スタッフA・・・パナデリアご意見番。繊細で一級品の舌を持ちながら、大好きなカステラの評価はやけに甘い?! スタッフB・・・優しい見かけによらず辛口批評家。大人の雰囲気を醸しつつ好きな味は“お子さま系”、そんなギャップが魅力。 スタッフC・・・生クリーム&バター大臣。イデミとエルメ以外には目もくれない?ゴージャス系。 スタッフD・・・パナのおやつを取り仕切るおやつ隊長。オバQの小池さんのごとくいつもモグモグ。食に対する執着心はパナデリア1! スタッフE・・・チャキチャキの働きマン。フルマラソンを完走するほどの禁欲とお菓子を食べる快楽を両立しようと試みる、笑える新人。 ゲストF・・・熱血フードライター。実直な生産者を求めて日本全国を縦断。素材を語らせたら永遠に終わらない?! |
◆最近の注目株は・・・? 一同:いやあ、食べた食べた。 D:それぞれに個性が出ていて面白かった〜。 F:それにしても、最近、若手のシェフがいい感じだよね。レベルアップしておいしくなってきてる気がする。 B:今回は食べてないけど、先日行った「オ・プティ・マタン」も最高だった!あるもの全部がおいしいってすごいよね。修業した先々で習ったことを吸収しつつ、きっちりオリジナリティを出してるところが偉い! C:昔と違って、最近のシェフは気軽にレシピを伝授してくれるから。ルデュシェフ(ピエール・エルメ・パリ 青山)の講習会のときにも、貴重なレシピをそのまま紹介してくれてびっくりしたし。お陰でパティシエたちは、どんどんテクニックを学んで更に個性をプラスしていくことができる。縦社会だった業界内でも横のつながりができて変わりつつあるんだって。 一同:へえ〜。 C:地方の若手だって、頑張っているんだよ。普段はつい関東や関西ばかりに目が向くけど。この間の、富山は良かった〜。 E:岡山もいいっていいますよね。 D:それは盲点! C:遠くからもたくさんお客が来る店とは違って、基本的には近所の人が対象。無理なくこじんまりやっているんだよね。そのせいか、丁寧に少しずつ作っている良さがあるんだなあ。本来のお店の姿っていうか・・・。 |
華やかなディスプレイはパリのラデュレの雰囲気そのまま |
D:それに比べて、東京でも最近食べた○○はひどすぎる!皮がふにゃふにゃで冷蔵庫臭のするシューなんて、ありえないよ! E:冷凍庫に大量にストックしているんでしょうねえ。または解凍してから時間が経ちすぎなのか・・・。冷凍技術が進化しているのも考えものなのかも。 D:でも、そのお陰で海外のショコラやマカロンが食べられるのは嬉しい限り。 B:何といっても、今年はラデュレだよね。いまだに並んでいるらしいよ。 D:え〜、まだすんなり買えないんだ! B:でも本音を言うと、日本には来てほしくなかったなあ。あれはパリにあってこその価値だと思うんだよね。 E:マカロンはまだしも、ケーキは日本で作っているから全然違いますよね。 F:それをいったら、海外のショコラトリーもそうだよね。ショコラは空輸しているけど、ケーキは企業に委託しているんだもん。それに、同じレシピで作っていても、素材の質が違うから別物になっちゃう。その辺をきちんと理解して提供できる人材が必要だと思うけど・・・。 C:○○なんかは、材料全て、生クリームだってフランスから空輸していますって言ってたけど、ほんとかなあ? 一同:それはありえないよねー。 A:生クリームを運ぼうと思ってもお役所の指導で、簡単には許可がおりないからね。結局、添加物を入れることになるから、本国とは違う味になっちゃう。 E:それに、いくら輸送技術が発達しても、やっぱり無理がありそうですね・・・。 C:北海道から来た○○のソフトクリームだって、ひどいよね。現地で食べたときには、スッと喉越しが良くてナチュラルでおいしかったのに。 D:それが東京に来た途端、ねっとりして口溶けも悪くなっちゃって。乳化剤とか増粘多糖類が入っちゃった感じ。現地と全く同じですよって店では言われたんだけどなあ。 C:せっかくの牛乳や生クリームの味も台無し。 B:便利にはなったとはいえ、何でもかんでも進出するのは考えものだな!・・・って、Aさん、何してるんですか? A:ああ、これ?せっかく神奈川県産の小麦があるから、それでシュトーレンを作っているんだ。 一同:ええ〜?! A:ほら、今、焼きあがったよ。 B:いったいいつの間に・・・。死ぬほど忙しいはずなのに、ほんと、食べものには、どん欲だよね(笑)。 |
