Text:Tomoko Matsushita / Photo:HaEOS,松浦 他


桜と葉桜がいりみだれる4月の半ば。
第3回目となるこの「ガトー・ア・ラ・ブローシュの会」は、今年も横浜市郊外にあるバーベキュー会場にて、開催されました。
当日は好天に恵まれ、薪火でお菓子は、ちょっと暑いかな・・・などとうれしい不安があるほどの、絶好の行楽日和となりました。
また、今回の会は、3月11日に起きた東日本大震災のチャリティーの意味を込めての開催ということで、当日の参加費の一部が、被災地の義援金とされました。

さて、いよいよ会の始まりです。3部門に分かれ、10時頃よりスタート。
今年も「ラ・スプランドゥール」の藤川シェフ、「オ・プティ・マタン」の武井シェフがお菓子部門として、腕を振るってくれます。そして、昨年に引き続きご参加いただいた、「ル・ヴェルデュリエ」の小林シェフと女性キュイジニエの荒井さんの料理部門チームにも期待が高まります。
予定していたパン部門は、参加予定のシェフの体調不良により、残念ながら今回は実現しませんでしたが、代わりに菓子部門を2つに分け、合計3部門にての開催となりました。


菓子部1:ラ・スプランドゥール「ガトー・ア・ラ・ブローシュ」
菓子部2:オ・プティ・マタン「クレープシュゼット」
「スフレ」
「ベニエ」
料理部 :ル・ヴェルデュリエ「漢方和牛の炭火焼き」
「子羊の煮込み、クスクス添え」
「野菜マリネ、パテ添え」
「ニース風サラダ 2種」


各グループ、まず火起こしから。
料理部門、小林シェフチームが一番早く、早速、子羊の煮込みが始まりました。どんなお料理ができるのか、楽しみです。
シェフ曰く、「山岳部出身なので・・・」とのこと。さすがです。
そして、 この会の“メイン”ともいえる菓子部門のラ・スプランドゥール チームも、 3年目ともなれば、かなり手慣れた?もの。
ガトー・ア・ラ・ブローシュの“芯”も準備万端です。




10時半過ぎには、ほぼ全員が集合。
プロのシェフたちに負けず、一般の参加メンバーたちにも大変な(でもうれしい)仕事が割り当てられました。
それは、パン作り当番!
今回残念ながら参加できなかった、「薫々堂」さんより、“シェフの食パン”の生地1kgをあずかったので、それを 細い棒に巻き付けて焼いてみよう・・・と、いうことになり、主にこのパン作りに参加することになったのです。この生地で出来上がったのは、ダッチオーブンで焼いたピタパンと、棒に巻きつけて焼いた棒パン。どちらもこんがり焼き目が香ばしい!




「薫々堂」さんの食パン生地で、ピタパンとくるくると棒に巻きつけて焼き上げた棒パンを作りました!


その他にも、この会を主催した佐々木さんが前日に仕込んできたハンガリーの屋台菓子「クルトシュカラーチェ」も作ることに。この珍しい名前のお菓子は、卵や砂糖、ミルクでほんのり甘い生地の焼き上がりにシロップを浸し、砕いたクルミとグラニュー糖を塗った素朴なもの。以前、佐々木さんがハンガリー人の方から教えてもらったレシピで作ったものです。


ハンガリーの屋台菓子クルトシュカラーチェ


それぞれが、思い思いに作業に入り始めた・・・その頃。
嬉しい差し入れが!
オ・プティ・マタンからバニラとラムレーズンのアイスクリームが登場!



そして、ラ・スプランドゥールからはガトー各種。
なんて。素敵な☆☆☆
みんな、それぞれ口にほおばりながら・・・ より一層、作業に精が出ているという感じでした。




さて、肝心の「ガトー・ア・ラ・ブローシュ」の作業工程ですが・・・
最初は、薪火の手前に芯を置いていたのですが、どうも火の通りがうまくいきません。
どうやら焼き時間も長いようだ・・・と、いうことで、途中から、“直火”に変更。
すると、ぐんぐん「ガトー・ア・ラ・ブローシュ」が成長するではありませんか!
途中、この大量の生地を、2回ほど女子グループが、“腕に力(?)”をかけて作成。
生地も完全に“人力”で作っています・・・



