〜 初日(3/13)編 _ 01 〜




3月13日、世界パティスリーに先駆けて、スイート・スイーツ ジャパンがスタート。前夜祭の興奮が冷めやらぬまま、パナデリアも気合たっぷりで朝から参加してきました。
「いらっしゃいませ!さあ、どうぞ!」
入り口では、先着1000名にウェルカムショコラをプレゼントという、嬉しいサービスつき。しかも、モンサンクレールのボンボン・オ・ショコラというから貴重です。早速、口に入れて楽しみつつ、ブースをチェック!・・・と迷わず1番に向かった先は「ル・カルティエ・デュ・パン フレデリック・ラロ」のところ。入り口近くで焼き立てのパンの香りを漂わせているのだからたまりません。オープンキッチンで厨房がばっちり見渡せるというのも、心憎い演出です。その効果あってか、このブースは大人気。早くから列ができていました。
さて、他のブースも気になりますが、なんといっても初日はデモンストレーションやトークショーが目白押し。というわけで、この日はイベントステージと実演キッチンにほとんど張りつき状態で取材していました。そのようすをご紹介します!




【 ザ・リッツカールトン東京 パティシエ 三宅善秋氏による
アメ細工のデモンストレーション 】



三宅善秋さんは、2010年にアメリカで開催される製菓のワールドカップ、WPTCの日本代表選手。2月の選考会で、アメ細工ピエスモンテを担当する選手として選ばれたばかりです。その三宅さんが、アメ細工を披露してくれるとあって、会場は瞬く間に定員オーバー。立ち見も出るほど盛り上がりを見せていました。
「今日は、WPTCの予選で作ったミニチュア版を組み立てていきます」
と三宅さん。落ち着きある堂々とした物腰から大人びて見えますが、実は25〜26歳!その若々しいエネルギーがどんな風に活かされるのでしょうか。

型に流して作った半球を、アメで貼り付ければ球体に


初めにバンジュウの中から取り出したのは、大きくて厚みのある円い土台。まるでガラス?と思ってしまうほどの透明感に驚かされますが、もちろん、これもアメでできています。いったいどうやって作るのでしょうか?
「砂糖を170℃くらいに煮詰めたものを流して固めます。コンクールではゼロからスタートして5時間以内にパーツを作って組み立てもしなければなりません」
熱々のアメも、ゴム手袋をはめれば大丈夫。といっても熱いものは熱い!5時間も作業していると手は真っ赤になってしまうというから大変です。

各パーツの接着には冷却スプレーが欠かせません


煮詰めたアメは、型に流すものもあれば、引いて伸ばしてリボンや花の形にしたり、膨らませて動物を作ったりなど様々。この他、パスティヤージュ(粉糖を練って固めたもの)も組み合わせてピエスモンテを作っていきます。つまり、全ての素材は砂糖で、というのが規則。各パーツを接着する時も、もちろんアメを使います。鍋の中には砂糖を煮詰めて作ったアメが用意されていて、これでつけたり、またはパーツの一部をバーナーで溶かしたりしてつけていました。そして丸い土台の上に縦長のS字の板をつけようとしたその時・・・。

割れても慌てず騒がず・・・トラブルはつきものです


パリーン。
なんと、S字の部分に亀裂が!それほど力を入れているようには見えなかったのに・・・?
「今日は時間が無いので先にパーツを仕込んでおいたんですが・・・。事前に作ったものは壊れやすいんですよね」
厚みのある板状のアメは、いかにも頑丈そう。でも、冷えたバンジュウの中から外に出した時に温度差が生じたり、持ち運びをする時に振動がおきたりなどの、ちょっとした環境の変化にも弱いものなのです。とはいえ、そんなアクシデントにも臆せずに淡々と作業を続ける三宅さん。この程度なら壊れる心配はないと、経験からわかっているのでしょう。さすがです!

繊細なパーツを地道に組み立てていくと、ついに艶やかな花の出来上がり!


土台が完成すると、今度はリボンや花びら、蝶の羽や蜂などを順番につけていきます。ここからはますます繊細さが要求される作業。花びらやリボンは一枚ずつ、雌しべや雄しべは1本ずつ、羽は1枚ずつ・・・!いったい何個あるのか考えただけでも気が遠くなりそう。しかも、どのパーツも、ちょっと力を入れれば簡単に壊れてしまうものばかり。“ああ、どうか割れませんように・・・”なんて、見ているこちらのほうがドキドキしてしまいます。テクニックもそうですが、いかに集中力を保ちつつ平常心でいられるかといった性格も欠かせないようです。

WPTC2010でチョコレートピエスを担当する山本隆夫さん(クラブハリエ グランシェフ)も応援にかけつけます


皆が見守る中、およそ1時間半後にピエスモンテが完成。それは見事なものでした!大輪の花に戯れる蝶と、2匹の蜜蜂の姿が活き活きと表現されています。“花の誘惑”のイメージにもぴったり。そして何より、アメのクリアな質感と光沢のある艶やかな色合いにうっとりしてしまいました。

ちなみに、実際のコンクールでは、パーツを作って組み立てればめでたしめでたし、とはいきません。出来上がった作品を審査員のところまで無事に運ぶことができて、ようやく成功。重さが10kg!近くもある繊細なものだから、かなり骨の折れる作業なのです。また、作品の出来だけでなく、作業性も審査対象になるとのこと。三宅さんは終始落ち着いていて美しい手さばきが印象的でした。選考会の時にも、ひとつひとつの作業に手を抜くことなく、丁寧に仕上げるテクニックが認められたと言います。さあ、ずばり、今日の作品は何点でしょうか?自己採点していただきました。

ゆるやかなS字ラインで優美な印象。細部の仕上げも丁寧です


「70点ですね・・・」 え〜?!こんなに美しいのに?意外な判定に会場もどよめきます。
「今日は選考会の時よりも蜂を増やして2匹にしました。その分、花にボリュームが出せなくなってしまって。ちょっとバランスが変わってしまいましたね。なんといっても本番より緊張しました(笑)。でも、まだなし得てない優勝に向けて、チーム一丸となって頑張ります!」
もちろん、私たちも応援しています。2010年、WPTCでの活躍を楽しみにしています!











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