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取材・文 佐々木 千恵美 |
2023年5月 ルーツ貿易株式会社が取り扱うアグリモンタナ社の材料を使ったプロ向けのジェラート 講習会が、世田谷区にあるカルピジャーニ・ジャパン株式会社のセミナーキッチンにて開催されました。
高品質なマロンや無添加のドライフルーツでおなじみのアグリモンタナ社ですが、15年前からはジェラート業界にも参入しました。当時はイタリアでもジェラートに香料や着色料など人工的な材料を使ったものが多かったため、ナチュラルな素材を使用したジェラートを展開することにしたのです。 フレーバーとなるフルーツ、ナッツ類はもちろん、ジェラート作りの要であるジェラートミックス粉を開発。用途に応じて数種類を揃えています。この中から今回は「ジェラートミックス粉クリーム50」を使い8種類のフレーバーレシピを、試食を交えてご紹介いただくとともにピスタチオフレーバー作りのデモンストレーション、さらにアグリモンタナ社の考えるジェラート理論を座学しました。トータル2時間という枠のなか、非常に濃密な内容で、席を埋める受講者も真剣。質問も活発にあがりました。 講師はイタリアから招いたクラウディア バグニス氏 Ms.Claudia Bagnis。眼鏡が似合う聡明な女史です。アグリモンタナ社の考える本物のジェラートとは何か、伝統的でかつ現代にも受け入れられる高品質でヘルシーなイタリアの味を披露していただきました。 |
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「ホテルやレストラン業界に携わる家庭環境で育ったため幼い頃から食べ物やペストリーに対する情熱は人一倍でした。この分野で成功することの過酷さ、厳しさを目にしながら育ちました。高校を卒業後、19 歳で名声高い Cast Alimenti に入学し、たくさんの巨匠たちから学んだ後、世界中の様々なレストランで経験。サンフランシスコの Emporio Rulli Pastry Shop を退職後アグリモンタナに入社し、これまでの経験やノウハウを生かしながら開発に携わっています」と語るバグニス氏。 |
会はデモンストレーションからスタート。用意されたレシピ8種類のフレーバーの中から、ピスタチオジェラートの製造工程を具体的に見せていただきました。 アグリモンタナ社の「ジェラートミックス粉クリーム50」に全乳、砂糖、生クリーム、デキストロース、脱脂粉乳、塩を混ぜ低温殺菌し寝かせておいたホワイトベースが今回すべてのジェラートのベース。これに同社の#567ピュアピスタチオペースト(毎年原料味の違いがあるのでテイスティングしながらロースト)、ピスタチオの風味をひきたてるための塩、テクスチャーを出すためのデキストロースを混ぜます。添加物のない配合のため、パワーのあるブレンダーでしっかり混ぜて材料をつなげます。ケミカルな乳化剤を加えない代わりに、やるべきプロセスを踏むことが重要なのですね。つながりを確認できたところでカルピジャーニ社のジェラートマシンに入れ完成を待ちます。 |
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フランス・ダイナミック社のパワフルなハンドミキサーで丁寧に材料を乳化させる。 |
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ピスタチオのナチュラルなグリーンが出てつややかに乳化してきた。 |
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マシンに流し入れてオン、完成を待つ。 |
出来上がったピスタチオジェラートはナチュラルな色合いでしっかりした風味と素材の味わいが出ていました。 |
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試食したピスタチオジェラート(画面上)とヘーゼルナッツ(下)。後者には同社の#542ピエモンテヘーゼルナッツペーストを使用。ナッツの味が濃厚でふわっとした口当たり。 |
次に座学です。 材料を混ぜ、攪拌し続けながら急速に冷却することによりクリーミーな状態にしたものがジェラートの定義であることを踏まえ、砂糖や空気、脂肪分など構成する材料、物質を、どういう役割なのか、なぜ必要なのか、メリット、デメリット、割合などをひとつひとつ掘り下げていきました。そのうえで、アグリモンタナ社が考えるジェラートを理解していくという内容です。 |
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ジェラートについて学ぶ。 |
創業から50年、保存料、人工香料など添加物を使わず原材料の選定から丁寧な加工プロセス、管理をモットーとしてきた同社としては、
*産地がはっきりしている植物性の原材料 *原材料の明確な開示 *合成添加物不使用 *精製されていないそのままの原材料 *健康的な食生活を心がけている方にも最適 *自然由来の原材料 で、高品質なものと考えているそうです。 例えばラベルにある増粘剤、乳化剤、安定剤などはジェラートを作るうえでどうしても必要になりますが、同社はこれらを同様の働きのある植物由来のローカストビーンガム、タラガム、グアーム、シトラスファイバーやミルクプロテインなどを使い製造しているとのこと。こういった明確さは作り手にも食べ手にも安心感を与えてくれます。こだわりの農作物加工品と合わせれば、そのおいしさも最大限に引き出されることでしょう。 |
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材料の役割や割合についても数字できちんと見ていく。 |
数字や化学的な解説も続き、文系には少々頭が混乱したところに、次々とジェラートの試食と解説が織り込まれ、少々ほっとしたりで大忙し。プロたちはこの間も「新商品開発」や「製品改良」のことを考えているのでしょうか。 |
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ショーケース(-12℃ 〜 -15℃)でのプレゼンテーション。日持ちさせたいなら急速冷凍で-18℃に中まで下げれば1か月〜3か月持つそう。 |
最後に、試食したフレーバーの紹介をしてまとめたいと思います。 刺激的なジェラート講習会、どうもありがとうございました。 |
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■フィオルディラッテ
![]() ミルクの風味を活かしたシンプルなジェラート。トッピングに同社の代表的なアイテム、#2028サワーチェリーを添えて。 スプーンにまとわりつくのに口の中でさっととけてミルクの甘みをよく感じる。小ぶりなチェリーはしゃくっとしたテクスチャーと甘み、ほのかな酸味がアクセント。 |
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■バニラ
![]() 同社の#42003バニラペーストを使った、香りも味わいも濃厚なバニラを堪能できる一品。 |
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■マロン
![]() 同社といえば日本ではマロンが有名です。#3641マロンピューレと#3640マロンクリームを使ったジェラートに#1215マロンホールをトッピング。 ふわりとした口当たり、ゆでたマロンのような濃厚な風味が広がる。 |
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■アーモンド&レモン(画像左)
![]() 皮なし、ローストなしの#554アーモンドペーストと、#2229レモンキューブをペースト状にして混ぜ、トッピングにレモンキューブをそのまま入れた、アーモンドの甘みとレモンの爽やかなジェラート。 ![]() ■リコッタ(右) ![]() リコッタチーズ、#2231ミックスフルーツサラダ、リューベック社のクーベルチュール#789ペルー(カカオ70%)を使った、イタリアらしいカッサータ風のジェラート。具材であるフルーツやチョコレートのカリっとした食感がアクセント。 |
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■コーヒー
![]() #5075Illyコーヒーエクストラクトを使用したカプチーノ風の一品。エスプレッソの国イタリアっぽく、コーヒー感がぐっとくる。 |
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