文・写真 やぎあすか





フランクフルトの朝ごはん。
以下、左上から時計回りに・・
◆カイザーゼンメル
ごく薄い皮がぱんぱんに張っています。"皇帝の冠"を模したとされるパンですが、個人的に、"王様のおなか"っぽいなあと思っています。リーンな生地なのに、ぷりっと威張っているふうなのがかわいい。 となりは、Kuerbisbrot(キュルビスブロート・・かぼちゃの種つきパン)。さくさくした歯ざわり。
◆ソーセージと肉だんご
かなりかっちりと塩とスパイスがきいています。 ゆがいてから焼いてあって、ちょっと炭化していました・・。ハンバーグはKnoedel(肉だんご)とハンバーグのあいのこ状。
◆ヨーグルト
なめらかなクリーム状で、さっぱりしているけどコクがあります。ドライりんご・あんず・いちじく、シリアルやシード類など、合わせるものがとにかく豊富です。
◆ハーブ入りフレッシュチーズ
ぽそぽそした食感。手前のライ麦パンがみっちりと甘めだったのでよく合いました。


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ライン川下りの起点となり、"ラインの真珠"という愛称をもつ可愛らしい街、リューデスハイムへ。 ドイツ有数の白ワインの産地で、 あの有名なブランデー醸造メーカー、アスバッハがあります。
名所のひとつ、つぐみ横丁(Drosselgasse)では、長さ144mの小路に居酒屋がぎっしりと軒を連ねています。こちら側と向かい側のお店の看板どうしが接触しそうなほど。看板のデザインは葡萄や酒瓶をかたどったものがほとんどで、繊細な細工がすてきでした。
シュペートレーゼやアイスワインなどの試飲もさせてもらいました。寒い朝だったので、甘い火を呑んでいるような心地に。チーズやお肉に合いそうな風味でした。


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ライン川下りの船に乗り込みます。
川の両岸には次々と現れる、美しい織物のような葡萄畑、辺境領主の城や、城壁を擁したままの街。お城の半分は廃墟のようですが、それがまた風情があるのです。虚ろな窓や、天辺がギザギザになっている円塔・苔むした石壁。なんとも中世っぽい!
写真中央は、悪徳司教がねずみ(迫害して殺した農民たちの生まれ変わり?)の大群に喰い殺されたという伝説の残る「ねずみの塔」。朱色とクリームイエローが背景の緑に映えていました。
写真右下は有名な「ローレライの岩」。実は私、これまでローレライについて、ギリシャ神話のセイレーン(歌声で船の舵を狂わせて難破させる半鳥半人の怪物)と同一視していました。今回、きちんとした物語を知って、申し訳なく思った次第です・・。Verzeihen Sie bitte, Fraulein Loreley!
実際は(諸説あるかとは思いますが)もっと哀しい物語でした。
--- 美しいローレライは多くの男から求愛されていたのですが、心に決めた男性がいたためこれらを断り続けていました。これを逆恨みされ、"人の心を惑わす魔女"として裁かれ、監獄に送られることに・・。護送される道中、ちょうどローレライの岩の上を通りかかったとき、ふと下を流れるライン川に目をやると、そこを偶然航行していた舟に、彼女が心を寄せる男性が乗っていたのです。このまま一生会えないのなら、と彼女は護送車を飛び出して、川に向かって飛び込んだのでした。---。
それにしても、写真をご覧になるとお判りになるかと思いますが、崖の頂上から川へ飛び込むにはかなりの助走・・・脚力を要すると思われ、哀しくもたおやかな乙女のイメージとはややギャップがあります。あるいは、「そんなに魔女魔女決めつけるなら、なってやるよ!」という自暴自棄な気持ちも手伝って力が入ったのでしょうか・・。


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10月のラインの風は意外なほど冷たくて、1時間ほどでついにデッキから船内のカフェへ。

