-1-10
TEL03-5752-1015






ガレット・デ・ロワ ¥3,150(Sサイズ 約18cm)

均等に描かれた四葉模様や艶々の表面が見るからにおいしそう。中までしっかりと火を通したフィユタージュは香ばしく、パリパリッと軽快な口あたり。対してクレームダマンドはキメ細かくふんわり。クリームというよりも生地のような軽さが心地よい食感です。生地とクリームのバランスがよい正統派のガレット。


ルコント青山本店
住所 東京都港区南青山1-1-1新青山ビル西館地下1階
TEL03-3475-1770






ガレット・デ・ロア \800(12p)

クレームダマンドとクレーム・パティシエールを合わせたクリームはとても風味豊か。そのわけは濃厚な地鶏の卵やローストしたアーモンドパウダーを使っているから。リッチなクリームにサクサクのフィユタージュの組み合わせが楽しめます。この他、ショコラ風味のクリームにゆずを効かせた個性的なガレット、「ショコラゆず」もお薦め。


ロワゾー・ド・リヨン
住所 東京都文京区湯島3-42-12
TEL03-3831-9901







ガレット・デ・ロワのお楽しみといえば、やっぱりフェーヴ!もともとはクレームダマンドの中に空まめを隠して焼いていましたが、今では陶器が一般的に。その形はイエス像などの宗教的なものから人形、動物、フルーツ、車、本、皿など本当にさまざま。その年限りのものもあるから毎年少しずつ集めるのも楽しそう。ちなみにガレット・デ・ロワとは王様のガレットという意味。大きなガレットを人数分切り分けていただく時に、中に隠されているフェーヴを当てた人はその日一日、王様や女王様として皆から祝福されます。また、その1年間を幸福に過ごせるとも。家族や友人が集う新年にぴったりのお菓子なのです。








パリ在住のライター、加納雪乃さんから気になるパリ情報が届きました!今年の注目株は、モンブランで有名な老舗サロン・ド・テ「アンジェリーナ」とのこと。ちょっと意外な気がしますが、実は現在のシェフは、あのピエール・エルメ出身。しかも、味の構成はスミレ&イチゴ&フランボワーズ。それってエルメで定番のイスパハン(バラ&ライチ&フランボワーズ)を意識してのこと?天使のチャームのフェーヴというのも素敵です。
アレンジ系のガレット・デ・ロワといえばパンドシュクルもお得意なのだとか。ピスタチオやココナッツなどのものを展開しているそうです。また、リンゴや洋梨入りなどの季節のフルーツを使ったものなどもお薦めというから本当にバラエティ豊かです。
毎年開催されているガレット・デ・ロワコンクールでは、日本からの参加者も見られ、女性パティシエールがパトロン部門で17位という快挙を成し遂げたとも。
今後日本でもますますガレット人気が高まりそうな予感がします。
加納さん、聞いただけでよだれが垂れそうな情報をありがとうございました!


パティスリーやブーランジュリーのショーウィンドーはガレット・デ・ロワ一色(写真はイメージです)





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