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取材・文 佐々木 千恵美 |
住みたい街で常にトップランクの吉祥寺。駅から徒歩5分ほどの東急裏エリアに、3月24日、フランス・パリ発のスイーツとパンのお店「リベルテ・ラ・パティスリー・ブーランジェリー(LIBERTÉ LA PÂTISSERIE BOULANGERIE)」(以下リベルテ)の世界展開1号店がオープンします。 |
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リベルテの世界展開1号店となるリベルテ東京本店 (※ イメージ画像) |
リベルテのパリ本店があるのはパリ10区。映画「アメリ」の舞台にもなったサンマルタン運河のそばの、古きパリの下町情緒を残すエリア。東京で例えるなら浅草あたりになるのでしょうか。ターミナル駅に近く、あらゆるものが混沌と共存するパリの中でもエキゾチックな雰囲気があります。そしてデュ・パン・エ・デジデやヤン・クヴルーといった気鋭のパティスリーやブーランジェリーの進出が目立つのもこのエリアなのです。
新しい風が吹き出した10区にリベルテがオープンしたのも2013年。どこか懐かしさを感じさせる素朴な見た目とシンプルで飽きのこない優しい味として、パリの人々を魅了し、たちまち人気店となりました。 |
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リベルテ パリ本店 |
そんなパリのスイーツとパンのお店リベルテ。日本ではどんな展開をするのでしょうか?
オープンに先立ち、2月22日、フランス大使館で開催されたお披露目会の会場で出迎えてくれたのは、リベルテのスイーツとパン、そして若いスタッフ達の笑顔。ほんのりモダンなタッチを加えたシンプルなスイーツと毎日食べたい大きなパンに、パリの今を感じ興奮せずにはいられません。 |
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笑顔で出迎えるリベルテのスタッフ。 |
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リベルテ東京本店のラインナップ。パリそのものの日常的なスイーツ&パンが並ぶ。 |
パリからオーナーのミカエル・ベニシュー(Mickael Benichou)氏も来日し、LIBERTE JAPON代表取締役の飯塚達也氏、同取締役の鈴木めぐみ氏、在日フランス大使館 ビジネスフランスのロランス・オードラン氏とともにあいさつをしました。 |
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パリ本店のオーナー、ミカエル・ベニシュー氏 | 飯塚達也氏 |
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ロランス・オードラン氏 | 鈴木めぐみ氏 |
「パリのリベルテはオープンキッチンで、3つのコンセプト「透明性」「親近感」「品質」を目の前のお客さまにわかるようにしています。若くて情熱を持ったスタッフによって、職人同士が互いの意見を尊重し、お菓子作りの精密さと繊細さをパン作りに反映させ、丁寧なもの作りを心掛け、地域に溶け込んだお店を目指しています。」とミカエル氏。そのため、店舗は無造作かつモダンなつくりだそうです。
一方、元々不動産業の飯塚氏がスイーツ&パン店を運営するのは初めて。きっかけは何だったのでしょうか。 「2017年1月にパリのミカエル氏と会って、お互いの理念がマッチしました。不動産は土地や建物を売買、貸借するだけではない時代。若い人が切磋琢磨してよい店づくりができる環境を作りたい。数十年は続くお店にしたい。だから青山、代官山ではなく吉祥寺が良いと思いました。」 そうすれば街も住む人も成長していく。コミュニケーション時代のコト仕掛けがこの分野でもはじまっていたのですね。 しかし今どきは一斤100円食パンがコンビニで買える時代。今さらパン屋をやっても儲からないと、周囲の意見はとても厳しかったそうです。 求められるのは差別化。 「今やどこのお菓子屋さんでも並ぶマカロンや華美なケーキはありません。けれどできる限りパリのままの、シンプルだけどいつでも食べてもらえる品を作って提供したい。美味しく食べてもらいたいから、パリのリベルテにはないカフェも展開します。思いはいっぱいです。」と飯塚氏。 |
