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Text by Chieko Asazuma |
パリにショップを構える「ユーゴ・エ・ヴィクトール」。毎年一月に日本で開催されているサロン・デュ・ショコラでは、4年前の初登場から常にトップクラスの売り上げを記録しているんだとか! すでに日本でも大人気といえるこのブランドが、ついにこの10月、伊勢丹新宿店内に日本初出店を果たしました。しかも、店頭にはショコラだけではなく、生菓子も並ぶとのこと。オープン記念の限定ケーキもあって、この秋、話題ナンバーワンのお店です。 日本店オープンの直前に行われた会には、シェフパティシエのユーグ・プジェ氏が登場し、日本で発売されるショコラやケーキ、そしてクリスマスに向けたお菓子も、自ら説明してくれました。 |
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シェフパティシエのユーグ・プジェ氏 |
ユーグ・プジェ氏について少し紹介すると、パリの「ラデュレ」、5つ星ホテルの「ル・ブリストル」のほか、3つ星レストランの「ギー・サヴォワ」のエクゼクティブシェフパティシエとしても活躍。2010年に、ラグジュアリーブランドのマーケティングなどを手掛けた幼ななじみとともに「ユーゴ・エ・ヴィクトール」をパリにオープンさせ、現在は2店舗をパリに構える気鋭のパティシエです。
さて、まず紹介されたのが、日本初出店記念として用意された、1日10台のケーキ「グリモワール」でした。ムース、クリーム、プラリネ、ビスキュイ……、得意のショコラをあらゆる手法で変化させ、組み合わせてできた、まさにショコラ尽くし。 「ショコラのいろいろなテクスチャーを楽しめます」 と自信たっぷりのユーグ氏。すでに発売されているパリでも人気をさらっているケーキだそうです。このブランドらしく、ボックスは本の形。ただし、残念ながら23日までの限定発売だったので、この記事がアップされる頃には終わってしまっています。ご紹介が遅くなり、ごめんなさい。ぜひ、復活を願いたいところです。 |
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グリモワール |
続いて、日本で発売する7種類の生菓子の紹介がありました。そのうち5種類は、 「パリで売っているケーキの中から、日本の人に喜ばれそうなものを選びました。どんなのが喜ばれそうかって? デリケートで、女性的で、フレッシュ。そして軽いものを中心に選びました」 ということ。いったいどんなケーキが選ばれたのでしょうか。 |
![]() ホールと、ピースで販売され、ピースはホールを切ったものではなく、タルト生地そのものが三角形に作られている珍しいタイプです。サブレ生地にアーモンドクリーム、グレープフルーツクリーム、グレープフルーツと、シンプルな構成。「パリでも人気の一品だし、たっぷり乗ったフルーツはきっと日本の人も好きだろうと思って選んだんだ」とのこと。 |
![]() ホールとピースで販売。グルテンフリーのビスキュイショコラ、スパイスとライムのガナッシュ、チョコレートクリーム、板チョコという組み合わせで、口にするとガナッシュから黒コショウなどスパイスの香りが広がってきます。1ピース食べるとかなり食べごたえがありそう。それでも、日本サイズとして、ピースを3分の2程度に小さくしているそうです。 |
![]() サンジェルマンデプレにある世界的に有名なカフェ、「カフェフロール」でも出されているのがこのミルフィーユ。下の層にはバニラのガナッシュ、上の層にはクレームパティシエールが挟まっています。こちらも日本サイズに3分の2程度にしているとのことです。 |
![]() 栗のシュークリームです。「日本の人は栗が好きと聞きました。フランス人も栗が好きで、これも人気のケーキなんです」とユーグ氏。ただし、シュー生地に挟まれるのは、パリではメレンゲ。日本ではマロンシャンティ。中にはマロングラッセのババロアが隠されています。 |
![]() ライムピールがあしらわれたチーズケーキは、「蒸し焼き状態で柔らかさを出している」そう。パリで出しているものより少し柔らかく、そして軽く作っているのだそうです。 残りの2種類が、日本のために新たに作ったケーキでした。 日本の人のために作ったと言えば? あれです、あれしかありませんよね(笑) そう、一つはショートケーキ。といっても、ユーグ氏のオリジナリティあふれるものでした。 |
