即興詩人 草柳 正昭 氏 | ![]() |
![]() パンに惹かれたのはイギリスで。粉も大事ですが、パンはやっぱり酵母なんですよね。イギリスで放浪して、果物と野菜と穀物をつぶした酵母、お酒みたいなものですね、これに出会ってです。イギリスの片田舎のおじいさんおばあさんから技術は習いました。パン屋で修業したことはほとんどないです。 ![]() 理屈抜きで、パンは「うまい」か「まずい」かだと思っているんですが、でも本当はね、日本男児にはあまりパンは食べてほしくないんですよ。絵にならないと思うんです。女性や子供さんは絵になる。絵になるっていうのは大事だと思うんです。絵になるものはジャストフィットしているもの。こう言ってはなんですが、日本にパンがはびこるのは反対なんです。僕自身もご飯食、味噌汁にお豆腐に丸干しです。じゃあなぜパンを焼いているかといわれてしまいますが、これと、パンを焼いている事は別でいいと思うんです。矛盾は感じていません。パンは写真と同じで、僕の作品なんですよ。 自動車の音を聞いた街の中ではパンは焼けません。ここに来たのも、今では少し車も増えてしまいましたが、選んだ当初、田んぼばかりで本当に空気のいいところだったからです。将来は、粉を手でこねて、成形して、機械に頼らずパンを焼いて。ハムなんかも作れたら最高ですね。どちらも、作るのはほんの少しの量でもいいんです。あとはね、とにかく歩くことをしたいんです。 取材日 2000年4月 |