ィンランドで二番目に古い町ポルヴォー。ヘルシンキの東およそ50kmに位置するそこは、以前「フィンランドの立春を喜ぶお菓子。2月5日はルーネベリの日!」で紹介したルーネベリタルトの生まれた町でもあります。

ルーネベリタルトは、ルーネベリの誕生日である2月5日までの限られた期間、フィンランドのカフェやお菓子屋さんに登場する行事菓子ですが、ポルヴォーには一年中食べられるカフェがあると聞き、昨夏ポルヴォーを訪ねてみました。


ヘルシンキからポルヴォーへ行くにはバスか船になります。一時間に1〜5便あるバスを使えば1時間足らずで着いてしまうのですが、私は夏ならではのとっておき、およそ100年前に造られた船・その名もルーネベリ号(m/s J.L. Runeberg)でのんびり4時間、海からの景色を楽しみながら、古都ポルヴォーへ向かうことにしました。時間はバスの4倍以上もかかるのに、運賃も2倍強!
滞在時間の限られる日本人には不向きかもしれないけれど、水路でのアプローチは何ともドラマチック。それに私には船内カフェでのお楽しみがありました。それが、ルーネベリ号限定のルーネベリタルトです。たくさんの観光客を乗せたルーネベリ号は、ヘルシンキを午前10時に出港すると同時にカフェがオープン。喉の渇きと空腹で待ちきれない乗客が列をなしていました。人ごみの隙間からショーケースを覗くとあったあった、ありました。ピンクのアイシングで赤いジャムを囲んだルーネベリタルトが!

ヘルシンキ港出航前のルーネベリ号。

ルーネベリタルトとオリジナルのロゴ入りカップに注いだコーヒー。




ルーネベリ号内のカフェ、ショーケースにはペストリーに並んでルーネベリタルトがずらり。

ピンクのアイシングがチャーミング。


順番を待って、コーヒーと一緒に注文。趣のある船内テーブルでいただきました。

直径5cmほどのルーネベリタルトは、シロップが打ってあるようでしっとり。生地に焼きこんである米粒大のアーモンドがアクセントになっていました。欲を言えばジャムにもう少し風味があればめりはりが出るのかな。

お菓子ばかりを追っている自分をよそに、ルーネベリタルトでコーヒータイムを楽しんでいる隣のご夫婦の雰囲気が素敵でした。

趣のあるクラシックな船内カフェで、ルーネベリタルトを頂いているご夫婦。

ポルヴォー川に入りあと少しで到着。





ルーネベリ号のデッキ。夏の海は風はあるけれど気持ち良い。


ーネベリ号は海からポルヴォー川へと上っていき午後3時前、ポルヴォーに到着。宿にチェックインし、早速古都の散策とルーネベリタルトを食べに歩き始めました。観光局で貰った日本語の地図ガイド「ポルヴォーを歩こう!」を片手に、石畳と木造建築の旧市街や、ます目状の新市街をおすすめルートでざっと2km。ポルヴォーの象徴ともいえる川沿いの赤い倉庫群は、かつての商人たちが貨物を川から海へ運ぶ船の倉庫として使われていたそう。今はブティックやレストランになっているところもあります。倉庫の裏側が旧市街メインストリートで、その一角に一年中ルーネベリタルトが食べられるカフェがあります。

川沿いに並ぶ倉庫群はポルヴォーの象徴のひとつ。

陸側から見た倉庫群のひとつ。お店やギャラリーとして使われているところ。

坂の上から見下ろす石畳と木造建築の街並み。




西の川岸の新木造街地区は、昔ながらの赤い倉庫をイメージして造られた住宅。

フィンランドで最も古い市庁舎(現在ポルヴォー美術館)のひとつが建っている広場では、小さな市場が開催されていた。

旧市街の木造建築には、風見鶏ならぬ猫が!

おっと、その前にルーネベリの家に行かなければ! 新市街にあるヨハン・ルードヴィッヒ・ルーネベリ(1804〜1877)の家閉館時刻がせまっていたからです。19世紀半ばに建てられたクリームイエローの邸宅で、彼が1877年まで家族と住んだ生活ぶりを見学することができるようになっていました。残念ながら内部は撮影禁止でしたが、奥さんのフレデリカがルーネベリタルトを焼いたであろうキッチンにはお菓子の道具などが展示されていて興味深かったです。
入口のミュージアムショップでは、ルーネベリタルトをデザインしたマグカップやトレー、ルーネベリタルトのレシピ付き専用型などが販売されています。これは買いです! 文字だけのレシピ本は英語版がなかったので断念しました。

ルーネベリについて
愛国心あふれるフィンランドの詩人。その作品「わが祖国」はフィンランドの国歌となった。誕生日である2月5日には彼が大好きだったルーネベリタルトがフィンランド中で食べられる。

ルーネベリ公園の中心にあるルーネベリ像。彼の息子、彫刻家のウォルター・ルーネベリが制作した。

ミュージアムショップで見つけたルーネベリタルトの型とレシピ、ピンクのマグカップを買い足しました。




J.L.ルーネベリの家。19世紀半ばの典型的な帝国スタイルで、個人邸宅としては結構広いのでは? 階段をのぼって入口で靴を脱いで見学します。


あ、いよいよお待ちかねのカフェへ。旧市街目抜き通りにあるTee- ja kahvihuone Helmiは、1983年からあるティー&カフェ。店内はクラッシックな雰囲気ですがセルフなので堅苦しさはなく、落ち着いて飲み物とお菓子が楽しめます。売り場には数々の手作りケーキや焼き菓子、ショコラが並んでいました。ショーケースの撮影を歓迎しないお店なので、ごく限られた画像だけですが雰囲気を想像してみてください。こちらのルーネベリタルトは、直径5〜6cm、高さ6cmほど。一口食べてみるとカルダモンやシナモンなどスパイスの香り高く、ふんわりではないけれど、やわらかくてアーモンドの粒粒とほんのりお酒、ラズベリージャムの甘酸っぱさがそそります。

旧市街メインストリートに面したTee- ja kahvihuone Helmi。

レジでオーダーをするとお店のスタッフがトレーにのせて手渡してくれる。

Tee- ja kahvihuone Helmiのルーネベリタルト。中までジャムが絞られていておいしい。


ルーネベリタルトのレシピは数多く存在するそうです。VISIT PORVOO英語サイトにもレシピの一例が載っています。ただし、パン粉は日本のパン粉とは違うビスケットクラムのようなものかと想像しています。日本のパン粉で作ってみたら脂っこい別物になってしまいました。Tee- ja kahvihuone Helmiのルーネベリタルトは、以前現地の方に教えていただいたものに近い、とてもバランスの良い味でした。いつか2月5日前に、いろいろなお店に並ぶルーネベリタルトの光景を見てみたいものです。

次回もポルヴォーの町とショコラトリーを紹介する予定です。どうぞお楽しみに。

VISIT PORVOO(英語)
 http://www.visitporvoo.fi/en

Tee- ja kahvihuone Helmi
 http://www.teehelmi.fi/tee-ja-kahvihuone-helmi/

m/s J.L. Runeberg ヘルシンキ/ポルヴォー間のクルーズ船(英語)
 http://www.msjlruneberg.fi/en/

今回の内容に関連するこれまでの記事
 その10 フィンランドの立春を喜ぶお菓子。2月5日はルーネベリの日!
 http://www.panaderia.co.jp/hokuou/010/index.html






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