Am 8:00  味覚、栄養、伝統。人間性が問われるコンクール


開始から30分が経ち、場内もだいぶ活気付いてきました。あちこちからミキサーをまわす音や、道具がカチャカチャと鳴る音が聞こえ、作業台の上もボウルやバンジュウが広げられています。


開始から30分が経過し、だんだんとリズムが出てきたようす


決勝戦のルールは基本的に本選と同じ。コンクール前日に1時間の準備時間、コンクール当日に8時間30分の制作時間が与えられ、その時間内に4種類の作品を作成していきます。前日の1時間で、種を仕込んだり、材料を計量したりという準備を済ませているため、出だしはスムーズ。さっそく、時間のかかるクロワッサン生地をシーターで折り込むチームが目に付きます。


さっそく折込みを開始した、「ラ・テール」栄徳さん


「クーロンヌ」間根山さんはミキシング、「パリゴ」安倍さんは
分割に取り掛かりました。まだまだ、ゆとりが感じられます



そこに登場したのは、今回の審査員のひとり、川良弘さん。実は、川さんは、和歌山では知らぬもののないチェーン店「焼たてパンの店カワ」のカワグループを取り仕切る、パン業界の重鎮。今回は審査員役のほかに、大会を運営する、日本アンバサドール協会、モンディアル・デュ・パン日本実行委員会の会長を務めています。
「この大会の主旨は、味覚と栄養、そして伝統。おいしいだけでなく、健康面や職人の人間性も含めて評価の対象となるのが、この大会の特徴です」
と川さん。
実は、この大会では他のコンクールではあまり対象にならない、あることが重要視されているのだそう。それは、代表選手とアシスタントの連携。なんと、アシスタントは、本選が行なわれる2011年1月時点で18歳以上22歳以下というルールがあり、選手が若いアシスタントにどんな指導や接し方をするのか、というところも採点の対象になるのだそうです。
「実は、この部分の点数が意外に大きな割合を占めています。味覚と栄養、そして伝統を主旨とするこの大会では、伝統を次の世代にしっかり引き継いでいく、という資質も問われるんですよ。最終的には人間性。いいパンを作ればいい、ではダメなのが難しいところです」
いいものを作っても自己中心的だったり、雑用ばかりさせて指導する気持が欠けていたり、という職人では得点は期待できないのだそうです。


作業のようすを見守る川良弘さん。段取り、衛生、
教育も評価の対象になるので、気が抜けません!



そういわれると、俄然気になりだすのが、職人とアシスタントの連携。
新たな目で、周りを見回すと…。
キビキビした動きでアシスタントを引っぱる「パリゴ」チーム、穏やかにアシスタントを指導する「ラテール」チーム、そして、にこやかな表情でアシスタントを支える「VIRON」チームが好印象!


なかなか雰囲気のいい「ラ・テール」の栄徳さんチーム


にこやかな笑顔が印象的な「VIRON」の松田さん


目に見えている部分だけでの印象ですが、こういうところを審査員に対していかにアピールできるかというのもコンクールでは重要になってきます。





「モンディアル・デュ・パン」って?