雪のちらつく冬の日。でも、ラ・メゾン・デュ・ショコラ 青山店にはもう夏が訪れたのでした。この日、シェフ・パティシエ・ショコラティエであるニコラ・クロワゾー氏が来日し、夏の限定コレクションの発表が行われたのです。 コレクションは、とてもユニークな内容でした。夏を待たずに、今すぐ販売してほしいほど魅力的で、すくに誰かに知らせたい! なので、早速ご紹介します。あ、でも、待って。夏の前に春がありましたね。まずはホワイトデーの限定商品とイースターの限定商品をご紹介します。もちろん、これらも魅力的です。 バレンタインデーが終わればすぐそこに迫るホワイトデー。クロワゾー氏は、前回来日した時の予告通り、桜をモチーフにしたボンボンショコラを作っていました。 |
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日本人とはちょっと違った桜のとらえ方にドキッとさせられる桜のボンボンショコラ。 |
フローラルの香りを持つエクアドル産のチョコレートに、煎茶と桜で香りづけ。食べてみると、淡い色の花、つまり桜をイメージさせるやさしい香りが。いわゆる塩っぽさはなく、煎茶はほとんど感じません。聞けば、煎茶の役割は、その苦みで桜の香りを支えることだそう。カカオの力強さもありますが、キャラメルのようなまろやかさも感じる一粒です。 |
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イースターにこうした作品を作るのは 「チョコレートの芸術としてのノウハウを知らせるため」 と、ニコラ氏。もともと創作が得意なシェフですから、力が入っています。細部に至るまで完成度が高く、なんといっても可愛らしい! パーツはひとつひとつ手作業で作られ、すべては食べられます。プラリネを詰めたショコラなども入っているんですよ。 コック帽をかぶったウサギは、ニコラ氏さながらに、張り切ってお菓子作りをはじめそう。日本では各店一点だけの販売ですから、気になる方は早めにお店に問い合わせてください。 さて、ここから、夏のコレクションの紹介です。 今年は、ひとひねりありました。 パリを代表するホテル、ブリストルのバー「バー・デュ・ブリストル」のチーフ・バーテンダーであるマキシム・ウルト氏とコラボレーションしたショコラだったのです。となれば、テーマはカクテル? その通り。 ウルト氏は2011年にバーマンとして、最優秀職人章であるM.O.F.を獲得。もちろんニコラ氏もM.O.F.をもったショコラティエです。M.O.F.の二人が作り上げたボンボンショコラなんて、本当に贅沢だと思いませんか。一体どんな風にして作られ、どんな味に仕上がっているのでしょう。非常に興味のあるところです。 |
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マキシム・ウルト氏(左)とニコラ・クロワゾー氏(右) |
ニコラ氏が説明を始めました。 「コラボレーションが決まってから、まずはバーに行きました。いろんなカクテルを試飲しましたよ。今回のショコラは夏向けなので、アルコールの高くないもの、あるいはノンアルコールですいすい飲めるカクテルを中心に試しました。……いや実は、アルコールの強いものばかり飲むと酔っ払ってしまうのでね(笑)。そこから5つのカクテルを選び出しました。フルーツなど、カクテルに入っている要素をウルト氏に聞いて構成を把握したうえで、再構築してショコラのひと粒に仕上げたんです。仕上がったものをウルト氏に食べてもらうと、“自分のカクテルと同じ味がする”と言ってもらえたのは嬉しかったですね」 その5粒は次の通りです。 |
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パイナップルの果肉、ココナッツの果肉とココナッツミルク、そしてパイナップルを引き立たせるためにフレッシュオレンジ果汁をつかった、クリーム不使用のダークガナッシュ。段階的に味が訪れて、最後にココナッツの独特の食感が。 |
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ピーチリキュールと葡萄畑にはえている赤桃のピュレ、そしてシャンパーニュ・ブリュット(辛口)を使ったダークガナッシュ。最初にシャンパーニュの風味が、続いて甘酸っぱい桃の味が。アルコールの切れのよさがあって、まるでベリーニのカクテルを飲んでいるよう。 |
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パッションフルーツ果汁、マンゴーピュレ、ブルボン・バニラを使ったダークガナッシュをミルクチョコレートでコーティング。はちみつも入れています(砂糖を用いないのはウルト氏のカクテルの特徴だそう)。果実の甘さと、南国を感じさせるはつらつとした酸味、はちみつとバニラのとろりとした甘さ。長い余韻に、いつまでも続く夏の暑さを思い出しました。 |
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ブリストルの名物カクテル。フレッシュライムとピンクグレープフルーツを使い、アールグレーとニワトコの花のハーブティーで風味づけしたダークガナッシュ。ライムとグレープフルーツの強い酸味と少しの苦みが最初に広がって、その中から紅茶やハーブティーの軽い香りが。カカオの余韻もきちんとあります。とてもおいしい。 |
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![]() 2層になったボンボンショコラです。フレッシュなフランボワーズのピュレ。そしてタイバジルとヴェルヴェーヌのハーブティーで風味づけしたダークガナッシュ。フランボワーズとバジルの組み合わせは衝撃的で華やか。そこにヴェルヴェーヌからくる軽いレモンのような風味が加わって、鮮烈なのに優しさもある一粒です。 |
さあ、どれに一番ひかれましたか? この日は、出来上がったショコラのオリジナル、つまりカクテルも飲ませていただくことができました。ソー・ブリストルをオーダーしたら大きなカクテルグラスで登場。ごくごくと飲みながら、ここからあのボンボンショコラの一粒が出来上がったんだなあと思うと、なんだか楽しい気持ちになりました。 でもきっと、創作は楽しいばかりでなく、お互いの意見を交わしながら作り上げる難しさもあったのではないでしょうか。 |
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カクテルのソー・ブリストル。ボンボンショコラと一緒に楽しみたい。 |
ニコラ氏に、コラボレーションすることの難しさを聞いてみたら面白い答えが。 「なんといっても難しかったのは、われわれ二人の生活時間が違うこと(笑)。昼間に試作品を届けると、コメントが帰ってくるのが午前3時なんだからね! 僕は昼間に働く人だから、そのたびに起こされていたよ。創作自体は、お互いを尊重し、尊敬しながらいい刺激になりました」 ちなみに箱にはブリストルのイメージカラーのグリーンが使われています。 |
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ゴールデンウイーク明け、5月の半ばごろから販売される予定とのことですが、本当に待ちきれない気分です。初夏や夏の日差しの中で食べると、きっともっとおいしく感じるに違いない……、と思いながら、あと3カ月の我慢です。 |
SHOP DATA
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