マカロンはフランスの代表的なお菓子だと思われがちですが、じつはイタリアが発祥の地。語源は、パスタのマカロニ。16世紀にフランス国王アンリ2世に嫁いだ、カトリーヌ・ド・メディシスによってフランスに持ち込まれたと言われています。
1832年、老舗「ダロワイヨ」がマカロンリスと呼ばれる表面がツルッとした、アーモンドのクリームをサンドしたものをパリで最初に発売したのが、現存しているマカロンの原形とされています。
他にも、フランスではいろいろな地方で独特のマカロンがあります。それぞれ製法は違いますが、使われている素材はほとんど同じ、卵白、砂糖、アーモンド。
たとえば、ロレーヌ地方、ナンシーのマカロン・ド・ナンシーは表面がひびわれたクッキーのようで、とても素朴なもの。
日本人の私たちが、普段見ているマカロンとは、ちょっと違うものに思えるかもしれません。
しかし、江戸時代に日本へ最初に伝えられたマカロンというのは、じつはマカロン・ド・ナンシーで、マコロンという名前で親しまれたそうです。
特徴は、アーモンドの代わりに、ピーナッツを使っているところ。
他にもココナッツを使ったマカロン・ココなど、日本では駄菓子のジャンルで生きてきたようです。


さて、話はフランスに戻り・・・
マカロン・ド・ナンシー同様、平らな形でひび割れたマカロン・ド・サンテミリオン。ボルドー近郊にあるサンテミリオンは、ブドウ畑の広がる世界遺産の街。ワインの有名なこの街で作られるマカロンは、甘口のワインを使って作られているそうです。
そして、北フランスピカルディー地方、アミアンのマカロン・ド・ダミアンは、クッキーのような生地にハチミツを加えて作られるため、ねっとり、しっとりとした食感が特徴のもの。
その他にも、ポワトゥー・シャラント地方のマカロン・ド・モンモリオンなど、フランスにはいろいろな地方に個性豊かなマカロンがあるので、ぜひ、それぞれの土地でご賞味いただきたいものです。


13世紀にウルスラ会の修道女が作ったのが起源といわれるマカロン・ド・サンテミリオン。こうやって紙に乗せて焼き上げられている




さて、日本人にもなじみの深いあのマカロン、あれば、正式にはマカロン・パリジャンと呼ばれるもの。
つるんとした表面がカシャっと割れて、中からはしっとりとしたアーモンドクリームが現れる。卵白と砂糖をあわ立ててふわっとした生地のまわりに、ピエと呼ばれる足がついているのも特徴。
パリのマカロンと言えば、代表選手は「ラデュレ」。ショーケースには色とりどりのマカロンが並び、朝早くから客足が絶えません。
そして、天才「ピエール・エルメ」のマカロン。クリスマスシーズンに並んだフォワグラや白トリュフのマカロン。まさかと思われる組み合わせが、忘れられない贅沢な味わいです。


パリの「ピエール・エルメ」のショーケース。柚子を使ったマカロンや、白トリュフのマカロンなど、魅力的なマカロンが並べられている




日本でも、今ではさまざまなマカロンが登場しています。バレンタインの時期などには、通常はボンボンショコラのセンターに使われるガナッシュを、バタークリームの代わりにサンドしたショコラマカロンなども人気の的でした。

外側はパリッと中はモチッとした、まるで日本の最中のようなマカロン、じつはその食感と味わいは、世界共通のおいしさなのかもしれません。


パリの「ラデュレ」では、こんなに大人っぽいマカロンも。かなり女心をくすぐるプレゼントになりそう




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