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取材・文 下園 昌江 |
昨年11月に、サンエイト貿易主催によるSOSA(ソーサ)商品を活用した菓子講習会が開催されました。講師を務めたのは、スペイン出身のカルレス・マンペル氏。2002年、2004年にWPTCのスペイン代表として活躍。2005年にはクープ・デュ・モンド・ドュ・ラ・パティリーのチョコレート部門の代表を務め、「Best chocolate cake」を受賞。同年にはパティスリー「bubo BARCELONA(ブボ・バルセロナ)」をオープン。現在はSOSA社のデモンストレーターとして活躍しています。 |
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カルレス・マンペル氏 |
スクエアジャンドゥージャ |
味の組み合わせはチョコレートとヘーゼルナッツという王道ですが、組み立てで、これだけ斬新なお菓子になるのか!と驚いたお菓子です。味のヒントはなんとあの「ヌテラ」! やっぱりヨーロッパの方にとって幼少期の忘れられない味なのですね。 |
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タルトにフィリングを流す | 立てた状態で組み立てる |
特殊な型で焼いたサブレ・ノワゼットの生地に、クレムノワゼットショコラを流し込みます。これには、チョコレートと、プラリネノワゼット、太白ごま油、SOSAワックスコンセプト、フィヤンティーヌ、SOSAペタクリスピー、ゲランドのフルール・ド・セルが入っています。仕上げは、薄いチョコレートでサンドしますが、一角がまるでかじられたかのような演出で遊び心があります。なんと、カヌレ型を利用して、歯形の様に抜いたのだとか。これはぜひ真似したいアイデアですね!
サブレには粉の代用として一部SOSAのマルトセックをいれ、よりバターやヘーゼルナッツの風味を感じるようにしています。そして、中のクリームには、SOSAワックスコンセプトを使用し油の保型性を高めています。チョコレートとヘーゼルナッツの濃厚で香ばしい味とほんのり効いた塩味、そしてSOSAペタクリスピーが口の中でパチパチ弾けるのを感じる楽しいお菓子でした。 |
レッドフレッシュ |
赤いフルーツとホワイトチョコレート、ハーブを組み合わせた、爽やかなアントルメです。 赤いグラサージュと糖衣がけしたバジルで飾られた一見ベーシックなケーキに見えますが、様々な食感や素材の組み合わせを味わえる構成です。 |
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ビーツの赤色が鮮やかなビスキュイ | ビスキュイの上にクルスティヤンを薄く伸ばす |
まずは色鮮やかなSOSAビーツパウダー入りの柔らかいビスキュイを焼きます。SOSAでは様々な野菜やフルーツのパウダーがありますが、ビーツパウダーは本当にはっきりした鮮やかな色で、見た目のインパクトも強いですね。焼成後、SOSAのラズベリークリスピーやヨーグルトフレーバーパウダーを合わせた爽やかな風味のクルスティヤンを平らに伸ばします。 |
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ハーブの香りのガナッシュを絞る | 赤い果実のムースを流し込む |
その上に、バジルとミントの香りを移したホワイトチョコレートのガナッシュを絞ります。 そして、SOSAストロベリークリスピー入りの、赤い果実(苺、ラズベリー、赤桃)のムースを重ねます。このムースは、気泡力に優れた乾燥卵白(SOSA アルブミナ)を使用し、フルーツピューレでメレンゲを立てているので、軽やかながら果汁の味はしっかりと感じられるものでした。また、フリーズドライ加工した苺のクリスピーを加えることで、果実感を強く感じました。 |
ロングセザム |
その名の通り、細長いゴマのお菓子です。細長く四角に敷きこんだタルトの中には、ゴマ風味のクランチーとオレンジのクリームを絞り入れて、表面は砂利がポロポロしているようなゴマの生地を飾った遊び心を感じるお菓子です。ゴマに合わせたのはなんとオレンジ! ゴマとオレンジの斬新な組み合わせと、SOSAのマルトセックやワックスコンセプトを使うことにより新たな形状や食感を感じることができます。 |
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細長いタルトにゴマ風味のフィリングを絞り入れる |
まずは、純練りごま(白)にSOSAのワックスコンセプトを混ぜ「フォーブール オ セザム」(ゴマのバターもどき、という意味)を作ります。 ワックスコンセプトは蜜蝋が原料で、これを入れることにより油脂に保形性を持たせられるのだそう。このフォーブールに、プラリネ、練りごま、フィヤンティーヌなどを合わせたクランチペーストをタルトの中に絞り入れます。 |
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オレンジクリームを絞った上にそぼろ状のゴマ生地を散らす |
クランチの上には、SOSAジェルクレムコールドでとろみをつけたオレンジクリームを絞ります。SOSAジェルクレムコールドは、ジャガイモの澱粉が原料で、加熱しなくても水分に加える事でとろみをつけることができます。そのため、フルーツの香りや色を変えずにクリーム状にすることができます。 最後にSOSAマルトセックを使った砂利状ゴマの生地を表面に散らします SOSAマルトセックはタピオカ由来のマルトデキストリンで、油脂分を吸着する性質があるので今回のゴマの様に油分とあわせてパウダー状の生地を作ることができます。 |
ケークモンブラン |
モンブランをイメージしたパウンドケーキ。マロンと相性の良いカシスを合わせてスタイリッシュな形に仕上げていきます。 |
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砕いたマロングラッセを入れる | マロンのクリームを詰めて表面を平らに |
