「みなさん、おはようございます。これから麦踏みを行います。といっても、本当に踏むだけなので簡単なんですよ」
今回の主催であり、前回の種蒔きイベントでもお世話になった、神奈川県農業技術センター 普及指導部部長 山田さんの挨拶でスタートです。


中央が普及指導部部長の山田さん。
生産者や農地、地域への支援や活動を行っています


ところで、そもそも、なぜ麦を踏んでしまうのでしょうか?
山田さんに麦踏みをする理由を伺ってみました。

「麦の育成状況」
11月26日、12月4日とでは葉の数に
かなり違いがあることがわかります


「一般的に、麦踏みは3回ほど行います。1回目は、本葉が2枚以上になった12月中旬。この時期になると霜が降り、土と一緒に根が浮いてしまうことがあるんです。根はまだしっかりと張っていない状態なので、最悪の場合、枯れてしまうことも。それから、寒さ対策も目的のひとつ。押さえつけることにより、小麦は厳しい状況に負けまいと内側に養分や糖度を蓄えるんですよ」
ちなみに、ほうれん草や白菜など、冬野菜が霜に当たると甘くなるのも同じ理由からだそうです。





ところで、この麦踏み。あまり耳にしませんが、どこの畑でも実施されているのでしょうか?
「うーん、残念ながらやらないところが多いんですよ。もちろん効果は確かなので、農業技術センターとしては勧めています。でも、ほかの野菜類と違って、小麦は元々が丈夫なので、何もしなくても育ってしまうんです。穂の数を増やす効果もあるのですが、畑の面積がさほど広くない場合は、収量にそれほど影響が出ない。手間もかかるので、結局やらなくなってしまうところが多いんですよ」

生まれつき丈夫なだけに、手をかけてもらえないなんて、ちょっとかわいそうな小麦・・・。でも、それが小麦の良いところ!肥料や農薬が必要ないのも、この性質の賜物なのです。