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取材・文 下園 昌江 |
イエス・キリストの復活をお祝いするイースター。フランスでは「Pâques(パック)」と呼ばれ、毎年この時期が近づくと街中はわくわくしたムードで包まれます。復活祭は移動祝祭日なのでその年によって日にちが変わります。 春分の後の最初の満月の次の日曜日がイースターです。時期的には3〜4月でちょうど寒い冬が終わる頃です。同時にこれから春がやってくる嬉しさや、生命の誕生、春の息吹を感じる季節でもあります。 ヨーロッパではクリスマス同様イースターも大きな意味を持ち、この時期になると春の訪れを喜ぶお祭りが開催されたり、お菓子屋さんやスーパーでは鳥や卵、うさぎなどをモチーフにしたチョコレートが賑やかに並びます。 2016年のイースターは3月27日。 それに先駆けて、3月20日(日)、21日(月・祝)の2日間、代官山のT-SITE GARDEN GALLERYで「はじめよう『ショコラ de イースター』」が開催されました。 |
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イースターをテーマにしたチョコレート細工 |
イベントの中でも注目を浴びたのが、イースターをテーマにしたチョコレート細工の展示「36名のパティシエによるショコラ de イースター展」です。その様子を紹介したいと思います。
参加協力したのは36人のパティシエ、ショコラティエの皆さん。 |
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イベント前夜の会に参加したシェフ集合写真 |
50音順(敬称略)
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イベントの前日3月19日(土)の夜に、プレス向けお披露目が開催されました。 チョコレート細工を作ったパティシエやショコラティエの職人さんも30名近く参加され、とても華やかな会になりました。 また、チョコレート細工の展示もいち早く観覧できました。 実は、今回のチョコレート細工には1つの決まりがあり、同じ型(14cmの卵型)を使用する、というのが決まりでした。作品を見ると、皆さんのクリエイティブな発想から生まれたチョコレート細工はそれぞれの個性と魅力を発揮した素晴らしいものばかり! 36の作品全てをご紹介したいところですが、特に印象に残った作品をご紹介していきたいと思います。 |
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「菓子工房オークウッド」横田秀夫氏の作品 |
特に圧巻だったのは「菓子工房オークウッド」横田秀夫氏の作品。卵の中からにょきっと出てきたのは毛虫!?それに驚いた鶏の躍動感ある動きがユニーク。鶏の羽をよく見ると葉を型どった薄いチョコレートを一枚一枚重ねあわせている繊細なもの。周りのきのこやお花も可愛らしく、1つの物語がそこにあるかのような壮大な作品でした。 |
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「エコール・クリオロ」 アントワーヌ・サントス氏の作品 |
「ジャン=ポール・エヴァン」 ジャン=ポール・エヴァン氏の作品 |
素敵な遊び心があるなぁ!と思ったのは「エコール・クリオロ」アントワーヌ・サントス氏と「ジャン=ポール・エヴァン」ジャン=ポール・エヴァン氏の作品。サントス氏の作品は卵型をなんと車に見立てて、それをくまさんが運転しているのです!この発想がすごいですよね。ナンバープレートやタイヤも可愛らしく作られていて、サントス氏の柔軟な発想力を感じるものでした。
ジャン=ポール・エヴァン氏の作品は、ふくろうと卵をモチーフにしています。 おちゃめな雰囲気のふくろうは、ホワイトチョコを星形で抜き取って背景の色をはっきり出していて色彩のコントラストの美しさを感じました。足元の卵は、まるで本物の卵のような色と質感です。そして卵をおいてある網は、よく見るとチョコレートを細く紐状にしたものを編みこんでいてまるで本物の網の様! |
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コ永純司氏の作品 | 鍋田幸宏氏の作品 |
コンテストで磨かれた技術を感じるのはコ永純司氏や鍋田幸宏氏の作品です。お二人とも国内外のコンテストに多数出場し、受賞経験も多いパティシエです。
