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取材・文 下園 昌江 |
フランスブルターニュ地方にある港町キブロンで誕生した「アンリ・ルルー」。現在ではパリ、東京にも店舗を構え、その美味しさは評判を呼び日本のショコラファンの中では知らない人はいないほどの人気のブランドです。
2018年のアンリ・ルルーのバレンタインテーマは「開香(かいか)」。 ショコラの味はもちろん、香りによって開かれる新たな世界を提案しています。 今回の新作で登場したのは4種類のボンボン・ショコラ。いったいどんな香りとショコラが融合していくのか、詳しくご紹介していきたいと思います。 |
新作のボンボン・ショコラ |
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ピスタチア |
ピスタチオが主役の「ピスタチア」。ショコラと合わせる定番の素材ピスタチオのボンボン・ショコラが新作だとは意外な感じもしましたが、今回最も印象に残ったショコラです。一般的にピスタチオを使った製品は、香料や着色料を使ったものが多い中、アンリ・ルルーではピスタチオが本来持つ味と香りを活かすためにプラリネから手作りをしています。
軽く焙煎したピスタチオを使用したカリッとした食感のプラリネはほんのり感じる塩気(フルール・ド・セルを使用)が心地よく、ピスタチオのナチュラルな風味が鼻に抜けます。ピスタチオの繊細な風味を大切にし、ショコラ・オ・レでコーティングしているので、ピスタチオとショコラ両方の味わいが活かされています。 ピスタチオ好きにはもちろん、今までピスタチオが苦手だと思っていた方にも一度召し上がっていただきたいな、そして本当のピスタチオの美味しさを感じて欲しいと思いました。 ちなみに、このピスタチアは、今年フランスで開催されたインターナショナルチョコレートアワーズのプラリネ部門で金賞を受賞したという逸品です! |
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アイレイ |
香りが特徴的な食材の代表格ウイスキー。新作の「アイレイ」は、ウイスキーの原料であるモルトの香りを移したボンボン・ショコラです。 ウイスキーの産地として有名なスコットランドのアイラ島のモルトをガナッシュの原料に使用して香りを出しています。 アイラ島は、ウイスキーの産地として有名ですが、そこにはピートと呼ばれる泥炭層に覆われた湿地帯が広がります。そのピートがウイスキー作りには非常に重要な役割を担っています。ウイスキーの製造過程で麦芽を乾燥させる際にピートを焚くため、独特のスモーキーフレーバーが生まれ、それがアイラ島のウイスキーの大きな特徴と魅力になっているのです。 今回は、ウイスキーそのものは使用せずに、アイラモルトの香りをガナッシュに移して作っています。しかしながら口に含むと、ふわっと鼻に抜けるスモーキーフレーバーの効果で、まるでウイスキーのボンボン・ショコラを食べているような不思議な錯覚に陥ります。 とはいえ、アルコール分はないので、お酒が苦手な方でも香りを楽しめるそんな珍しいショコラに仕上がっています。 |
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ラプサン |
紅茶の茶葉を松の薪で燻製して香りをつけたフレーバーティー「ラプサンスーチョン」を使用した「ラプサン」。中国が原産で福建省武夷山市周辺の一部で生産され、そのほとんどはイギリスに輸出されるという事で希少価値のある紅茶です。一般的な紅茶とは異なる独特のスモーキーな香りは、好き嫌いが分かれるところですが、いったん好きになると虜になる人も多いのだとか。 ラプサンは、マジパンとガナッシュの2層仕立てになっていて、マジパンにラプサンスーチョンの香りを移し、ガナッシュは華やかな風味のエクアドル産カカオを使用しています。ラプサンスーチョン自体は非常に香りが強いですが、マジパンと合わせることで程よく落ち着いた上品な燻製香とショコラとの相性を楽しめます。 |
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リマ |
今回の新作で唯一シンプルなガナッシュのみで作られたボンボン・ショコラ「リマ」。ペルー産カカオのガナッシュを使用しています。フローラルな香りとスパイシーな風味、そして赤い果実を思わせるようなフルーティーな酸味を感じる非常に複雑な香りと味が口の中に広がっていきます。ガナッシュだけでこんなに味や香りの広がりや変化を楽しめるというのはなかなかないのでは、と思わせるほどの個性的なボンボン・ショコラです。 |
【Coffret Fumé コフレ・フュメ】 |
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京友禅着物の老舗『千總』 とコラボレーションした美しいパッケージデザイン |
先に紹介した、新作のボンボン・ショコラは、アンリ・ルルーの新作コフレ「Coffret Fumé コフレ・フュメ」と「Coffret Arôme コフレ・アローム」の2種類で展開されます。
コフレ・フュメは、「ラプサン」「 アイレイ」「 ピスタチア」をメインにセレクトした特有の香りを持つ素材とショコラのマリアージュを楽しめるコフレです。 パッケージのデザインは、京友禅着物の老舗『千總』 とコラボレーションし、“香りによって新しい世界の扉をひらいていく”というイメージから作られています。 パッケージの表面は白を基調に淡いグレーで花が描かれています。それを開くと、様々な色彩が重なっていき、繊細なタッチの花々が様々な「香り」によって彩られていく様子が描かれています。 |
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【Coffret Arôme コフレ・アローム】 |
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コフレ・アローム |
コフレ・フュメの白いボックスとは対照的に、赤いボックスに大きなリボンが華やかな「Coffret Arôme コフレ・アローム」。カカオのみならず、ナッツやフルーツの香りを楽しめるコフレです。 |
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赤いサテンのリボンが美しいパッケージ |
ペルー産カカオのガナッシュを使用した新作の「リマ」やパッションフルーツのキャラメルをとじこめた「ルイゾン・パッション」。濃厚なヘーゼルナッツの香りが楽しめる「ノワゼッティンヌ・ノワール」などをメインに詰め合わせています |
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コフレ・アローム 8個入り | コフレ・アローム11個入り |
コフレ・アロームは4個入り、8個入り、11個入りの展開があります。 箱には、京友禅の老舗『千總』監修の美しいデザインを施しており、大胆な赤に繊細な白い花のデザインが映えます。 とても女性らしくエレガントなパッケージなので、自分チョコや友チョコに是非お勧めしたいコフレです。 |
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「香り」というのは曖昧な存在ですが、その香りがどのようにショコラと融合し開いていくのか、そんなことを感じながらじっくりと味わいたい奥深いショコラでした。また、香りに対する印象や感じ方は人それぞれなので、食べ手によってもそれぞれ新しい発見があるかもしれませんね。 |
アンリ・ルルー http://www.henri-leroux.com/ |
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