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取材・文 佐々木 千恵美 |
ファッションのように、年ごと、季節の変わり目にコレクションを発表するのも珍しくなくなったパティスリー界。その先駆者ピエール・エルメ氏に学んだフレデリック・カッセル氏もまた、年2回のコレクションを発表するパティシエ。その秋冬コレクション発表会が、青山通りに面したビルのおしゃれなペントハウスで行われました。秋冬コレクションではクリスマスケーキ、バレンタイン、そしてサロン・デュ・ショコラの限定品も披露されたので会場のテーブルはとても華やか。ちょっと見逃せないその内容を順番にご紹介します。 |
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来日したフレデリック・カッセル氏。パティスリー界のエリート集団ルレ・デセールの会長も長く務めた |
パリの郊外、豊かな森の広がるフォンテーヌブロー、落ち着いた生活を好みながらも舌の肥えた人たちが住む城下町に自らの名を冠したパティスリー「フレデリック・カッセル」を構えるカッセル氏。
そのカッセル氏が自身のコレクションのひとつとして月替わりに提案するのが「インスピレーション」シリーズです。2016年からは素材に焦点をあて、フランス菓子の奥行きを探求してきたカッセル氏。ベースを4つの伝統菓子とし、素材の組み合わせ、伝統に独自のトレンドを取り入れた製法で展開していくインスピレーションは、フォンテーヌブローと東京で共有される時差ゼロのコレクションなのです。 |
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会場ではカッセル氏自らが今季コレクションについて語ってくれた |
今季はカッセル氏の代名詞であるミルフイユを手で持って食べられる形にした「ミルフイユ・フィンガー」、「マカロン」をはじめ、メレンゲのプティガトー「プティ・メルヴェイユ」、10月から加わった「タルト」の4品が、各月のテーマに沿って作られます。
各月のテーマは次の通り。 *10月 タタン Tatin *11月 ノワゼット Noisette *12月 クリスマスコレクションのためお休み *1月 マンダリン Mandarine *2月 エキゾチック Exotique *3月 クレームブリュレ Crème Brûlée |
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月ごとにショーケースの雰囲気もがらりと変わりそうな彩り。同じお菓子でも素材が違えば感じ方も変わる。毎月通うのが楽しくなりそうです。 また手で持って食べられるデザイン、フィンガーフードに仕立てているのも時代を汲んだカッセル氏の粋。 ちなみに「プティ・メルヴェイユ」とは、もともと北フランス・リールの名物菓子メルヴェイユを、カッセル氏がもっと食べやすく甘さを抑え洒落たパティスリーに仕立てたもの。数年前にパリにリールから専門店が進出して大人気と話題になりましたが、生まれが北フランスのカッセル氏のこと、その影響もありもっと美味しくと作りだしたそうです。メルヴェイユといいパブロヴァといいメレンゲの専門店ができるなんて、フランス人はよっぽどメレンゲが好きなのですね。 次にコレクション・ド・ノエルの紹介です。アントルメ、プティガトーの生菓子から焼き菓子まで大人かわいい&シックなスイーツがいっぱい。 |
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テーブルいっぱいに並べられたクリスマススイーツたち |
テーブルに並んだ中でもひときわ目立ったのが「メイユール・ヴー」。チョコレートでできたサンタクロースの帽子を持ち上げると、真っ赤な衣装をまとったサンタさんのお腹にサプライズ。このドーム型のアントルメは、フランス伝統菓子のフォレノワールをアレンジしたもの。甘酸っぱいチェリーと生クリーム、ショコラのスポンジが、長く愛される組み合わせです。 ちなみにこのケーキに使われているチョコレートは、ドミニカ共和国のロマソタヴェント農園のカカオから作られたもの。カッセル氏が今取り組んでいる‘カカオフォレスト’という、カカオの品質向上や現地の労働環境、生活環境の向上を図る活動は、学校を設立するなど現地のコミュニティーと連携し行われています。カカオと子供たちの未来へ希望を託したチョコレートで、一緒に笑顔のクリスマスをと、カッセル氏がデザインした心温まるプレゼントなのです。 |
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「メイユール・ヴー」7,776円(税込)*伊勢丹新宿店限定 |
もうひとつの新作は「テュラン・ノエル」。ミルクチョコレートとマロンムース、グラッサージュキャラメルの甘くほろ苦くとろける大人の組み合わせです。 |
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「テュラン・ノエル」5,400円(税込)*西武池袋本店限定 |
そして、カッセル氏が日本で初めて見たショートケーキからインスピレーションを得て生まれた「ICHIGO」。今やフォンテーヌブローの本店でも人気の高いクリスマスケーキになっているそうですよ。
もちろんクリスマスだってミルフイユがないなんてありえません。「ミルフイユ フリュイ・ルージュ」は、クリスマス仕様にベリーたちでドレスアップされ、ゴールドのデコレーションを施しました。 |