直火に変えたらどんどん成長するガトー・ア・ラ・ブローシュ。かなり重そうになって来ました


最後の仕上げには、グラスアローをかけて・・・おいしそうなガトー・ア・ラ・ブローシュができあがっていきます。


こんなに大きなガトー・ア・ラ・ブローシュの出来上がりです



今回は、メインのガトー・ア・ラ・ブローシュの他にもお料理やデザートが盛りだくさん。 写真ではお伝えしきれないほどです。



料理部のル・ヴェルデュリエより。
「漢方和牛 (宮城県産)の炭火焼き 」は、漢方をえさに混ぜて育てた牛を使っています。



シェフ曰く「体に良いものを食べて育った牛を食べると、こちらにも体によいのでは?」というお話。
通常の和牛より“さし”の入り方が細かく、赤身も歯ごたえがある・・・とのこと。
お値段もそこそこなので・・・皆、大事に一口ずついただきました。
もちろん、たれなどなく“塩”でいただきます。
「うーん、うまいっ」と、思わず言葉がでます。後味がしつこくなく、しっかりとした歯ごたえ。
また、食べてみたい一品です。




「子羊の煮込み、クスクス添え」、「野菜マリネ、パテ添え」、「ニース風サラダ 2種」などが、テーブルを彩ります





そしてなんと、1個2000円もするパパイヤの登場です。
まず、色が違います!食べてみると、香りが何ともいえず爽やか、 パパイヤ特有の青臭さもなく・・・南国の香り、そのもの!という感じでした。貴重なものをありがとうございました。
また、パパイヤには、動物性食品の消化吸収を助ける働きがあるので、お肉料理にはぴったり。シェフの心遣いを感じさせてくれました。





さて、菓子部2のオ・プティ・マタンの武井シェフですが・・・
一人、黙々と作業をしています。
まずは、クレープを焼き・・・



まさかアウトドアで、こんな逸品がいだたけるとは、夢にも思っていませんでした。
ほどよい歯ごたえのあるクレープ生地に、洋酒の効いたオレンジソースがからみ、絶品です。

手前が、マンダリン・ナポレオンリキュールを贅沢に使ったクレープシュゼット。奥はクルトシュカラーチェ。どちらも魅力的なおいしさでした


それから、食後のスフレも登場です。
その場で、卵白と卵黄を泡立て、お鍋で蒸し、数分でできあがりました。オーブン無しの屋外でこんな本格的なスフレがいただけるとは!またまた感動してしまいました。
このスフレ、最初に作っておいたソース(白ワイン、アニス、丁字、フリュイルージュ)をかけていただきます。


銅製ボールで美しく手立てしたメレンゲを混ぜ込んだ蒸しスフレは、熱々ふわふわの食感で、心まで癒されました


楽しい時間はあっというま・・・という感じで、それぞれが、思い思いに作って、食べた幸せな時間もそろそろ終焉に・・・
しかし、なんと、肝心なガトー・ア・ラ・ブローシュをいただく時間がなくなってしまいました。
正直、お腹はかなり満たされているのですが、そうはいっても、やはり少しでもいいので、みんなで一緒にガトー・ア・ラ・ブローシュをいただきたい、ということで、 武井シェフのご厚意により、次なる会場をオ・プティ・マタンに移して、試食会ということになりました。
バーベキュー会場は、お天気は良かったのですが、風が強かったので、お店に移動して、一同、少しほっとした気分です。


さて、 いよいよ、ガトー・ア・ラ・ブローシュの試食です。
「今年の出来はどうかな?」
気になるところです。


大きさは充分。「おいしいね」とあちこちから、満足げな声が聞こえます


みんなで作りあげたという達成感もありますが、それだけじゃなく、このガトー・ア・ラ・ブローシュ、かなり、美味しい!!
正直、巷の「バウムクーヘン」とは違います。
しっかり、卵や粉の味がする。そして、焼けた生地の香ばしさ。
もちろん、できたてのおいしさということもあるのでしょうが、これは、なかなか、食べられないおいしさなのではないでしょうか?
なんだか、病み付きになりそうです。

「また、来年もあるのかなぁ・・・」と、参加者からの、声。


食べきれなかった分は、大事にお持ち帰り!
明日はまた違ったおいしさになっているはず


2009年から始まったこの会。来年も、そしてその次の年も、ぜひ続けていってほしい、そんなことを願いながら、それぞれが、食べきれなかったガトー・ア・ラ・ブローシュの切れ端を手土産に帰宅の途につきました。

本当に楽しく、おいしい一日を過ごすことができました。
主催の佐々木千恵美さん、そしてシェフの皆さん、いろいろご準備いただき、ありがとうございました。
そして、お疲れさまでした!


BBQ会場で撮った集合写真。みんないい笑顔をしています。またこの笑顔に出会えるよう、佐々木さん、来年もまた開催、よろしくお願いします!

(2011.05)

参考までに、2009年の様子はこちら
http://www.panaderia.co.jp/event_report/party_broche/index.html




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