取材・文 佐々木 千恵美  


今年1月にオープンし話題となった製菓・調理・カフェの専門校「レコールバンタン」の生徒たちが運営する「GENKAI BURGER」(ゲンカイ バーガー)が、メニューと提供スタイルを変えて再びオープンしました。

食材を原価で計算し、校舎を店舗場所として地代家賃などのコストをかけずに原価でメニューを提供し、お客様からのフィードバックシートをいただくことで、メンバー(生徒)のスキル向上につなげ、将来の開業に向けた実践経験を積むことを趣旨とした授業の一環であるこの企画。お客様にとっては有名シェフ監修で高級食材のバーガーが原価で食べられ、メンバーにとっては経験となる双方良しの試みであるため、当初は3月いっぱいまでの開催が、完売の連続で6月まで延期されるほどの人気を博しました。

 前回の参考記事

7月9日(土)から開催された第2弾は、食材価格が高騰しているいまだからこそ、「高級食材に触れ、食を楽しんでもらいたい」というメンバーの思いから、バーガーの内容を変更するとともに、提供の仕方もリニューアル。なんとハンバーガーをメインとした4品のフルコース料理に仕立てたのです。サラダやデザートが付くのは女性にとってはうれしいことですが、これはこれまでのテーマに感動をプラスするという次のステップであるため。スープ、サラダと来て、メインの高級食材バーガーを食べてお客様に感動のピークを味わってもらう、最後にデザートで余韻を楽しんでもらう流れを作る経験をしてほしいからです。
メンバーはレストランのコースと同様、プレゼンテーション形式でメニューを紹介し、アフターコロナにおける外国人観光客への英語対応も行えるように体制を整えているそうです。プレゼンテーションがお料理を一層おいしく感じさせてくれるのは実感していますからこれは楽しみ。応援したくなりますね。


メンバーによるプレゼンテーションも楽しみのひとつに。


監修をした「sio」の鳥羽シェフが提唱する「5味+1」と、暑い季節の食欲を科学して生まれた独自の設計図「感動の設計図」の考え方をベースに、神戸牛と宮崎マンゴーをふんだんに使用し、ピリッと辛くてフルーティーなサルサソースを組み合わせたメインディッシュ「宮崎マンゴー “GENKAI” サルサバーガー」の味を最大限引き出すために開発したコースの構成となっています。


鳥羽シェフが提唱する「sio」のイズム(ロジック)

「5味+1」とは「5味に辛味、食感、香りが加わることで立体的で奥行きがある料理」のこと。5味の「甘味、塩味、酸味、苦味、旨味」と+1の「辛味、食感、香り」それぞれの味の強さがその料理のカタチを定め、個性となり、全体はまとまりながら(どこか懐かしさもありながら)これまでに食べたことがない味(=sioらしさの一つ)を作り出しています。


「感動の設計図」 レストランがこんな風にメニュー構成を考えているとは、食べ手も勉強になります。


それではコースの内容を紹介しましょう。
今回は横一列に着席して一斉にコースがスタート。メンバーが目の前でプレゼンテーションします。


大きなテーブルに10席、1時間の入れ替え制で提供されます。

コース名:宮崎マンゴー “GENKAI” サルサバーガーコース
内容:スープ、サラダ、バーガー、デザート
価格:2,500円(原価2,252円)
ドリンクは別途料金が発生します。メニューはHPをご覧ください。


冷製コーンスープ(原価105円)
国産とうもろこしの甘みを丁寧に引き出した冷製スープ。そのままグラスに口をつけていただくと、もぎたてコーンの甘さと塩味にミントの風が吹き抜ける爽やかな1杯。


スパイス香るチョップドサラダ(原価153円)
コリアンダーシード、クミン、チリ、サフランなどのスパイスで色と香りを付けた、10種類以上の食材が絶妙に絡んだ、食べるのが楽しいクスクス入りサラダ。きゅうり、パプリカの細かい角切りがしゃくしゃくみずみずしい食感で、噛むごとに旨味がはじけます。目の前で削ってくれるパルメザンチーズがナッツのように香ばしく、スパイスの複雑なニュアンスが異国に連れて行ってくれます。