まずは、ケークのセンターに入れるクリームを作ります。 細長い型にマロンコンフィ・エグデを散らし、その上からSOSAワックスコンセプトとバニラを加えたマロンのクリームを詰めて表面を平らに整えます。ワックスコンセプトは中に入れた澄ましバターを保形するのに役立っており、このマロンのクリームの部分がそのままの形で焼きあがります。 |
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ケーク生地は、マロンピューレ、アーモンドパウダー、マダガスカル産バニラを加えたもので、この中央に成形したマロンのクリームを入れて焼成します。焼成後はラム酒入りのシロップをうち、最後にカシスと赤桃のピューレを使用したグラサージュをかけて仕上げます。グラサージュの深い紫色が薄く均一にかかると、とても上質で大人っぽい雰囲気です。
断面をみると、マロンのクリーム部分が崩れずに元の形を残しているのがわかります。これは他の素材でも色々と応用できそうですね。 |
サブレパンナコッタ |
赤と白がまぶしいプティガトー。ラズベリー、ローズ、ビーツといった3種類の赤い素材を組み合わせて作ります。 |
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パンナコッタをバットに流し固める | 土台の生地はセルクルに入れ手で形作る |
お菓子の名にも入っている、パンナコッタは、シンプルに牛乳、生クリーム、バニラを合わせたもの。凝固剤にはSOSAのプロパンナコッタを使用します。これは、カラギーナンを原料としていて、乳製品のカルシウム等と結合して粘性のあるゼリーになります。又、SOSAのゴマガロフィを併用し、その増粘力で離水を防止するのに役立てています。固めた後はセルクルで抜いてサブレの中央に置きます。 土台に使うのは、SOSAビーツパウダーを使用したサブレ。サブラージュで作ったそぼろ状の生地をセルクルに詰めて焼成します。 |
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イチゴ水を活用したゼリー | 弾力があるのでシャープにカットしやすい |
そして、赤いゼリーは、まずイチゴ水を作ることから始めます。イチゴ水とは、冷凍したイチゴに砂糖を適量まぶし、解凍した時に抽出した水分の事です。これに、ダマスクローズウォーターで香りをつけます。凝固剤には、SOSAのアガーアガーとSOSAのインスタントジェルを併用し、プリッとした弾力があり、離水が少ないゼリーを作ります。 固めた後はキューブ状にカットしてラズベリーと交互にパンナコッタの周囲に飾ります。 |
スナッククッキーズ(フルーツクランチー) |
今回の講習会の中で一番手軽にトライできそうなのが、スナッククッキーズ。 ちょっと面白いネーミングですが、とても個性的でバレンタインシーズンなどにも活躍しそうです |
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そぼろ状の生地で作る | チョコレートはシャブロンで形作る |
生地のベースは、マルトセック入りのサブレ生地。サブラージュで仕込みます。今回は赤と黄色の2種類を作り、それぞれホワイトチョコレートを入れています。 赤は、SOSAのラズベリーとストロベリーのクリスピー、パルメザンチーズを、黄色は、SOSAのパイナップル、パッション、ライムのクリスピーを入れています。 ポロポロとした生地をフイルムシートの間に挟んで伸ばし、セルクルで抜きます。 最後に丸いシャブロンを利用して、薄いチョコレートのプレートを作り、サブレを接着します。 ザクザクとした食感とフルーツクリスピーの香りや酸味、チョコレートのコクがあって、今までにない珍しくて面白いお菓子だな、と感じました。色も鮮やかで目をひきます。 |
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講習会を終えて |
講習会を終えて、ほっとした表情のカルレス・マンペル氏。 今回はSOSA社の製品を使用したお菓子の紹介だったため、参加者の方たちもまだ使ったことが無い素材についての疑問点などを質問しながらの内容でした。 カルレス・マンペル氏によると、SOSA社の製品は、日本ではケミカルなイメージや演出目的のために使用されるというイメージが強いかもしれませんが、実は天然素材で作られたナチュラルなものだと考えているそうです。 また、「現代の健康志向にSOSA社の製品は大いに活躍する」といった言葉が印象に残りました。ヨーロッパでも、食に糖分や脂肪分が少ないものを求める傾向があるそうです。それに対応するために、例えばSOSAジェルクレームを使うことで、卵黄や生クリーム、バターを入れなくてもクリームやムースを作れます。これからは美味しさという事に加えて、より体に負担の少ないものを目指すこともお菓子作りの1つの方向性なのだと感じました。 |
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情報や技術を惜しみなく分かち合う姿勢のカルレス・マンペル氏 |
講習会後、インタビューに応じてくれたカルレス・マンペル氏。 とにかく好奇心が旺盛で、海外に行くたびに市場を訪れては気になるものがあればとりあえず食べてみる、とのこと。日本の食材で特に気になっているものは?と伺うと、「黄な粉と海藻」との答えが帰ってきました。 なんと、以前海ぶどうを使ったことがあるそうで、牛乳で2分間煮てみたところ特に変化はなくとりあえずそのまま置いたところ、翌日にはゲル化作用でヨーグルトのようになっていたのだとか!予想していなかっただけにこれには彼も驚いたのだそう。海藻は葉緑素やビタミンAが含まれるので体にもいい効果があるだろうし、とても興味深いとのこと。 「まずは、食べて、試してみる」、というカルレス氏のモットーがよく分かるエピソードでした。 彼は、スペインのカタルーニャ出身なのですが、カタルーニャ人は相手との分かち合いを大切にしているそうです。その姿勢が感じられるカルレス氏のお菓子作りと、SOSA商品での表現の仕方が伝わった講習会でした。 |
◆ サンエイト貿易 http://www.sun-eight.com/ |
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