◆オーガニックがますます熱い?! A:(モグモグ)・・・ん〜。これ、藤川シェフ(ラ・スプランドゥール)の「マダガスカル」は、おいしい。マンジャリとシャンパンの組み合わせは、キレがあって余韻が華やか。彼のチョコレート使いは独特だね。分離するギリギリのところでまとめ上げる技術は、並みの腕前ではない感じ。このケーキとは違うけど、KAOKAを使った「カカオプリン」もうまい。 D:猿舘シェフ(マ・プリエール)もKAOKAを使っていますよね。この間お店に行ったら、カカオ80%のKAOKAの「ペパデオーロ」を使ったケーキが出ていました。実はショートケーキの次に人気らしいですよ。 E:へえ〜それはびっくり! A:彼はショコラティエとしての経験もあるから、すごくいい舌を持っている。これから期待できると思うよ。それにしても、ここにきてようやく、オーガニックチョコが認知されるようになってきたね。KAOKAのディベール社長は、いいチョコを作るためにカカオ農家の人たちと一緒になって栽培に取り組んでいる。余計な添加物が入っていないから、ピュアで喉越しもすっきりしているのがいいね。重くなりがちな素材だから、こういう軽さがあると嬉しい。 C:ワインだって、オーガニックのものは悪酔いしないって聞きますよ。体は正直なんですね、きっと。 |
◆実はあなどれない?!カリフォルニア産 A:オーガニック素材じゃないけど、今年は意外な発見があったんだ。カリフォルニアにアーモンドとレーズンの収穫の視察に行ってきたんだけど、これがすごく良かった。実はちょっと軽く見ていたんだよね。どうせ味なんて関係なく大量生産してるだろうなと。 一同:へえ、それは意外! A:ドデカイ土地だからもちろん機械化はしているけど、レーズンなんかは、木の下に紙を敷いてちゃんと天日干ししている。甘みもコクもあっておいしかった。お陰で、それを見てからカリフォルニア産を買うようになったよ(笑)。 D:確かに、今まではアメリカ産=おいしくないっていうイメージだった! A:あと、ドライフルーツって、くっつかないようにオイルコーティングしていたり、綺麗に見せるために漂白しているのがあるでしょ。だからよーく洗ってから使うんですって伝えたら、アメリカ人は心外な顔してた。現地ではコーティングも漂白もしていないんだってさ。実は日本でパッキングするときにやっているんだよね。 E:そ、そうだったんだ。そういえばお土産に買ってきてくれたレーズンはおいしかった・・・。 C:Eさんはレーズンフェチだもんね。お土産のレーズン、ほとんど食べちゃったでしょ(笑)。Eさんのまわりに空箱が散乱してたよ。 E:そ、そうかも・・・。 F:日本の消費者は気にしすぎですよね。色も形も大きさも綺麗じゃないと買わない、みたいなところがあって。 D:ナッツはどうですか?ヨーロッパのほうが質が高いイメージがありますが。 A:いやいや、ナッツだって、風味が豊かでおいしいものもあるんだ。ただ、いいものは結局、ヨーロッパに流れちゃう。日本には入ってこないのが現状だね。 E:うーん。それって、チョコレートと同じですね・・・。 |
