クリームチーズといえば、キリ。一般の人にも浸透しているこのクリームチーズは、いうまでもなく、レストランやパティスリーの製菓材料として、なくてはならない素材です。
そのキリクリームチーズを使ったお菓子のコンクールが、2年に1度開催されています。業界でもトップクラスの応募数というこのコンクール、今年で11回目を迎えました。 キリクリームチーズが日本で発売されて30周年という記念の今年は、従来の「生菓子部門」「焼菓子部門」「ファクトリー部門」に加え、新たに「ジュニア部門」が創設されました。応募条件は、プロとしての経験が3年以下であること。年齢は問われません。今後、仕事を始めたばかりの料理人やパティシエ達が最初に目指すコンクールとしての発展も注目したいところです。 さて、フランス大使館で行われた表彰式には、201点という応募作品から、書類選考を勝ち抜いた20名(各部門5名)が、コックコート姿で登場しました。実は、この日の昼間、別会場で、彼らは審査員を前に実技審査を行っていたのです。戦い終えたファイナリストたちが、わたしたち観客と共に、ドキドキしながら最優秀作品をはじめとする発表の瞬間を待ったのでした。 |
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選手20名、審査員7名、主催者などが勢ぞろい |
このコンクールでの基本的な審査基準は、まず第一に、キリクリームチーズの味がよく出ていること。そして、商品化を前提に作られていること、見た目の美しさや独創性です。 会場内の大きなスクリーンに次々映し出される20作品の完成写真は、少なくともわたしたち観客からは、見た目の美しさと独創性では甲乙つけがたいように見えました。 |
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横田シェフを審査員長に、7名の審査員が実技審査を行いました |
最初に発表があったのは、ジュニア部門です。プレゼンテーターは、「ラメール洋菓子店」の大関シェフ。 「コンテスト初という人もいて、緊張もあったと思うが、みんなよく頑張っていた」 と述べた後に、銅賞、銀賞、そして最優秀賞を発表しました。最優秀賞に選ばれたのは、「東京ディズニーランドホテル」の小松夢衣菜さん。「リゾットチーズ」という作品は、その名の通りお米を使ったプチプチ感の楽しい爽やかなケーキでした。 |
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続いて、生菓子部門へ。「菓子工房 オークウッド」の横田シェフより、 「非常にレベルが高かった。キリクリームチーズの味を生かす工夫がすごかった」 というお話しとともに、発表がありました。最優秀賞に輝いたのは、「パティスリー グレゴリー・コレ」の本岡遊さん。「Bijou」というタイトルのケーキは、キリクリームチーズのほか、ココナッツやマンゴーを使っていますが、それぞれの部分にほんのりと柚子をしのばせてあるという工夫がしてあり、見た目からは想像できない驚きがあります。 |
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焼菓子部門は、「パティシエ エス コヤマ」の小山シェフよりの発表でした。 「焼菓子はチーズの味を生かすことや、見た目でも苦労が多い部門だと思う」 との言葉がありましたが、そんな中で最優秀賞を勝ち取ったのは「ナカシマ」の中嶋悠一さんでした。「ラ・フロマジュリー」という作品は、焼菓子とはいえ冷やしても食べられる魅惑の一品。そして中嶋さんは、なんと2年連続で最優秀賞を受賞したのです。もちろん、大会初のこと。 「素材に素直に向き合って、おいしいお菓子を作りたい」 と、受賞後には、さすが2度目の落ち着いたコメントがありました。 |
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ちょっぴりユニークなファクトリー部門には、「キリクリームチーズの使用量が総重量の20%」「工場のラインで作れること」という決まりがあります。 「日本全体を支える興味のある部分」 と、プレゼンテーターである「レ・アントルメ国立」のA澤シェフが言うとおり、観客の興味も深いところ。そんな注目の部門を制覇したのは、「MERCER bis Ebisu(マーサ ビス エビス)」の木詠美子さんでした。「ふろまあじゅ ぶりゅれ・ume」という梅をクリームチーズに合わせた個性的な作品です。木さんは、今年3回目の挑戦とのことで、受賞後、 「キリで絶対優勝してやる! と思っていた夢がかないました」 と笑顔と共に力強い言葉が。彼女にこれからの活躍も期待したいという雰囲気が会場に漂いました。 |
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そして、最後に、横田シェフより総評と個々の最優秀作品についてのコメントが述べられました。 それでは、それぞれの最優秀賞作品を、横田シェフの総評とともにご紹介しましょう! |
「ジュニア部門」最優秀賞 小松夢衣菜さん 「リゾットチーズ」 |
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「生菓子部門」最優秀賞 本岡遊さん 「Bijou」 |
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「焼菓子部門」最優秀賞 中嶋悠一さん 「ラ・フロマジュリー」 |
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「ファクトリー部門」最優秀賞 木詠美子さん 「ふろまあじゅ ぶりゅれ・ume」 |
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表彰式も無事終わり、その後はパーティーへと移りました。キリクリームチーズの輸入元であるアルカンが輸入するフランス食材とワインがたっぷりと並び、コンクールに参加した方、審査員の方も一緒になって楽しむという趣向です。 そして、今回のコンクールの凄いところは、パーティーにファイナリスト20名すべての作品が並ぶこと! 観客までもが、全商品を試食できるコンクールなんてそうはないのでは? |
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お料理の他、ファイナリスト20名の 作品も試食できるという贅沢さ! |
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最優秀作品を食べてみたいのはもちろんなのですが、それ以外にも魅力的なものはたくさんあって、あれもこれもとつい欲張って手が伸び……。欲張って、ほとんどのお菓子を食べてしまった我らがパナデリア。 偉そうに総評を言わせていただけるなら、 「決められた時間の中で作ったなんて信じられないくらいレベルの高いものがたくさん! ぜひ、多くの作品が商品化されることを望みます」 お菓子のトレンドまでも見えてきそうなこのコンクール、来年も楽しみです。 |
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