取材・文 下園 昌江  


ここ数年でも日本でじわじわブームがやってきているBean to Bar(ビーン トゥ バー)。チョコレートの原材料となるカカオ豆の仕入れから選別、焙煎、コンチング、熟成等チョコレートに加工するまでの工程を一貫しておこなう製法を表します。
以前からこの取り組みはフランスのベルナシオンやプラリュ、ベルギーのピエール・マルコリーニなどが行っていました。Bean to Barのチョコレートを作るには、まずは良質なカカオ豆を仕入れるルートを持つこと、そして専門の器具や熟練した技術、専門的な知識が必要とされるため、そう簡単にできる事ではありません。

作り手の個性が表れるBean to Barのチョコレート、少しずつ日本でも増えてきましたが、パレ ド オールの三枝シェフほど本格的にそして美味しいチョコレートを作っているショコラティエはいらっしゃらないのではないでしょうか。

三枝シェフは2004年に「ショコラティエ パレ ド オール」を大阪にオープンし、その後2007年に東京店を、そして2014年には山梨県清里にBean to Barの工房を併設する「アルチザンパレ ド オール」をオープンし、日々チョコレート作りへの研究をしています。

三枝俊介シェフ


大阪、清里、東京と各地を飛び回るお忙しい三枝シェフですが12月某日クリスマス前に、東京丸の内店で2016年のバレンタインショコラのプレス発表会が開かれました。
当日は試食用のチョコレートが時間どおりに届かないかも!?というハプニングもありましたが、ギリギリ試食前に届いてシェフも皆さんもほっと安堵の表情で、心待ちにしたショコラをいただくという場面もありました。
まずは三枝シェフからそれぞれのショコラについての説明があります。
今回初めて知ったのですが、シェフはお酒がお好き、ということで、なるほど今回のラインナップではお酒の魅力を十分に発揮したボンボンショコラが多い!
大人のためのボンボンショコラを中心に、カカオ豆の産地別やカカオ成分の含有量別で味わえるショコラもご紹介いただきました。

まずは、パレ ド オールで大人気の「獺祭ショコラ」。獺祭は山口県の人気の日本酒で、パレ ド オールでは「獺祭磨き二割三分」を使用したボンボンショコラ「獺祭ショコラ」が人気を集めています。今回新しく登場するのは、「獺祭ショコラ その先へ」。「獺祭ショコラ」に、獺祭のラインナップの最高峰である「獺祭 磨きその先へ」を使用したボンボンショコラを2個加えたバレンタイン限定ボックスです。
「獺祭ショコラ」は、まろやかな吟醸香が華やかなミルクタイプと、カカオの苦みと日本酒の酸味の相性を楽しめるビタータイプの2種類です。日本酒そのものの飲み比べではありませんが、「獺祭磨き二割三分」と、それを超える日本酒を目指した「獺祭 磨きその先へ」の味わいや風味の違いを感じられる、楽しくも贅沢な一箱です。

獺祭ショコラ その先へ(6個入) 3,240円


日本酒とショコラのマリアージュはとても斬新ですが、チョコレートにあうお酒といえば、まっ先に思い浮かぶのが「ウイスキー」。銀座松屋限定で登場予定の「ヴィンテージモルトショコラ」は、貴重な国産シングルモルトウイスキー4種類(余市、白州12年、宮城峡、山崎12年)と代表的なスコッチウイスキーのボウモアとマッカラン。同じウイスキーでも産地や環境、熟成時間、製法が異なることで違う表情を見せてくれます。今回はボウモアを試食しました。「アイラモルトの女王」と称されるボウモアは、ダークチョコレートに似たあたたかみのあるコクがあるとよく言われます。そのため、実際チョコレートと合わせるとその相性は抜群。チョコレートのビターな香りとコクにボウモアのスモーキーフレーバーが続き、口の中にうっとりとした余韻が長く残ります。