![]() ユーグスタイルは、まず生地に注目。自慢のフィナンシェ生地を使っています。そして「イチゴと柑橘はあうと思う」と、クリームにはクレモンティーヌ(オレンジの一種)の皮が入っているのです。 さて、ショートケーキを作ることへの抵抗はないのかと伺ってみると、案外あっさりと、 「日本人が好きと聞いたショートケーキを作ることに抵抗は全くないですよ。だって、喜ばれるものを作ってこそと思っているから。それに、このケーキには自分らしさもあるでしょう」 と答えてくれました。ちなみにユーグ氏は、2006年に初めて日本に来て以来、30回も来日しているというから、日本人の好みも熟知しているのかもしれません。 ![]() 「タルト ポム タタン」 サブレ生地、アーモンドクリーム、リンゴポワレ、リンゴキャラメリゼ、クランブルと、目新しいものはありませんが、きっと食べると何かが違うのではと期待してしまいます。リンゴはもちろん日本のものを使用しています。 |
ショートケーキにも使ったフィナンシェ生地ですが、ユーグ氏のフィナンシェは、フランスの情報誌「フィガロスコープ」でナンバーワンに選ばれた自慢の一品。日本では、ナチュール、ショコラ、ルイボスの3種類が1パックになって登場します。ナチュールやショコラももちろんおいしいですが、ルイボスの意外なおいしさにも注目。これからもっと種類が増える予定とのことです。 |
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フィナンシェ・ナチュール |
ボンボンショコラより一回り大きなショコラのお菓子、ブシェシリーズも日本初紹介となりました。ココナッツ風味の「ブシェ・ココ」、ビターとミルクのガナッシュを包んだ「ブシェ・ビクシュ」、ヘーゼルナッツのスプレッドをビターチョコレートでコーティングした「ブシェ・ロシェ」の3種類です。 |
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ブシェ・ココ | ブシェ・ビクシュ | ブシェ・ロシェ |
そしてクリスマスケーキの紹介へ。今年のビッシュへの思い入れは並々ならぬものがある様子。「ビュッシュ・マリオン」と名付けられたこのケーキは、なんと女優のカトリーヌ・ドヌーヴさんとコラボしたケーキなのです。「マリオン」は映画「終電車」でのドヌーヴさんの演じた役の名前でした。 「カトリーヌさんは、パリの店の近くに住んでいて、5年間、店に通ってくれているのです。最初に店に来たとき、自分が対応したのですが、その日の喜びと感動は口では言い表せません。そして“一緒にケーキを作りませんか”といったときにイエスの答えをもらいました。カトリーヌさんの好きなカフェ、メレンゲ、プラリネなどを入れて、流行に流されず、豊かな味わいで技巧を凝らさずに作ったものがこれです」 ヘーゼルナッツパウダーのカリッとしたメレンゲ、ヘーゼルナッツの軽いムース、クレモンティーヌのピール入りのフィナンシェ生地、サクッとしたプラリネ、水出しコーヒーのふわっとしたクリーム。見た目はシンプルですが、中にはいろいろな素材が組み込まれています。 |
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ビュッシュ・マリオン |
クリスマスのショコラもテーマは映画。「カルネ・シネマ」と名付けられ、映画の台本をイメージしたボックスに3種類のボンボンショコラが入っています。ベネズエラ産ショコラを使った「ガナッシュ・ベネズエラ」、その名の通りの「ジャンドゥーヤ・アーモンド」、オレンジの香りの「スフェール・オレンジ・エピス」。
そしてバレンタインはハートとチョウチョがテーマで、ハートのボックスが用意されていました。 サロン・デュ・ショコラのテーマは、Bean to Bar。緑のボックスには、ベトナムのカカオを使って作ったショコラを入れる予定とのことです。 |
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ハートのボックスが可愛らしいカルネ・パピヨン |
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