◆Trinkschokolade(右下)
あたたかいチョコレートドリンク。生クリームは日本のものより乳脂肪が低めなのでさらさらと舌の上で心地よくとろけます。
◆Eisbiene(右上)
カフェのメニューより、"アイスクリームの蜜蜂"。
「飛んでいくまえに食べて!」という説明がかわいい。目の青い、ドイツ生まれのマーヤです。
◆Roetegruetze(左上)
カフェのメニューより、"ローテグリュッツェ"。
「Gruetze」とは「お粥」のこと。赤すぐりをベースにしてコーンスターチでとろみをつけた、酸味のあるデザートです。ハンブルグ名物として有名ですが、南ドイツでも発見!
「おばあちゃんのレシピに基づく」と書いてありました。
◆Ruedesheimer Eiskaffee(左下)
カフェのメニューより、"リューデスハイム風アイスカフェ"。
ドイツで"アイスカフェ"というと、コーヒーにアイスクリームが載ったものをさします。
そこにブランデー(おそらくAsbachのもの)を加えたものが"リューデスハイム風"のゆえん。
このBecher(器)だけでも売っています。どこかアンナミラーズのコーヒーカップのよう・・。


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◆ハイデルベルグ城(左上・左下・中央)
プファルツ選帝候によって14世紀に建造されたハイデルベルグ城。度重なる増改築によりゴシックやルネッサンスの様々な建築様式がひしめきあっています。壁のみを残して廃墟化し、映画のセットのようになっているものや、内部がドイツ薬事博物館になっている棟も。城下町を一望できる場所もあります。屋根の煉瓦の赤が陽光に映えて美しい!
◆火薬塔(右上)
プファルツ継承戦争の際にフランス軍に爆破されたままの姿で残されています。ちょうど塔の半分が瓦解したむごたらしい傷痕から目が離せなくなりました。
◆聖霊教会(Heilligengeist Kirche)(右下)
1441年に完成した、ゴシック様式の教会。(現在の建物は16世紀に修復されたものだそうです) 教会内部のステンドグラスの1枚が、日本の広島原爆をモチーフにしたもので驚きました。"6.8.1945"と数字も入っています。


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◆ソーセージのメインディッシュ(左上)
サラダ、マッシュポテト、ザワークラウトとともに。マッシュポテトはとってもクリーミー。まったりとした謎のブラウンソースがかかっています。ソーセージは塩気が強めでハーブとスパイスがきいています。
◆Gelbe Gruetze (黄色のグリュッツェ)(左下)
ローテグリュッツェのアレンジ版。いろいろな色のものがあるときいてはいたのですが、これまでにまだ緑しか見たことがなかったので、これは嬉しかった! 桃と林檎と梨をミキサーにかけたものだとか。やさしい味わいで、誰かのおうちに招かれたようなあたたかさのあるデザートです。・・・ちょっとばかり、離乳食っぽくもありますが。
◆Baeckerei(パン屋さん)の看板(左上)
一筆描きの、くるんとしたプレッツェルのマークがパン屋さんの目印。これは比較的モダンな感じ。
◆Zwiebelsuppe(玉ねぎのスープ)(左中)
スープカップにレシピが書いてありました。(中身はコンソメスープでしたが・・) 正しい分量であるかは謎ですが、材料を訳してみます→
−−−大きい玉ねぎ6個、バター100g、胡椒小匙すり切り1、ブイヨン 1と1/2個、白ワイングラスに3杯、すりおろしたチーズ1/2カップ、トースト2枚−−−
ほとんど水分はワインのようですね!
◆Tomatensuppe(トマトのスープ)(左下)
これもスープカップに描いてあったレシピです。→
−−−トマト1ポンド、玉ねぎ1個、にんじん1本、マーガリン30g、ベーコン30g、顆粒コンソメ小匙1と1/4、ハーブ1束、とろみのための薄力粉少々、塩、胡椒、ナツメグ、レモン汁−−−
ご興味のある方、ぜひお試しください!


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朝食のテーブルでは、瞳をキラキラさせたおひさまが、各国の言葉で「おはよう!」と呼びかけてきました。

◆ヨーグルト(左上)
とってもシルキー。やわらかいコクがおいしかったです。
◆Marmelade(ジャム)(左下)
あちこちで見かけるジャムはどれも、コンフィっぽいねっとりとした重さと濃さを持っています。
マーマレードは濃い甘さの後に、しびれるような苦味がゆっくりやってきます。ブルーベリージャムはもはや"ブルーベリーの甘煮"と呼んだほうがしっくりくる風合い。
◆カイザーゼンメル(右上)
きれいな形。クラムとクラストの差があまりなく、あっさりした食べ心地です。
もろもろっとした黒パンは、酸味が無く、甘いダシっぽさがありました。食パンは塩気が強めで、やはりダシっぽい油脂の味が。素朴な顔して、案外とジャンクなパン達。


