《Lenotre第3週目》 オーガニックパン

第3週目はオーガニックパンの授業でした。もともとは「アントルメNo.2・応用」というのをとる予定でいたのですが、出発前に島津睦子先生にご挨拶に伺った際に、せっかくだからパンのクラスもひとつとっては、というアドバイスを得て、こちらに来てから変更したのでした。

パンのクラスは先生が2人つきます。1人はJean−Louis Phillipe先生、中年の方でM.O.Fでいらっしゃいます。もう1人はFransois Legrand先生。Mousieur Phillipeは全く英語を話さないので、Mousieur Legrandが通訳を兼ねてサポートに入った、というところでしょうか。
今回のクラスのメンバーは8人、うち現役のパン屋さんは3人で、あとは南仏で夫婦でホテルを経営していて、オーガニックのパンを出したいので習いに来た、という人と、将来レストランを開きたいので、という人と、とにかく料理専門というような人達でした。

パンのクラスといっても、レシピの約1/3はトラディショナルな焼き菓子でした。というより、私達の感覚では「ケーキ」としてとらえているものがこちらではパンのカテゴリーに入るのでしょう。天然酵母のおこし方や老麺生地の作り方、フィーユタージュといった基礎的なものも入れると、こなしたレシピは37にも及びました。

テキストに記載されている通りに挙げると、以下のようになります。

1.
Pain aux Cereales(シリアル入りパン)
2.
Pain de mie
3.
Pain aux olives
4.
Pain de seigle rustigue(seigleという穀物入りのパン)
5.
天然酵母によるバケット
6.
Pain d'epices
7.
Croissants
8.
Madeleines
9.
Brioche
10.
Kugelhoph
11.
Financier
12.
Cake aux fruits
13.
Gateau Citron
14.
Cake bananes
15.
Feuilletage
16.
天然酵母によるパン
17.
老麺生地の作り方
18.
Le Cannele' bordelais
19.
Pate a foncer(タルト生地)
20.
Brioche(第2の方法)
21.
Pain sirop d'erable et carottes)
22.
Far Breton(プラムの入ったプディングみたいなもの )
23.
野菜のタルト
24.
白身魚とセロリのキッシュ・コリアンダー風味
25.
Tarte rhubarbe Framboise
26.
天然酵母のおこし方
27.
老麺生地を使ったパン
28.
Sable Cereales
29.
Traoumad(ガレットのようなバターの多いお菓子)
30.
Pain moelleax aux 2 fromages(2種類のチーズ入りパン)
31.
Craquelin nougatine
32.
Pain essene(発芽したばかりの小麦を丸めて焼いたパン)
33.
Milriton
34.
Fougasse
35.
Basque
36.
Tarte Grand Mamie(りんごとレーズンのタルト)
37.
Speculous(スパイスサブレ)

天然酵母を作るのに数日かかりますから、まずは焼き菓子類、次にオーガニックのイーストを使ったパン、そして最後に天然酵母から作った老麺生地を使ったパン、と授業は進みました。

パンの授業は、ケーキに比べ今ひとつ面白みにかけた気がしました。というのも、生地は全て師範台の機械で捏ねてしまうのですが、全て先生がやってしまうので生地に直接さわるチャンスがほとんどなかったからです。私としては生地の状態を確かめ、それを覚えておきたかったのですが、無理でした。
このクラスでは「水温を求める公式」というのを教わりました。室温と粉温を足して、各レシピのベース温度をひいた結果の絶対値が水温、というものです。このあと機械で、スピード1で何分、スピード2で何分と続くわけです。かなりシステム化されたレシピだな、という印象をもちました。
オーガニックのパン、というと何となく全て天然酵母というイメージがありましたがそうではなく、オーガニックのイーストというのもあり、これを使ったパンが一番多かったのではないでしょうか。

授業の内容には多少不満が残りましたが、お楽しみは満点でした。
クロワッサン、パン・オ・ショコラの時は焼き立てを食べさせてもらいましたが、その美味しかったこと!Mousieur Legrandはつまみ食いが大好きで、クロワッサンだけでも2〜3個食べていたのではないでしょうか。パン・オ・ショコラに使ったチョコをボリボリ食べていたり、キャラメリーゼしたナッツをほうばっていたり…それでいてとても細かいから不思議です。
焼き菓子も当然試食しました。リーンなパンが焼き上がった時などは、Phillipe先生が「どこかにチーズが入っていたはずだから持って来なさい」と言ってワインを取り出し(しかも赤・白両方!)薄く切ったパンの上にのせ、何故か授業中に乾杯が始まる始末です。おかげで、Legrand先生には、"君達1週間終わったら太るぞー"としょっちゅうおどかされていましたが、どうもおどしでは済まなかったようです。

レシピの番外編で、鳩のキッシュというのを作ったのですが、こちらではたいがい頭がついたままで羽だけむしりとられた格好の肉を使います。というわけで、半目を閉じた(開けた?)丸裸の鳩に包丁を入れるのですが、これは正直ちょっと気味悪かったです。でも、気味悪がっている私の方をみんなは不思議がっていました。これって魚をさばいている日本人を見て外国人が気味悪がるのと一緒だなあ、と思いました。でも鳩は美味しかったです。

金曜日の乾杯のあと、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、ブリオッシュ、天然酵母のパン、フルーツケーキ、マドレーヌ、フィナンシェをgetしましたが、天然酵母のパン以外は前日までに焼成しフリーザーに入っていたものばかりだったので、食感が今ひとつ乾燥した感じでした。

最後にお世話になった先生方のところに行き、レシピブックの表紙にサインを頂いて来ました。

というわけで、L'ecole Lenotreでの3週間にわたる授業は終わったのでした。


次回は、Lenotreでの授業以外の細々したことや、週末を過ごしたパリの様子、そのあとに行ったロンドンについてお便りします。


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