オーブンミトン

小嶋 ルミ 氏





もともと、シェフである主人と結婚した時、自分がデザートでも作れればなあって、気軽に思っていたんです。それで製菓学校に。その後、たまたま場所があったので、店をオープンしました。今回、前の店から近くだけどお店を移転した一番の理由は、将来を見越して、これが自然な形かなと思ったからかな。奥が主人のやっているレストランです。

女性ならではの温かさというか、手作り感みたいなものを大切にしていきたいというのは、オープン時から思っています。素朴な焼きっぱなしのケーキなんかにそれって表れるかなと思うんですけれど、なかなかそういうケーキって、見た目も地味だから売れない。定着するまでにはまだ少し時間がかかるかな。でも、ここでもうひと辛抱すれば定着するかと思うんですよね。お店が変わって、丸いケーキを切ってそのまま放射線状に並べるスペースのないショーケースになったんです。切ったケーキを縦に整列させて並べるのって、売り上げ落ちるって分かってたんですよね。お店もちょっと奥まったので、お客さんの足も遠のくかなと思った。それはどっちも事実だったんだけど、通信販売とか、インターネットなんかで情報を入れて遠くからくる人など、今までと少し違った広がりのおかげで、今までの売り上げを維持できています。

実は、子供が産まれて、今までみたいに働く時間も長くはないです。子供ができるまでは、「妊娠期間に仕事と両立するのって大変だろうな」って思っていました。でも、実際子供ができると、妊娠期間はがんばって仕事、できちゃうんですよ。大変なのは生んでからだった! 今、こうして私が安心してお店に要る時間を減らせるのは、しっかり育ったスタッフのおかげです。女性がお店を持つと、やっぱりこういう問題って一度は考えると思う。子育てとの両立はかなり難しい。任せられるスタッフがいるか、というのは大きなポイントかな。20代とか、早くにお店を持って、落着いたところで子供を生むっていうのは一つの形かな。40才でも生めるのね、って、まわりの女性が私をみてちょっとホッとしているみたいですよ。この1,2年はますますスタッフが成長してくれるいい機会になるといいと思っています。安全性とか、素材に対する目も変わってくるのかもしれない、という予感もありますね。

新しいお店では、基本的に商品は変えていないけれど、新商品はいくつかでました。食べたお菓子で美味しかったものはレシピも知りたい。まだまだ色々作ってみたいものはありますよ。期待してください。
取材日 2000年


小嶋さんの秘密