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"中世の宝石"と形容されるローテンブルグ。城壁の内側に、木組みの家、煉瓦の三角屋根、さまざまな趣向を凝らした可愛らしい看板がぎゅっと詰め込まれているあたり、むしろ"宝石"と呼んでもいいのかもしれない、と思いました。

◆ホテルの看板(右上)
王座についた女性に、使者が鍵を捧げているシーンが描かれた、物語性のある1枚。
◆眼鏡屋の看板(右下)
繊細なフレームがデザインされています。
◆薬屋の看板(中央上)
薬壺に蛇の組み合わせ。
◆ホテルの看板(中央下)
"Goldenes Lamm(金の子羊)"という名前のホテル。もこもこした羊が。
ヨーロッパの宿屋・居酒屋の名前には不思議で味わい深いものが多くあります。"The Prancing Pony(踊る仔馬亭)" 然り。(あれは正確にはヨーロッパではありませんが)
◆ぶっちがいの剣の看板(左下)
何のお店だったか確認できなかったのですが・・中世風の一枚。枠が紋章のようになっています。日本では、学校の校章で"ペン×剣"や"ペン×ペン"のものがありますが、さすがに"剣×剣"はありませんよね・・。


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◆パン屋の看板(右上)
これぞ王道、黄金のプレッツェル。日本では時々、上下さかさまのハートっぽいかたちで扱われることがありますが、正式な上下はこちら。
◆屋根に彫刻(右下)
空の切り取られ方がいちいち綺麗で、立ち止まらずにはいられないので、なかなか先へ進めません。
◆豚の看板(中央上)
可愛らしくぷりっと太った豚の看板・・・・
・・と思ったら、やっぱり肉屋さん(中央下)でした。


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ローテンブルグ銘菓といえば、"Schneeballen(雪玉)"!
直径12cmほどの、球形の揚げ菓子です。リボンのように長く切った生地を、専用の器具(巨大な茶漉しを2つ合わせたような形)にぐるぐると丸めながら入れて揚げるので、どこを食べてもさくさく香ばしく、それでいて意外なほどさっぱりしています。1つ1つが自分の顔ほどの大きさなのですが、ついつい幾つも食べてしまいます。


◆Baecearei Fischer(上3枚)
宿屋の主人に勧められたお店。シュネーバレンの作り方のVTRが流されています。
◆Zitronenschokolade(レモンチョコレート掛け)(下左)
Baecearei Fischerにて。ホワイトチョコレートにちょっとくせがあり。
◆Butterzucker(バターシュガーまぶし)(下右)
また違うお店にて。お店の人にお勧めをきいて買ってみました。シュトーレンと同じように、揚げた後にとかしバターに漬け、粉糖をまぶしてあります。表面がざくざくしてとてもおいしかった!

おみやげでいただいたときにも、以前自分でここを訪れたときにも、数種類食べてみて
「シュネーバレンはコーティング無しの、シンプル系がおいしいなあ」
という結論に至っていたはずなのに、
いざお店でずらりと並ぶ色とりどりの(ホワイト、ミルク、ビター、アーモンド、シナモン、いちご、レモンなど・・そこにさらに線描きなどのバリエーションが)シュネーバレン達を目にすると、どうしてもアレンジものに手が伸びてしまうのです・・・。
でも次は!次にこの街に来た時には、このButterzuckerを各お店で求めて、食べ比べをしてみよう!


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お昼ごはんです。

◆Traubensaft(葡萄ジュース)(左上)
舌の上にじっくりと薫りと甘みがとどまる濃さ。
◆鱒料理(中央)
添えてあるタルタルソースには、数種類のピクルスがたっぷり入っていました。保存食づくりが得意な土地柄らしい!
◆ゆでじゃが(右上)
ゆで、といってもお湯でではなく、おそらくバターでゆでてあるのでは・・という風味。
輝くような黄金色、むっちりした食感、芯までしっかり通ったバターのコク。
いくらでも食べられます!
◆Roethe Gruetze(右下)
またまた出ました。写真ではゼリーのように映っていますが、コーンスターチのとろみが強くきいていて、味はさっぱりしていながらお腹にはなかなかヘビー。しかし、お料理のなかで炭水化物はじゃがいもだけなので、ちょうど良いのかもしれません。ドイツのデザートは、食事の締めくくりの+αというより、そこまで含めて食事、全部食べて栄養のバランスが整うものという印象があります。