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ブリオッシュ・ナンテール、クロワッサン、ヴィエノワーズ・ナチュール等、パリで見かける定番のパンたち。 |
その言葉通り、スイーツはパリで日常的に食べられる定番ばかり。そこには華美さよりも、気軽さ、現代的センスが吹き込まれたシンプルな美しさを感じます。
パリ店一番の人気だというシュー・ヴァニーユは、クラシックなフォンダンがけの下は、クッキー生地を被せて焼いたシュー生地。中身はクレーム・パティシエールにマスカルポーネを混ぜたハイブリッド。手にずっしり、見た目よりボリュームがあり、コクもあります。 |
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バニラビーンズをたっぷり使ったシュー・ヴァニーユ。シューはその他、カフェ、ショコラもある。 |
タルト・オ・シトロン。鈴木氏がパリのリベルテで初めて食べて、あまりの酸っぱさに耳の前が痛くなって、でも食べ終わったらすごく美味しいと感激した味。あの時の酸っぱさにとことんこだわって完成させたという品は、タルト生地になめらかなレモンクリームを絞ってライムゼストを散らしただけの本当にシンプルな構成。それだけに、質の良さ、新鮮さが求められるお菓子。この酸味は確かに女性が好みそうです。 |
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見た目からも爽やかさが伝わるタルト・オ・シトロン。 |
フランス、ムーラン・ブルジョワ社の粉を使って仕込むパンは、パリのリベルテと同じ種類、クオリティでありながら、多少食感をもっちりソフトに仕上げるなど、日本人の好みに歩み寄った工夫がされています。日仏お互いのスタッフを交換して研修するなど意見を出し合い、スタイルを創り上げていく形をとっています。
お店の名前がついたパン・リベルテは、自家製天然酵母、小麦粉、ライ麦粉、はちみつ等を使い長方形に大きく焼いたトラディショナルな食事パン。パリのお店では一日50kgの生地を仕込み、1個5kgで焼く看板の品ですが、日本では半分の2.5kgで焼き、カット売りを検討中だそうです。カラメル色に焼けた外皮はカリッと、クラムはほんのりもっちりしっとり、そしてほのかな甘みが広がります。何もつけずにそのままでも食べ進んでしまうパン・リベルテ。バターでもチーズでも、生牡蠣でも何でも好きなものと一緒に食べて欲しいとパリのお店からやってきたフランス人スタッフ。さらにクロックムッシュにすると最高においしいと、女性スタッフからのおすすめも伺いました。 |
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パン・リベルテ。パリのお店では倍の大きさで焼かれ、好きなだけカットして量り売りされている。バゲットと同じくらい人気のある食事パン。 |
赤いプラリネがトッピングされたブリオッシュ・プラリネ。フランスの地方菓子がパリでも食べられるようになった今、赤がアクセントのカリッと香ばしいこのブリオッシュは人気の的。トップだけでなく中も赤いプラリネ入り。初めて食べる人は意外性に驚くでしょう。バターの豊かな風味とほんのり甘いブリオッシュは後をひくおいしさです。 |
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奥の赤いトッピングがブリオッシュ・プラリネ。手前のパールシュガーがのったものがプレーンなブリオッシュ。真ん中はバンズ。最近はパリでもハンバーガーが人気なのだとか。 |
パリ同様、東京本店もオープンキッチン。使っている材料も、作っているところも人も、すべてお客さまから見える形式。逆にお客さまの反応もダイレクトにスタッフに伝わります。昔からその地域にあるような存在として街に溶け込み、お客さまひとりひとりとの距離の近い親近感を大事にした店づくり、お互いに感動と幸せを共感できるコミュニティづくりに向けて、さらに準備は進んでいきます。 3月24日のオープンが待ち遠しいですね。 |
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日本のファッションブランド「マンド(mando)」がデザインしたデニムのオリジナルエプロンはお店でも販売予定。 |
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