《Lenotre第2週目》 アントルメ No.1−基礎

第2週目に私がとったのは、「アントルメNo.1―基礎」というものでした。
先生は、Mousieur Stephen Glacier(ステファン・グラシエ)、まだ29歳の若い先生です。若いとはいえその実力たるやすごいもので、もうすぐM.O.Fを授与されるのだとか。しかも、Stephenは9月に来日したばかりだそうです。どこの主催かはわからないのですが、あめ細工と(確か)アントルメのデコレーションの講師として招聘され、その様子が月刊「ガトー(Gateaux)」という専門誌に紹介されていました。通訳は小針由雄氏が務められたようです。しかし、Stephenはその時はまだ別の学校である"ベルーエ"というところの講師だったので、来日直後にルノートルにヘッドハントされたようです。

生徒の方は、12人とちょっと多めです。今回もみな現役のプロですが、「基礎」クラスだけあって、皆専門はCuisine(料理)で、Patisserieはやったことがない、という人たちばかりでした。国籍は私の日本をはじめ、イギリス・カナダ・イスラエル・スイス・そしてもちろんフランスと相変わらず国際色豊かです。

今回は1週間で23のレシピをこなしたのですが、12人と人数が多く、クラスがまとめにくかったせいもあるのか、たいがい私たちのクラスは終わりが遅く、16:30に終わる日はまれでした。1回は6時近くになってしまったことがあり、パリから通って来ていた人達の何人かはラッシュアワーにひっかかっちゃうからと、授業中にもかかわらず先生に挨拶することもなく教室を出ていってしまいました。

さてここで、その23のレシピを紹介しましょう。

1.
Anthurium(ジェノワーズショコラ+ムース・オ・ショコラ)
2.
Charlotte Poir(洋梨のシャルロット)
3.
Foret Noir(ビスキュイショコラ+クレームショコラ+生クリーム+グリオットチェリー)
4.
Arleguin(メレンゲショコラ+クレームショコラ)
5.
Caprices des Iles(着色料でカラフルな模様を施したビスキュイ・ジョコンダ+パッションフルーツのムース+フランボワーズ)
6.
Dacquise aux Noix(ダックワーズ+胡桃入りバタークリーム)
7.
Claire Fontaine(ジェノワーズ+オレンジクリーム)
8.
Fraise Cointreau(ビスキュイ・ヴィエノワーズ(ナッツを使ったもの)+クレームパティシエ)
9.
Marronier(ジェノワーズ+マロンクリーム+マロン)
10.
Mascot Cointreau(ジェノワーズ+メレンゲ+ヘーゼルナッツ入りバタークリーム)
11.
Nuits Saint Georges(ビスキュイジョコンダ+カシスムース+チョコレートのコーティング)
12.
Mont D'Arbois(アーモンドのシュクセ生地+メレンゲ+チョコレートクリーム)
13.
Eleonoir(着色料でカラフルな模様を施したビスキュイジョコンダ+ラズベリーのムース)
14.
Tropique(ビスキュイルーレ+パイナップルムース)
15.
Topaz(ビスキュイキュイエール+ビスキュイショコラノワゼット+クレームショコラ+クレームプラリネ)
16.
Truffe(ビスキュイショコラノワゼット+ガナッシュ)
17.
Opera(これはよくご存知ですね。ルノートルではオペラの高さは2.5cmでなくてはならない、と教わりました。これより高くてはいけないそうです)
18.
Schuss(ジェノワーズ+フロマージュブランのムース)
19.
Cake au Fruit(フルーツケーキです)
20.
Tambourin(プログレス生地+ブリオッシュ+プラリネのバタークリーム)
21.
Plaisir(日本ではサンマルクとして知られています)
22.
Macaron Gerbet(コーヒーマカロン)
23.
Macaron Antilais(マカロン生地+パイナップルムース)

なんだか、材料名がフランス語と英語がごっちゃですね。
金曜日は午前11時に授業が終わり、それまでにその週作ってきた作品をきれいに飾りつけ、他のクラスのプレゼンテーションを見に行きます。そのあと、全クラスの講師と生徒が集まり、乾杯をして無事授業が終わったことを喜びます。
その後、作った作品を持ち帰らせてくれます。私はクラスで仲良くなったもう1人の日本人の女性と示し合わせて、Eleonoir、Topaz、Dacquiz aux Noix、Tambourlinの4個を手に入れ、午後の電車で彼女と一緒にパリのアパルトマンまで行き、そこでもう1度レシピを眺めながら吟味しました。

 アントルメの授業はいわば1週目のプチ・ガトーの延長のような感じで、レシピも基本的にはムースが主なもので、ただそのサイズが大きくなっただけ、という感じでした。

というわけで授業自体は余り変わり映えしなかったように感じられたのですが、第2週は色々と「お楽しみ」がありました。
 まず、午前と午後にパンのクラスの先生が授業で焼いたパンを差し入れてくれました。ルノートルでは(フランスでは、というべき?)授業中に試食することはおおいに認められていました。こっそりやっているところを見つかってうろたえていると「食べろ、食べろ」と逆に言われます。
もう1つはLunch Timeなのですが、今週は料理のクラスがあって、授業で作った料理が食堂の一角におかれていて、そのクラスの担当の先生に一言ことわれば、食べさせてもらえるのです。(ルノートルでは先生も同じ食堂で食べるので、ぐるりと見渡して探せばすぐ見つかります)たいがい3〜4種類、肉と魚とあり、カフェテリアの定食よりはるかに美味しかったので、私はこの週は料理クラスの料理に専念することにしました。見てると先生達ものぞきに来ては思い思いの料理をとっていっていました。ただ、何があるか聞き、自分がどれを食べたいかハッキリ言わないと、日本人というせいもあるのか、すぐ魚を食べさせられそうになります。しかも、今は鮭のシーズンなのか鮭ばかり!というわけで、本当は食べさせて頂く立場にもかかわらず、注文をつけていたのでした。

週末をパリで過ごし、日曜日の夜に又学校のあるPlaisirという街に戻って来ます。前回も書いたかも知れませんが、Plaisirは本当に何もない町で、授業のあとちょっとコーヒーを飲めるようなカフェすらありません。レストランは4軒程ありますが、うち2軒は幹線道路沿いにあるチェーン店で味気がないですし、残りも特にパッとした感じはしません。
というわけで、週末をここで過ごそう、という気にはとてもなれず、先にふれた日本人の女性(純子さん)のすすめでパリに出たのでした。


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