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「イチゴ ICHIGO」5,400円(税込)*小田急百貨店、遠鉄百貨店、水戸京成百貨店、横浜そごう限定 |
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「ミルフイユ フリュイ・ルージュ」6,480円(税込)*銀座三越限定 |
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「ブッシュ ブルトゥイユ」5,400円(税込)*日本橋三越本店限定 |
焼き菓子ではトップのデコレーションが可愛い「ミニクグロフ ノエル」とスパイス&フルーツ香るしっとりした「サブレ ノエル」が11月15日から登場。 また、パンデピス香るダークチョコレートガナッシュ「エピス」と、ミルクチョコレートプラリネ「ノワゼット」の2種類を詰め合わせたクリスマス限定のボンボンショコラアソートも同時に登場します。 |
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「ミニクグロフ ノエル」バニラとショコラの2種各540円(税込) |
クリスマスの後は「ガレット・デ・ロワ」。本来は1月6日エピファニーのお祭り菓子ですが、近頃では年末年始の集まりにぴったりなお菓子ということで、フレデリック・カッセルでも12月26日〜1月8日に販売。切り分けて中に入ったたった一つのフェーヴを当てた人が「王様」になれるというゲームっぽさが盛り上がる伝統の運だめし。フレデリック・カッセルでは毎年変わるオリジナルフェーヴ(実際のガレットにはアーモンドが一粒代わりに入っています)が、フェーヴコレクターにも人気。今季はカッセル氏の代表的なケーキのフェーヴが8種類。オリジナルデザインの王冠にも注目です。オマケ欲しさについ買ってしまうようなところもあるお菓子ですが、ミルフイユで定評のあるカッセル氏のガレットなら味も期待できますね。2018年はアーモンドクリーム入りのトラディショネルに加えてノワゼットが登場。どちらもナッテッィ&香ばしそうです。 |
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「ガレット・デ・ロワ」トラディショネル 2,160円、ノワゼット 2,592円(いずれも税込) |
お正月の次はいよいよバレンタイン。昨年デビューした「ショコラ・ミルフイユ」が、内容も新たに6種類6個入りの「コフレ・ミルフイユ」となり、1月20日からお目見え予定です。 「ショコラ・ミルフイユ」とは、カッセル氏のシグネチャーであるミルフイユを手でつまんで食べられるスタイルにしたところから生みだされたボンボンショコラ。小さな一粒の中にミルフイユのサクサク感とそれぞれ味わいの異なるガナッシュが重なる繊細で複雑な味わいが話題となりました。 2018年、カッセル氏の提案はこうです。 「ショコラ・ミルフイユ」を一日中楽しんで欲しい! ‘人生を楽しむ’をコンセプトに、一日を生活の時間帯で切り取り、それぞれのシーンに合うショコラとドリンクのペアリングをしてみてください。組み合わせるドリンクによって味わいそのものが変化していく面白さを感じるよう、1種類ごとにバランスを調整して作り上げたボンボンショコラです。 朝8時 朝食には紅茶〜ショコラ・ミルフイユ レ・オランジュ 12時 ランチの後のカフェ〜ショコラ・ミルフイユ レ・ナチュール 午後3時 アフタヌーンティータイムのほうじ茶〜ショコラ・ミルフイユ ドゥルセ・カネル 夕方6時 アペリティフの梅酒〜ショコラ・ミルフイユ ドゥルセ・ナチュール 夜9時 夕食後の赤ワイン〜ショコラ・ミルフイユ ノワール・ナチュール 夜11時 くつろぎのラム酒〜ショコラ・ミルフイユ ノワール・マロン |
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「コフレ・ミルフイユ2018」6個入り 2,916円(税込)1月20日〜販売開始予定 |
最後に紹介するのはショコラシーズン大本命のサロン・デュ・ショコラ東京限定品。 なんと会場だけで購入できるスペシャルなチョコレートを使ったミルフイユ・フィンガーとボンボンショコラが登場します。 そのチョコレートとは、マヤに起源を持つ、カリブ海の国ベリーズで収穫された希少なカカオXIBUN。しっかりした苦味とエレガントな酸味を持つXIBUNは収穫量も少なく、チョコレートに加工されたのはわずか3トンだそう。おそらく日本でこんなに贅沢にいただけるのはフレデリック・カッセルだけではないでしょうか!? 2018年のサロン・デュ・ショコラ会場でも売り切れ間違いないのでは。 |
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「ミルフイユ・フィンガー XIBUN」756円(税込) 「ボンボンショコラ XIBUN」4個入り1,512円(税込)他。*サロン・デュ・ショコラ東京限定 |
XIBUNと書いて‘ジブン(自分!?)’と読むのも気に入っているというカッセル氏。ぜひ自分の舌で美味しさを確かめてみたい。
クリスマスケーキやガレット・デ・ロワなど、予約を入れた方が確実なスイーツはぜひサイトをチェックして詳細をご確認ください。*百貨店での予約、販売については各百貨店によります。 |
★フレデリック・カッセル
![]() http://www.frederic-cassel.jp/ |
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