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その昔隕石が落ちた跡に出来た、丸い城壁を持つ街です。

◆お菓子の型の噴水(右)
巨大なタルト型とブリオッシュ型が積み上げられた不思議な噴水を発見! 隕石、もしくは地球外生物となんらかの関係が?!
◆Pocket Coffee(中央)
濃いエスプレッソをチョコレートでくるんだ、ひとつ食べるとバチーンと目が醒める甘苦い大人のお菓子です。
長距離を走るドライバーさんに人気で、ドライブインから評判が広まり、今ではスーパーの棚にも並ぶようになったとか。
◆プレッツェル(左下)
できたてバターと合わせたい味わい・・・。


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ロマンチック街道の終点、フュッセンに到着。夕食です。

◆ゆでぶたとじゃがいも(左上)
豚肉はほろほろとやわらかく、やさしい味わい。じゃがいもはむっちりしていて、パン生地に練り込むのにも向いていそうです。ただ、芽を取った形跡のないつるつるした表面がちょっと不思議でした。
◆プディング(右上下)
大人数用にデコレーションされていました。大きなレンゲで掬って取り分けます。コーンスターチか何か、なんらかのでんぷんでゆるく固めてある食感でした。
◆Kaesekuchen(チーズケーキ)(左下)
ドライブインで買ったもの。レモンがきいていました。加熱の際にうまく比重で分かれて、フィリングとタルト風の外皮に焼きあがるタイプ。


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フュッセンの朝ごはん。
また出逢いました、各国語でおはようのおひさま。ローテンブルグの時よりちょっとアダルトな雰囲気。


◆ヨーグルトとシリアル(左上)
ホイップクリームのような質感のヨーグルト。
◆ジャム類(右上)
いちごジャム、ブルーベリージャム、蜂蜜、ブラックベリー・ブルーベリーブラックカラントのミックスジャム、ラズベリージャム。それぞれの果物(蜂蜜は野の花)が手描きされた壺に入っています。
◆カイザーゼンメル(左下)
さくっとしたクラストともちもちしたクラム。バターのみずみずしいコクが引き立ちます。


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ノイシュヴァンシュタイン城への足がかりとなる街、ホーエンシュバンガウ。

◆アルプ湖(左)
霧のかかった幻想的な湖。静かに湖面をゆく白鳥や鴨がどれも魔法をかけられているように見えました。
◆ノイシュヴァンシュタイン城(右上)
アルプ湖は霧のおかげで絶景だったのですが、肝心のお城のほうは残念ながらほとんど見えなくなっていました・・。
ぎりぎりまで近づいて、やっと見えてきました。辿り着くまでの本格的な登山並みの山道に驚き、城の真下に来てみたら、あまり白くないこと(それどころか煉瓦色の部分も)や意外な新しさにびっくり。そして城内に入ってからは、ルートヴィッヒ三世の凄まじい美意識の爆発に度肝を抜かれっぱなしでした。装飾のかぎりをつくした天蓋、屋内人工鍾乳洞、絵巻物のような大広間。まるで玉手箱のような白鳥城・・・純白などではなく、言うなれば極彩色のお城です。
私的な"ヨーロッパ"の甘いイメージはこのお城から湧きだしているかと思っていたのですが、どちらかというとアルプ湖のほうにその源泉がありそうです。
◆碧い川(左下)
霧のホーエンシュバンガウを後にして、オーストリアへ向かう道すがら。美しい水色は、粘土質の川底に秘密があるとのこと。
◆HARIBOボーイとサッカーアイス(右下)
大好物のHARIBOグミ。ドイツでもオーストリアでも、至るところでたくさんの種類を見かけました。これは胴体部にグミの袋がたくさんぶらさがっている、什器を兼ねたPOPです。
そして、ワールドカップ熱の余韻を感じさせるアイスバー。チョコレートの載せ方がなんとものどかです・・。


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オーストリアへ→