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取材・文 佐々木 千恵美 |
日本人なら誰でも知っているバウムクーヘン。 ドイツ生まれのこのお菓子は、シンプルな素材の生地を何層にも重ねて焼いた年輪のような形が、自然や生命の尊さなどにもつながるのでしょう。日本人の心にささり愛され、今や様々なタイプやアレンジが日本全国で展開され、本国ドイツを大きく超える人気ぶりとなりました。2016年からは全国のご当地バウムクーヘンが集結する「バウムクーヘン博覧会」が開催されるなど、もはや日本を代表する郷土菓子といえますね。 そんなバウムクーヘン作りの肝となるのが卓越した職人の技。卵、砂糖、小麦粉、バターといったシンプルな材料だけに、生地作りから焼きの見極めまで、職人によって出来に違いが出るのもこのお菓子の難しさであります。 ところが今年、職人の焼きの技を習得したAIロボットが現れたのです。その名はバウムクーヘン専用AIオーブン「THEO(テオ)」。老舗洋菓子メーカーの「ユーハイム」が菓子店間の遠隔操作や、バウムクーヘンの味や職人技の技術継承のために開発したロボットです。 |
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バウムクーヘン専用AIオーブン「THEO(テオ)」 |
2021年3月1日(月)〜3月7日(日)の7日間、東京駅エキナカ商業施設「グランスタ東京」内のイベントスペース「スクエア ゼロ」に設置されたテオは、厳選された材料で、添加物を使わない「純正自然」のお菓子作りを続けてきたユーハイムの職人たちの志を継ぎつつ、仕込まれた生地を忠実に焼き上げていました。 表情を変えながら働く姿をのぞき込んでいると、みるみるうちにバウムクーヘンが出来上がっていきます。 |
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テオが焼き上げたバウムクーヘンをその場でカットするのはユーハイムの職人さん。こちらも見事な手さばきです。 |
会場にいらしたユーハイムの職人さんにお話しを伺うと、今回テオが作るバウムクーヘンは焼き時間約20分の、焼きたてがおいしいレシピの生地を学習させたとのこと。 |
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テオが焼き上げたバウムクーヘンは1本丸ごとでも販売されていました。 |
同時開催されていた出張版バウムクーヘン博覧会のレジ前に、焼きたてバウムクーヘンが出来たそばから並べられていき、甘い香りが人々を誘っていました。 感染対策を取られたイートインスタンドでいただいてみると、口に広がるやさしい甘さとしっとり感がたまりません。焼き菓子は時間がたった方が馴染むものと思いきや、焼きたてでしか味わえないおいしさもあるんですね。翌日はレンジで少し温めるといいとアドバイスも頂きました。 ベテラン職人がテオに教え込み、どこにいてもベテランの技で焼きたてが食べられる。まさに今の時代にはありがたいフードテックですね。 |
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カットされた焼きたてのバウムクーヘンはここでしか味わえない美味しさ。テオがあれば、世界のあちこちでこの美味しさが味わえる、そんな夢もかなう日がきそう。 |
コロナ禍で遠出がしにくいというバウムクーヘンファンのための出張版バウムクーヘン博覧会には、全国のお菓子屋さんから選ばれたご当地バウムクーヘンが並びました。大型、一口サイズ、チョコがけしたもの、中にはりんごを丸ごと包んで焼いたものまで、アレンジして楽しむことが得意な日本人によって広がったバウムクーヘンの世界。 さらにオンライン開催のページを覗いてみると、「ファイナルクーヘン総選挙2021春の陣」なるイベントで盛り上がっているではないですか! (※投票は4月5日まで) |
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東京駅に出張した「バウムクーヘン博覧会」 |
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パッケージも中身もかわいいりんごのバウムクーヘン |
3月4日はバウムクーヘンの日。
1919年に日本で初めて紹介された日が3月4日だったことから、ユーハイムがバウムクーヘンの日としたそうです。今年はちょうど会期中だったのですね。 なかなか気軽にリアル旅行ができない時だけれど、画面上のご当地バウムクーヘンを眺めながら、お気に入りを見つけて味わってみるのも面白そうです。 |
*期間限定「バウムクーヘン博覧会オンライン」 こちらは2021年4月16日まで開催 https://www.baumkuchenexpo.jp/ |
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newme のイメージ画像
![]() 会場に設置されたコミュニケーション型アバターロボット「newme(ニューミー)」を、自宅のPCから遠隔操縦すると、まるで会場へ瞬間移動したかのような、イベントの新しい楽しみ方体験も用意された。バウムクーヘン専用AIオーブンと遠隔参加ロボットというハイテクを駆使した、新感覚のイベントでした。 ※ newme:ANAグループのavatarin株式会社が開発 |
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