![]() |
取材・文 佐々木 千恵美 |
東京メトロ「四谷三丁目」駅界隈の荒木町は、近頃注目を浴びている飲食のスポット。新宿通りと靖国通りに挟まれた路地に一歩足を踏み入れると、緩やかな坂道に昭和の雰囲気漂う飲食店が軒を連ね、そぞろ歩きがとても楽しい。実はこのあたり、江戸時代には松平摂津守の屋敷があり、明治時代には池や庭園のある景勝地となり、芸者らが行き交う風情ある花街であったという歴史があります。
100年以上の時を経て、古き良き雰囲気を醸す荒木町は神楽坂と同じく、フランス人のハートを掴む町なのでしょう。23年前に「ラ・トゥール・ダルジャン」ホテルニューオータニ東京店のエグゼクティブ・シェフとして来日したドミニク・コルビ氏が、2015年に自身の店「フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」を荒木町に構えたのも、そんな理由からかもしれません。 そのコルビ氏が、同じく荒木町でレストランを経営する南 喜一朗氏に総料理長として迎えられ、パワーアップして移転。2017年、コンセプトの異なる2つのフロアを持つレストランとしてリニューアルオープンしました。 |
![]() |
四谷三丁目駅(丸ノ内線)から徒歩3分、曙橋駅(都営新宿線)から徒歩7分、四ツ谷駅(JR・南北線)から徒歩10分。荒木町・車力門通りに面した建物の2階3階にある。 |
南 喜一朗氏はフランスワインの称号を3つも持つワインのエキスパート。また数々の名店をオープン、運営の業績を残す凄腕の持ち主。2年前に荒木町・車力門通りに「メゾン・ド・ミナミ」「シュヴァリエ・デュ・ヴァン」をオープンさせたところ、お店の常連であったコルビ氏と意気投合。コルビ氏と手を組みリニューアル、コラボレーションをスタートさせたのです。 |
![]() |
ドミニク・コルビ氏(左)と南 喜一朗氏(右) |
|
|
リニューアル後の店名は「メゾン・ド・ミナミ フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」、「シュヴァリエ・デュ・ヴァン ドミニク・コルビ」。前者は日本全国の産地に直接出向いて仕入れる、吟味したこだわりの食材を用い、“バター、クリーム、小麦粉をほとんど使わずに作る、胃にもたれない優しいフレンチ”がコンセプトの割烹スタイルのフレンチ。そして後者はフランス各地の郷土料理と、店内に所蔵している3,000本のワインコレクションとのマリアージュを提案。ランチ営業もあり、気軽にフランス郷土の味を堪能できます。 |
![]() |
「メゾン・ド・ミナミ フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」の入り口。壁にはドミニク・コルビ シェフオリジナルの八重梅紋があしらわれている。 |
店内やお料理のことなど、2月末に行われたプレス向けお披露目会の様子を交え、もう少し詳しく紹介しましょう。
2階の「メゾン・ド・ミナミ フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」は、カウンター席のあるオープンキッチンのシックな空間。コルビ氏が日本各地で出会った素晴らしい食材を、現代にあったフレンチの手法で調理していきます。例えば出汁には北海道の昆布、大分のどんこ椎茸を使ったり、スープ・ド・ポワッソンには宮崎の麦みそを隠し味にするなど、フランス料理と和の食材の融合が、こんなに身体を喜ばせてくれるなんてと感動もの。デザートにも和の旨み。生クリームではなく、豆乳クリームに滋賀県産の酒粕を混ぜホイップしたものに季節のフルーツを添えた一品は、高知県の日本酒スパークリングにボンマリアージュ! そう、こちらではワインやシャンパンに限らず、日本酒もリストアップされているので、幅広いマリアージュが楽しめるのです。 仕込みにじっくり手間暇をかけているので営業は18時から。3種類のおまかせコースから選びますが、21:30以降はアラカルトありのバータイム(深夜営業あり)となるので、少し気軽にお料理とお酒が楽しめます。 |
![]() |
「メゾン・ド・ミナミ フレンチ割烹 ドミニク・コルビ」店内。 |
![]() | ![]() |
日本の素材を活かしたお料理を豊富なワインや日本酒とともに堪能できる。 |
![]() |
プレスお披露目会で供されたデザート、酒粕入り豆乳ホイップクリームと日本酒スパークリング。 |
3階「シュヴァリエ・デュ・ヴァン ドミニク・コルビ」のインテリアは、中世のワイン造りや収穫のタペストリーが飾られたクラシックな雰囲気。お店の名前‘シュヴァリエ・デュ・ヴァン’は‘ワインの騎士’という意味で、オーナー南 喜一朗氏がシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ボルドーの騎士を叙任されたことにちなんでつけられました。その土地のお料理はその土地のワインとともに育まれてきた…一口食べると思わずワインが欲しくなるのがフランスの伝統的な郷土料理ということから、こちらでは月替わりでフランス各地の伝統料理メニューを展開。お披露目会では2月のテーマ、パリのあるイル・ド・フランスのお料理が並びました。キッシュ、ポトフ、パリブレスト、クレメダンジュなど、日本でもすっかりお馴染みのメニューは親しみやすく、本当にワインがすすみます。 まずはランチタイムで、フランスの郷土料理&スイーツの旅を楽しむのもいいかもれしません。 |
![]() |
「シュヴァリエ・デュ・ヴァン ドミニク・コルビ」店内。 |
![]() |
ワイン会も頻繁に行われている。 |
![]() |
フランス郷土料理とワインのマリアージュはいかが? |
![]() |
プレスお披露目会で供されたデザートのひとつ、パリブレスト。 |
フレンチ割烹、フランスの郷土料理、こだわりのワイン。 三つがひとつになったコルビ氏と南氏の新たなレストラン、荒木町の散策とともに、感性豊かなひとときを過ごしてはいかがでしょうか? |
|
![]() | Panaderia TOPへ戻る |