ヴィンテージモルトショコラ(6個入)2,700円


日本酒、ウイスキーと来ましたが、女性に人気の高いシャンパーニュを使ったボンボンショコラも見逃せません!「ドンペリニヨン」と「ポメリー キュヴェ・ルイーズ」を贅沢に使用したボンボンショコラの詰め合わせが「コフレ シャンパーニュ」。ドンペリニヨンは、2006年のヴィンテージものを使用。ビターチョコと合わせ品格ある味わいに表現。「ポメリー キュヴェ・ルイーズ」は昨年11月に三枝シェフがメゾンを訪れて味わい、これをショコラにしたい!と感じた繊細で優美なシャンパーニュ。ミルクチョコと合わせ、まろやかな味わいと鼻にぬけるシャンパーニュの優雅な香りを楽しめます。

コフレ シャンパーニュ 2,700円


そして、お酒が一滴も入っていないのに不思議とウイスキーの香りが漂う「ザ・ピート」。
ピートとは、ウイスキーの製造には欠かせない泥炭(炭化した野草や植物)のこと。カカオ豆の焙煎の際にピート(泥炭)の香りをつけてチョコレートを作るというなんともユニークな製造方法で作られています。昨年初めて挑んだこの「ザ・ピート」、三枝シェフは、工房だけではなく自分の体にまでピートの香りがしみこみ、もう2度と作らないかも(そのくらい大変!)とおっしゃっていましたが、多くの反響があり2回目の登場です。私も以前頂いたのですが、まさにモルトウイスキーを飲んだ後のような、スモーキーフレーバーが口の中にふわ〜っと広がりました。これならお酒NGな方にも楽しんで頂けるし、何より誰かに「食べてみて!」とお薦めしたくなる驚きがあります。

ザ・ピート 1,296円


チョコレートはその原料となるカカオ豆の産地や、焙煎方法、カカオ成分の含有量等によって味が変わってきます。また、そこに生クリームを加えガナッシュにすると印象が変わって来るのがチョコレートの面白いところです。
「テロワール ショコラ」は、カカオの産地別(トリニダード、キューバ、ハイチ)、そしてカカオ分別(72%と40%の2種類)のボンボンショコラの詰め合わせです。同じ産地でもカカオ分が違うとこんなに変わるのか!とか、同じカカオ分でも産地が違うと味も香りも全然違う!という事を非常にわかりやすく感じさせてくれる一箱です。個人的にはキューバのカカオ豆を使用した葉巻のような香りのショコラがとても印象的。このボックスをきっかけに自分のお気に入りの産地やカカオ分を発見できるかもしれませんね。

テロワール ショコラ 2,430円


2015年夏、ベトナムのカカオ農園を訪れた三枝シェフが、ベトナム独自の文化や空気感を、ショコラで表現した一箱が「ヴォワイヤージュ ベトナム」。ショコラを通じてベトナムを感じて欲しい、ベトナムのカカオ豆、ベトナムらしい素材を使用したボンボンショコラです。
ベトナムのカカオ豆を使用したビターとミルクの2種類、そしてライチ、ココナツ、ジンジャー、アナナスそれぞれを使ったショコラが揃います。特に面白いのがアナナス。
パイナップルの爽やかな香りにパクチーの風味をきかせています。なんともオリエンタルでトロピカルな味わい! 真っ赤なパッケージもアジアの暑くてパワフルな雰囲気が出ていて素敵ですね。

ヴォワイヤージュ ベトナム 2,700円


ショコラで美しく健康に、をコンセプトに作られたアンチエイジングショコラ「からだにおいしすぎるショコラ」。ユニークなネーミングに気を取られますが、その成分を知るとなるほど、と頷くショコラです。
抗酸化作用を持つカカオポリフェノールたっぷりのカカオパートをベースに美容と健康に良いとされるアナツバメの巣の成分、そしてナノ型乳酸菌を1粒になんと1000億個配合したボンボンショコラです。
また、ガナッシュには砂糖を使わず、メープルシロップやハチミツで甘みをプラス。生クリームの代わりに豆乳を、バターの代わりに良質のごま油を使用するなど、素材選びにこだわった一品。もちろんショコラティエなのでショコラの美味しさもしっかり味わって欲しいという想いがあり、4つの産地別(ペルー、マダガスカル、ベネズエラ、バレンタイン限定でエクアドル産も登場!)ボンボンショコラをアソートしています。ピンク色の可愛いパッケージに美容や健康に良い成分が詰まったショコラ。これはやっぱり男性から女性への本命逆チョコとして、差し上げて欲しいショコラですね!

