〜 初日(3/13)編 _ 05 〜



【 パティシエ・エス・コヤマ 小山進氏による
バナナケーキの実演講習会 】



関西で絶大な人気を誇る「パティシエ エス コヤマ」の小山 進シェフは、バナナケーキのデモンストレーションを披露。
「タヒチのボラボラ島を旅行した時、ウェルカムサービスでバナナケーキをもらったんです。親切にレシピまでついていて。それが印象的だったので早速、帰国してから作ってみました。ただ、むこうのバナナは小さくてすごく濃厚なんですよ。だからその時の味を思い出しながら作ったレシピがこれです」

シェフが考えたバナナケーキは、材料も作り方もいたってシンプル。全卵に塩、砂糖を入れて混ぜ、バニラを入れた後、粉とアーモンドパウダーを入れてざっくりと混ぜ、溶かしバターと水あめを合わせたものを入れたら、ベースは完成。水あめを入れるのは保湿性を高めるため。奥深い、やんわりとした甘みになるそうです。また、卵は決して泡立てたりせず、粉類を入れた後も混ぜすぎないことがポイント。

フィナンシェベースの生地なので、泡立ててはいけません


「よく混ぜるのは、油脂(バター)を入れてから。そうすればグルテンも出にくいんです。ところでこの生地、何かに似ていると思いません?そう、基本はフィナンシェ生地なんですよ。ただし卵白ではなく全卵に置き換えていますけど」
確かに、油脂を入れた後はかなりしっかりと混ぜ、完成した生地は艶々に。これも素材の性質を知っているからこそできること。“グルテンが出ないようにさっくりと”ということばかりを気にしていると、逆に混ぜ方が足りなくなってしまうのです。

 最後の段階でようやく主役のバナナが登場。粗くつぶしたものを合わせます。バナナはどんな種類が向いているのでしょうか?
「このケーキね、バナナの量がすごく多いんですよ。だからやっぱりおいしいバナナを使ってください。今日はフィリピン産のスウィーティオです。他にエクアドルのものでも・・・
ん?これ、バナナが少ないんちゃう?なあ、松尾?」

“松尾くん”は今回のアシスタントを務める若いスタッフ。現在は販売スタッフとして働きつつ厨房に入ることを夢見ています。優しそうでちょっぴり頼りなさそうな松尾くんは、シェフにとって、イジメ甲斐・・・ではなくて鍛え甲斐のあるキャラクターのよう。というわけで、とても可愛がっていました。

「いやあ、間違ってない・・・かなあと」
「だって生地は倍量やから、バナナも倍にしないとあかんやろ」
「あ・・・。そう、ですよね(笑)」
「こいつね〜、お菓子作らせる前に、まずは人間としてのお勉強をしないといかんのですよ。だから暫くは販売やらせてます(笑)」

バナナの粒々が残っているため、口金を使わずに絞ります


寛大なシェフの下で伸び伸びと育っている松尾くん。初対面でも不思議と親近感がわいてきて、つい応援したくなってしまいます。それというのも、スタッフひとりひとりに目を配り、きちんと育てようとする小山シェフの人柄あってこそ。いつでも情熱的でパワフルに、そして楽しくお菓子と向き合うシェフを慕って、松尾くんを含め、皆が一丸となってエスコヤマを盛り上げているのです。

「実は今日、松尾をアシスタントにしたのにはわけがあるんですよ。この後のロックナイト、楽しみにしててくださいね」 2人のかけ合いが楽しく進みながら、あっという間に生地が出来上がり、オーブンへ。次第にバナナのあま〜い香りが漂ってきました。
深めの型に入れて焼き上げたケーキは、しっとりやわらか。バナナの優しい甘みにほっとする味わいでした。

中はこの通り。ふっくら焼けています


さて、このデモンストレーションをもって初日のイベントは無事に終了・・・とはいきません。本当の?お楽しみはこれからですよ。パティシエたちの熱〜い夜が始まります!






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