クール・オン・フルール 奥田 勝 氏 | ![]() |
![]() その頃、中華よりもパンとお菓子に興味を持ちはじめたので、その授業があるという調理学校に行ったんです。実際は授業ではほとんどパンやお菓子に触れさせてもらえなかったんですけどね。でも、卒業してホテルのパン部門に就職しました。3ヵ月パンを学ぶつもりが3年に及び、その後もいくつかのホテルでパンやお菓子を作りました。働いたホテルの中には没個性的な職場だなあと感じるところもありましたね。「オレ、こんなところで腐ってる場合じゃないよな」「ここで働くみんなと一緒になってはいけない」なんて思ったこともありましたよ。でもホテルはおおむね仕事が早く終わるのが利点。「オレがやりたいのはフランス菓子だ」とわかってからは、仕事後の自分の時間にフランス語の勉強やフランス菓子の勉強をしていました。 ![]() ここで働くうちに、フランスに行きたい気持ちも高まりました。2年働いた29才のとき渡仏、1年あちらで修業しました。フランス人の感性って、本当にたいしたものだと思う。料理のアイディアや寝ないで働くパワーなど「こいつらすげえな」と感じる瞬間は何度となくありましたよ。 ![]() コルドンブルーで講師をはじめた頃から、自分の店を持つことを現実的に考えるようになりました。お客様とはフィフティフィフティの関係でありたい。喜んでもらえるお菓子を作ってお金を頂く。だからこそ裏切らないお菓子を作りたいと思います。まだオープンしたばかりですが、5年後、若いコックを入れてフランスの料理も食べられるビストロができたらいいですね。でも、ほんとの野望はそれから。55才からは映画学校に通って、60前に1本映画を作りたい。実は、映画監督の夢もまだ捨てていないんですよ。 取材日 2000年10月 |