果汁×肉汁 宮崎マンゴー “GENKAI” サルサバーガー ケイジャンポテト添え (原価1,784円)
マンゴーの甘みとサルサの辛みのコントラストが印象的な、肉汁したたるハンバーガー。神戸牛の旨味を軸に5味+1で構成。
マンゴーの甘さと食感と、コロコロの神戸牛、チーズの相性はもちろん、サルサソースのしゃきしゃき野菜、トマトとサルサソースの酸味とピリ辛さがさっぱりと食べさせてくれる。ケイジャンスパイス風味の極細ポテトフライが箸休めに。


メンバーの夢を書き込んだバーガー用ペーパー。ナイフ&フォークで食べても、こちらに入れてかぶりついてもOK!


八朔とアールグレイのグラニテ(原価64円)
八朔の酸味とアールグレイの香りがマッチした、すっきりとコースを終える締めの一品。刻んだディルがすっきりさせてくれる。フルーティーでほんのりとした渋みがコースの良い余韻に。


食べ終えたらフィードバックシートの記入を忘れずに。感動したこと、発見、もうちょっと何とかしてほしい点など、忌憚なく伝えることが未来の食業界発展へとつながります。そして自身の気付きもきっとあるでしょうから。


フィードバックシートは青にリニューアル。#限界バーガー でシェアしてね!


7月1日に開催されたプレス発表会にて、鳥羽シェフ(右)とメンバーの二人、レコールバンタンの細井氏(左)



店舗概要

販売期間:2022年7月9日(土)〜2022年9月24日(土)
初日7月9日(土)は無料:詳細はHPをご確認ください
営業時間:11:00〜15:00(L.O 14:00)
営業日:毎週土曜のみ
場所:レコールバンタン東京校 レーヴ校舎(東京都目黒区上目黒1-3-3)
お支払い:交通系IC、クレジット、現金
HP:https://www.lecole.jp/genkai/burger
Instagram:@genkai_burger
Twitter:@GENKAIBURGER

駐車場はありません。路上パーキングをご利用下さい。
1時間10席の入れ替え制です。
オーダーをいただいてから調理しますので、提供まで15分程お時間をいただきます。
準備している食材が無くなり次第、提供を終了いたします。





sio 鳥羽周作シェフ

鳥羽周作(とば しゅうさく)氏
sio株式会社代表取締役 | シズる株式会社代表取締役

Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、31歳で料理の世界へ。2018年「sio」をオープン。同店はミシュランガイド東京2020 から3年連続一つ星を獲得。現在、「sio」「Hotel's」「o/sio」「o/sio FUKUOKA」「パーラー大箸」「㐂つね」「ザ・ニューワールド」「おいしいパスタ」と8店舗を展開。書籍 / YouTube / SNSなどで公開するレシピや、フードプロデュースなど、レストランの枠を超えて様々な手段で「おいしい」を届けている。モットーは『幸せの分母を増やす』。


L'ecole Vantan (レコールバンタン)

レコールバンタン:https://www.lecole.jp/
レコールバンタン 高等部:https://www.lecole-hs.jp

製菓・調理・カフェと、「食」の分野に特化した人材を育成する専門スクール(東京校・大阪校)。「おいしいだけが、ゴールじゃない。」をコンセプトに、技術だけでなく、将来お店を持つ方法を、自分のお店を立ち上げて成功したプロ講師から、実体験に基づいたケーススタディを通して学ぶ。また、在学中から独立開業にチャレンジする機会や、卒業後も利用できる開業サポートがあり、卒業生の開業実績は300店舗以上。日本のトップパティスリー鎧塚俊彦オーナーシェフが監修するコースや、 “パティスリー界のピカソ” と呼ばれるピエール・エルメ氏のブランド「ピエール・エルメ・パリ」とのタイアッププログラムなど、ここでしか学べない実践授業を用意している。



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