昨年オープンの『霧原』さん。葉山にお店があるということは・・やはり海の近くか?!と思いきや、思いっきり山!
バスを降りると、セミの声が山から響き渡り、まるで山が鳴っているみたい。緑の香りが清々しい!(でも霧原さんの隣はブレドールやサンルイ島、近くにはスーパーもあるのでそこまで田舎の雰囲気じゃないです)

こちらの女性店主は、天然氷のかき氷を食べることが好きで、好きが高じてついに店を開いてしまったのです。
ただ珍しいのが、いろんなかき氷店の食べ歩きはせずに、ひたすらかき氷が食べられる天然氷の蔵元に通い詰めていたタイプ。なので、意外なほどかき氷屋情報には疎いことにまずびっくり(笑)

ほぼ屋外ともいえる、かき氷を食べるには最高の環境。昨年は日避けの屋根だけだったのが、今年は多少の雨なら防げる屋根に。この奥で注文&会計です


本日のかき氷から・・キウイとライム、色合い的にも涼しげ!


本日のかき氷から・・お客様の要望もあってトライしたというスイカ


昨年の初訪問の注文はレモンのかき氷だったのですが、ちょっと甘すぎて。
店主曰く「昨日いらっしゃったお客様が酸っぱすぎるというので、今日は甘めにしたのです。でも私自身は酸っぱいのが好きで・・・」
ならばご自身の感覚に素直に従ったほうがいいですよ!そのほうが迷うこともないし、味のぶれもないと思うし。
何より私も酸っぱいのが好きなので、酸っぱいのが食べたいです!
「それでいいんですね」
また、その頃は自家製ではない果汁入りのシロップをメインに使われていたのですが、そのシロップの香料と酸味料がきつく、せっかく美味しい氷なのに残念だなぁと思いました。
昨年夏の最後の営業日にうかがった時
「冬の間に果物のシロップの研究をします! 来年はGW頃から営業します」と力強くおっしゃって、私は今年の営業が始まるのをとても楽しみにしていました。


本日のかき氷から・・あんずとミルク杏仁。上にかかっている黒っぽいものはバルサミコ。添えてある白いものは杏仁ミルクソース


そして今年、予告通りにGWから営業再開。
昨年より確実にお客様が増えているようです。脇を固める店主のお母様・お嬢さん(3人もお子さんがいらっしゃるのです。それなのに、夏場は無休&仕事後に車で氷を取りに日光まで行くなんてパワフル!!そんなところからもかき氷に対する情熱を感じることができます)、そして部活の無い日は息子さんも手伝われるとか。
まずいただいたのが、いちごのかき氷。ビロードのようなツヤに鮮やかな赤い色。甘みも酸味も十分で、昨年とは比べ物にならないほどウマイ!
素材となる果物は、そのまま食べて最高に美味しいものを。つまり、「どうせ形がなくなるんだから」と見切り品的なもの(時間とともに美味しさが半減した状態)を使うと、それははっきりと味に出てしまうんです。


春に食べたいちご。今は生のいちごは乗っていません


本日のかき氷から・・大人のはちみつレモン。シロップは酸っぱく、上にかけてある濃度のあるシロップは皮ごと使ってビターに


とろとろ桃。桃はとても難しかったとか。まだ完全に納得した形ではないようで、今後マイナーチェンジもあるかも



お話を聞いて驚いたのが “小田原みかんのかき氷”。
昨年の晩秋、小田原のみかん農家さんのリストを片手に、十数件訪ね歩いたのだとか(!)。欲しいみかんの輪郭ははっきりしているのに、1軒目、2軒目・・・なかなかそれに出会えない。結局1軒だけ「ここだ!」と思うみかんに出会えたそうです。
酸味も甘みも十分なそのみかんを大量に購入し、すぐさま下ごしらえをして冷凍。「この味は夏の暑い時に喜ばれるに違いない」と出番を待っていたそうです。
また、定番メニューの中に三谷製糖の和三盆を使ったものがありますが、定休日(6月までは火曜日定休でした)に日帰りで四国へ行き、三谷製糖さんを訪ねたのだとか!
わからないことがあれば、果物屋さんでもお茶屋さんでも、また同業者でも、とにかくとことん聞く。そして子どもの脳のようにどんどん吸収し自分のものにする、まっすぐな方だなぁと思いました。


本日のかき氷から・・小田原みかん。やはり酸味がポイント!酸味があると甘みが引き立ち、濃厚な味わいに


それと、霧原さんといえば氷の量が多い! 綿菓子みたいなルックスです。
もうちょっと少なめでもいいのでは? と聞いたところ「お客さまに“わぁ!”ってなってもらいたいんです。私も食べに行っていた時にそうだったから。大きさも大事だと思うんです」
確かに氷の量があまりに少ないと、ガッカリするものです。
(ただ、1つのかき氷を2人以上で分けて食べるお客様も多いらしく。良心的なお値段だし、食べてみればけっこうペロリといけるので、真夏なら1人1つは食べてほしいな)
美味しい氷も味わってもらいたいからと、今年からは予めかけるシロップは少な目に、あとは別添えで自分でかけるようにしたそうです。


定番メニューのグレープフルーツ


マンゴー。2回食べたけれど、熟しきっていない青さが残るマンゴーで作ったほうが 好みでした。後ろに見える小さな一輪挿しは、陶芸が趣味という店主のお母様の手に よるもの


知名度も少しずつ上がってきた霧原さん、週末の3時過ぎくらいからは行列もできるようになりました。
「でもあまり混まないほうがいいです。寒い日でも食べに来てくださるお客様も、本当なら暑い日に待たずに食べたいと思うし。それに家族でやっているので・・」
「私は家族を養う必要がないから、のんびりとできれば。おばあちゃんがのんびりやっているようなかき氷のお店ってありますよね。あんなふうになりたいんです」
なるほど・・・と思い浮かべたのが、伊豆にある『ふかせ菓子店』や浜松の『みどりや』。家族経営で・・でも真夏はやっぱり人が並んで忙しそうだな(汗)
もっと近いイメージは、今は無き長崎の『春本』かなぁ。(ネットでいろいろ見ただけで、結局行けないうちに閉店してしまったのですが。今でも残念でなりません)


ある日のメニューボード


宇治抹茶あずき。私はほとんどミルクをかけないのですが、一応少なめにつけていただきました。ミルク抜きなら100円引きです 宇治抹茶あずきの小豆、今年からご自身で煮ているそうです


とにかく楽しそうにかき氷作っている姿を拝見するのが私も嬉しくて。
これからも無理のない程度に(3ヶ月も定休日が無いのはやっぱり心配)、 “かわいいかき氷屋のおばあちゃん”を目指してがんばっていただきたい!




霧原
住所:神奈川県三浦郡葉山町一色653
Tel:090-6305-8980
アクセス:JR逗子駅or京急新逗子駅、JR衣笠駅からバスあり。一色住宅下車
今年はGWから営業開始。7〜9月は無休、ただし雨や風が強い場合は休み。電話が繋がらない場合は休みの可能性大。
曜日にも寄りますが12〜14時が空いているようです。



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