コ永純司氏は、「クープ・デュ・モンド・ラ・パティスリー2015」の日本代表として出場し、見事準優勝に輝きました。 鍋田幸宏氏は、専門学校のレコールバンタンを中心に様々な場で活躍されていますが、2009年世界パティスリー日本代表・チーム代表を務め見事優勝へと導きました。2011年には「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」に出場し日本代表チームキャプテンを務めた実力者です。 コ永氏の作品はピエロが玉乗りをしながら鶏を手のひらに乗せているという、動きを感じるものです。近づいてみると、ピエロの衣装が細部にまでわたって細かく作られていることに気づきます。 帽子や襟、リボン、ボタン、靴の紐…どこを見ても、ため息が漏れてしまいような完成度の高さがあります。 鍋田氏の作品は、ロボットが大きな卵を運ぶ様子を表現しています。動物モチーフの作品が多い中ロボットが珍しいですね。まるでどこかのアニメーション作品にでも登場してきそうな愛嬌あるロボットは、接合部分や関節、指先にいたるまで本物のロボットの様です! 下に落ちたボルトの様子も遊び心あふれていて、見ていて自然に笑顔が出てくる作品でした。 |
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「ショコラティエ パレ ド オール東京」三枝俊介氏の作品 |
ショコラティエらしい、ショコラの愛情を感じたのは、「ショコラティエ パレ ド オール東京」の三枝俊介氏の作品。赤やオレンジ、グリーンなどのカラフルな卵に、大きなカカオポッドのチョコレートを合わせています。カカオポッドの中にはカカオパルプ、そしてその上には同店スペシャリテのパレ ド オールと煎したカカオ豆が添えられています。
チョコレートの原料カカオ豆をテーマにしているところが、ここ数年ビーントゥバーに力を入れている三枝シェフらしくて、とても印象に残りました。 |
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「パティスリー カルチェ・ラタン」 冨田大介氏の作品 |
「パティスリー ル・ポミエ」 フレデリック・マドレーヌ氏の作品 |
チョコレートということで、ベースはチョコレートそのものの色を活かした作品が多い中、この2作品はカラフルな色合いが目をひきました。
たまご型をふっくら丸い人参に見立てたのは「パティスリー カルチェ・ラタン」冨田大介氏の作品。復活祭の代表的なモチーフうさぎを主役に、うさぎの好物でもある人参をポップに明るく表現しています。たまご型で作った大きな人参の他にも、後ろの背景として小さな人参がいくつもあったり、うさぎが人参を手にとっていたり、と人参畑の楽しい一コマを見ているようです。 この作品にはちょっとした仕掛けがあって、実はこの作品の中には卵が7個隠されているのです。そう、卵を探すエッグハントをしてみよう!というゲーム性ある作品。作品を壊さないようにドキドキしますが、こういう遊びはやっぱり楽しいですね。 「パティスリー ル・ポミエ」フレデリック・マドレーヌ氏の作品は、切り株の上の大きな卵に色とりどりの花がさいている様子。暖かな春を感じる暖色系のお花が満開になって、卵のてっぺんには蝶がとまっています。 そしてその卵の後ろからはいたずら好きそうな表情をしたウサギさんがちらっとのぞいていて、まるで絵本の1ページを見ているような夢のある作品でした。 チョコレートのピエスモンテは通常のパティスリーの仕事だけではなかなか作る機会が無いと思いますが、こういうイベントがあるとそれぞれの経験を活かしたものが発揮されますね。また今回のプレスイベントに参加されていたシェフたちもお互いの作品をみて、刺激を受け、また新たな創作意欲が湧くのだろうと思います。 |
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卵型のケースに小さなチョコレートを詰めます | 顔や洋服をデコレーションして完成! |
イベント当日には、チョコレート細工の展示の他に、エッグデコレーションのワークショップが行われました。 チョコレートを詰めたたまご型の容器に、シールを貼ったり、イラストを描いたり、思い思いのイースターエッグを作る楽しいイベントです。これは小さな子供から大人まで皆さん夢中になって楽しんでいたようです。 |
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大人も子供もマジックの面白さに大はしゃぎ |
また、イースターにちなんだマジックショーも開催され、トランプを使ったマジックや、手で握っていた丸いゴムが、いつの間にかウサギ型のゴムに変身したり!と小さな子供達を中心に盛り上がっていました。
今まで日本では馴染みの薄かったイースターですが、このイベントを機会にイースターの存在を知った、イースターの楽しみ方を知ったという方も多かったのではないでしょうか? 日本でのイースター、今後どんな展開を見せるのか楽しみですね。 |
イベント概要 「はじめよう『ショコラ de イースター』」 本イベントは2016年3月20日(日)、21日(月・祝)開催されたものです。 ※ 各作品の写真はヴァローナジャポン株式会社様から提供していただきました。 |
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