ル・フォワイエ 早勢 貢 氏 | ![]() | 90年から八王子の「菓子の実」(洋菓子屋)に、その後94年からここル・フォワイエに。ル・フォワイエ在籍中に渡仏。ノルマンディーで1年、リュクセンブルグで1年、パリで3ヵ月を修業しながら過ごし、現在店に戻り、学んだ技術や感性をいかしてケーキ作りに励んでいる。 |
![]() ここに来て1年半くらい働いてから渡仏したんですが、その時受けた影響は大きいですね。向こうのお菓子はとにかく甘いですよね。コクがあって、食べ続けると僕らにはしつこい。味をそのまま日本に持ってきても通用しないと思います。でも、最初に食べたときの、例えばあのパイの、バターが口いっぱいから鼻まで広がる香り、あの強烈な「美味しい」という感動は伝えたい。チョコレートのほろ苦い美味しさなんかもそうです。向こうで最初に受けた印象は殺さないで、そこを伝えながら日本人の口に合うお菓子を作る、とても難しいですがそんなお菓子を目指しています。 ![]() ケーキのデコレーションについても、渡仏する前は「見かけより味」ってちょっとかたくなに思っていたんですよ。僕が行ったのはノルマンディーやリュクセンブルグは結構田舎のほうだったので、そこに行っても焼きっぱなしの素朴なお菓子とか多くて、その考えは変わりませんでした。でも、最後の仕上げでパリに戻って来て、有名店のお菓子を食べまくったときに、やっぱり全然違うんですよね、デコレーションが。目で、もう食べたくなってしまうような魅力があるんです。そこで初めて、デコレーションも大事かなあと思うようになりました。だから、飾りにもひと手間を惜しまないように心がけています。秋や冬だからと、あまりシックなショーケースにもしたくないですね。 ![]() 取材日 1999年 |