「味覚の一週間」では小学校で開催する「味覚の授業」だけでなく、一般向けの活動もしています。それが、さまざまな角度から食を体験する「味覚のアトリエ」。その中で今回、取材させていただいたのは、料理・お菓子作り経験者を対象とした「ピエール・エルメ・パリ」によるセミナー。 10月23日、銀座にある「東京ガス スタジオ プラスジー ギンザ」で開催されました。 このセミナーは2部構成。はじめに味覚の講義、後半はお菓子のデモと実習をするというものです。 席を埋め尽くしたのは全員女性。料理研究家ほか、お菓子作りの経験者、食を学ぶ大学生の姿もありました。 まずは5階のセミナールームで、2012年6月よりスタートしたANA(全日空)の機内食<ANA×ピエール・エルメ・パリ>のコラボレーションデザートのために作成された機内用映像を視聴し、「ピエール・エルメ・パリ」のアジア支部代表リシャール・ルデュ氏から、エルメ氏の菓子作りに関する考え方の解説がされました。 |
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「ピエール・エルメ・パリ」の味覚と感性、創造の世界を案内するリシャール・ルデュ氏 |
「エルメ氏は必ずシナリオを作ります。食べたときの食感、感動、官能、流れ・・・。つまり味覚のアーキテクチャーを作り上げていくのです」
そしてみなさんに「ピエール・エルメ・パリ」を代表するお菓子・マカロンが2種類配られました。 「クイズです。ピンクのマカロンは何の味がするか当ててください」 さあ、大人の味覚の授業です。会場の参加者はすぐにわかったでしょうか? |
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試食用のマカロン2種はイスパハンとマロン |
答えはマカロン・イスパハン。お菓子好きなら誰もが知っているバラとライチとフランボワーズの組み合わせです。当初はバラとフランボワーズ2種類の組み合わせだったパラディという名のお菓子に、ライチにバラの香りがあると気付き、3種の組み合わせにしたものをイスパハンと名づけたのだと、ルデュ氏が教えてくれました。口にすると、最初にフランボワーズの酸味→ライチ→バラの香りと、時間差で味の変化が起こる、流れがある、これこそ味覚のアーキテクチャーなのです。
味覚の授業終は6階クックラボに上がり、お菓子作りのデモと実習です。講師は、ピエール・エルメ・パリ エグゼクティブシェフ、クリストフ・ドラピエ氏。今回作ったのは「ココナツとキャラメルのダクワーズ」。まずはドラピエシェフがポイントを解説しながらデモンストレーション。 |
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両サイドに手元が映し出される大きなスクリーンを備えたスタジオ。パーツごとにポイントを解説しながらデモンストレーションは進みます |
「キャラメルは、苦すぎず、甘すぎず」
丁度良い状態を色で見極めるようにとドラピエシェフ。焦がしすぎれば苦味だけになり、浅ければ甘いだけになってしまいます。 |
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これが苦すぎず甘すぎずのキャラメル炊き上がり |
この後6人1班に分れ実習。その都度ドラピエシェフが各班をまわり、チェックをされたので、みなさんおいしそうな出来となりました。 |
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マカロンの仕上げをデモンストレーション。その作業のきれいで早いこと! |
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完成したドラピエシェフのダクワーズ。ココナツの食感がほろ苦いキャラメルのアクセントに |
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キャラメルにペクチンを加えるのは何故?という質問に、とろみを安定させるためと答えるシェフ。何に使うかによってどんな状態が求められるのか、考えられていることを知りました |
完成後は淹れたての紅茶とともに試食タイム。気付けばガラス窓の外は真っ暗に。質問の後、2時間半にわたる「味覚のアトリエ」は終了。エルメ氏のお菓子哲学と味覚を学んだ後に行うお菓子作りには、いつもとは違った気持で臨めたのではないでしょうか。 |
◆ 味覚の一週間 公式サイト http://www.legout.jp/ ◆ 東京ガス スタジオ プラスジー ギンザ http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku/ginza/top.html |
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