からだにおいしすぎるショコラ(バレンタイン限定バージョン)2,430円


個人的に、このショコラ常備したい!と思っているのが「ビターミルクタブレット」。
ビターでもない、ミルクでもない、「ビターミルク」とは!?
あまり聞き慣れない言葉だったので、三枝シェフにお伺いした事があります。 「一般の方には、Bean to Barのハイカカオなチョコレートだと強すぎるんですよね。試食してもらっても、ふ〜ん、という感じで去っていくんですよ」。
Bean to Barのショコラは、そのカカオ豆の特徴を押し出そうとカカオ分が高いものが多く、カカオが前面に出過ぎて強すぎることがあります。そこで、もう少し食べやすく、でもカカオの風味を味わってもらいたいということで創りだしたのがこの「ビターミルクタブレット」。カカオ分を50%以上にし、カカオの風味を感じつつもミルクのまろやかで優しい味わいも楽しめます。ハイチ、ベトナム、キューバ、トリニダードの産地別4種類があるので食べ比べもできますし、お好きな産地のものをセレクトすることもできます。

ビターミルクタブレット 864円


パレ ド オールのバレンタインショコラいかがでしたか。
たくさんの商品を紹介しながら、三枝シェフがこんなにも様々な挑戦をしていることに改めて驚きを感じました。バリエーション豊富なので、自分用にはこれ、本命にはこれ、友人にはこれを、などと想像しながら選ぶのも楽しいですね。


表示価格は消費税込みです

商品によっては扱っている店舗、期間が異なりますのでご注意下さい

獺祭ショコラ その先へ
ショコラティエ パレ ド オール各店(1/27〜2/14)、新宿伊勢丹(2/3〜2/15)、日本橋三越(2/3〜2/15)、松屋銀座店(1/27〜2/14)、うめだ阪急(1/27〜2/14)他

ヴィンテージモルトショコラ
松屋銀座限定(1/27〜2/14)

コフレ シャンパーニュ
銀座三越限定(2/2〜2/15)

ザ・ピート
取り扱い店舗(期間) 伊勢丹新宿 サロン・デュ・ショコラ(1/27〜1/31)、伊勢丹新宿店(2/3〜2/15)、日本橋三越(2/3〜2/15)、うめだ阪急(1/27〜2/14)

テロワール ショコラ
取り扱い店舗(期間) JR名古屋タカシマヤ(1/20〜2/14)、新宿タカシマヤ(1/28〜2/14)他タカシマヤ各店
※カカオ分72%のみの6種類産地別違いを日本橋三越にて販売(2/3〜2/15)

ヴォワイヤージュ ベトナム
取り扱い店舗(期間) 伊勢丹新宿 サロン・デュ・ショコラ(1/27〜1/31)、伊勢丹新宿店(2/3〜2/15)、日本橋三越(2/3〜2/15)、京都伊勢丹(1/27〜2/14)、うめだ阪急(1/27〜2/14)
※味違いをうめだ阪急にて販売(1/27〜2/14)

からだにおいしすぎるショコラ(バレンタイン限定バージョン)
ショコラティエ パレ ド オール各店(1/27〜2/14)、日本橋三越(2/3〜2/15)、銀座三越(2/2〜2/14)、新宿小田急(1/29〜2/14)、うめだ阪急(1/27〜2/14)他

ビターミルクタブレット
取り扱い店舗(期間) ショコラティエ パレ ド オール各店(販売中)、伊勢丹新宿 サロン・デュ・ショコラ(1/27〜1/31)、伊勢丹新宿店(2/3〜2/15)、日本橋三越(2/3〜2/15)、うめだ阪急(1/27〜2/14)他




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