◆地産地消にはまだ遠い?小麦の現状 D:ああ〜、いい香り!このシュトーレン、まだ早いけど、ちょっとだけ食べてみませんか? B:さすがはおやつ隊長(笑)。おやつには命かけてるもんね。 D:まあ、とりあえず味見ってことで・・・。 C:どれどれ・・・うーん、味が深い! E:さすがは神奈川県産小麦。風味が強いですね。ところで、何の種類を? A:ああ、これはニシノカオリと農林61号を半々で使ったんだ。 B:いやあ、パナデリアが育てたようなもんだよね。ほんと、偉いぞ!・・・って言っても、もちろん、農家の田代さんたちあってのことだけど。 D:これから本格的に広まっていくといいですね。もうこの小麦を使っている職人さんっているんですか? A:残念ながら、使いたくても行政の指導など難しい問題があるから、思うように使えないのが現状なんだ。 C:高橋シェフ(ブノワトン)みたいに、自店で石臼を持っているところがあればいいんだけど。現実には厳しいですね。 F:雑穀とかもそうですよ。いいものを作ってくれる生産者とそれを使いたい職人さんがいるのに、挽いてくれる中間業者がいない。 D:“地産地消”なんてもてはやされているけど、本当の意味ではまだまだうまく機能していないってこと? C:神奈川では個人の小さな製粉業者さんもいるけど、みんな高齢だし後継者もいないっていう話だし。 B:身近な小麦を応援する職人さんや食べ手が、もっともっと増えないとね。 |
◆あいまいな表示が多すぎる! A:神奈川県産小麦のようないい素材はどんどん応援していきたい。でも、その一方で、最近、ちょっと気になる素材があってね・・・。 一同:・・・? A:ケーキを食べるたびに思うんだけど、生クリームが・・・ねえ。 D:何かあるんですか? A:香りも変わってきているし、喉越しも悪くなってる。まあ、どこもある程度の添加物を使っているからね。・・・にしても、最近、乳化剤の種類が変わったんじゃないかな。 C:確かに!口の中に膜ができたり、蝋みたいな食感のものがある! E:でも、表示には生乳100%としか書いていないものもありますよね? A:いーや、それは違うな。表示の規制がそこまで厳しくないから、実は書いていないものもあるんだ。だいたい、何も添加していなかったら、すぐに状態が変わるはず。3〜4日もしたら酸味が出てくるのが普通だから。少なくとも、フランスのものはそうだよね。 F:表示の規制っていう意味では、自然塩とかも同じ。原料は外国なのに、加工地が日本なら“国産”の表示をしていたり、海外から持ってきて、もう1回溶かして再結晶したものでも、“天然”と謳っていたり。最近、改めようって動きはあるみたいですけど。 B:消費者が甘い部分もあるんだろうね。その辺の違いをきちんと見極める目をもたないと! D:生クリームなんか、あんなに日持ちするのはおかしいですよ!記載されている賞味期限は短いけど、実際には驚くほど腐らない。 C:業者のほうでは、賞味期限にはかなり幅をもたせているらしいよ。例えば日持ち1週間って記載されていても、実際には、その倍くらいは品質が変わらないように作られてる。日本人は日持ちしないと嫌がる傾向があるからね。 |
E:そもそも、何故フランスでは添加物を入れなくても平気なんでしょう? A:フランスは、地元で作った生クリームを使っているからね。近くで作っているものだから、フレッシュな状態を保つことができる。でも、日本は輸送距離が長いから難しい。安定剤を入れておかないと、状態が変わっちゃうんだと思う。 D:日本でもフランスと同じようにできればいいのに・・・。 A:フランスほど需要がないからなあ。でも、例えば牛乳なんかは、昔は近くに工場があってね。瓶を持っていってそこで詰めてもらうのが普通だった。お台場とか新橋にも牧場があったらしいよ。 一同:え〜?!羨ましい! C:群馬の東毛酪農には、現地でしか買えない瓶入りの生クリームがあるんですよ!ああいうのが増えて欲しいなあ。 B:フランスのスーパーに行くと、やたらめったら乳製品が並んでいるよね。まるで日本の納豆みたいに(笑)。 E:確かに、日本でももっと選択肢が広がるといいですね。 A:とにかく、生クリームは内容がクリアになっていない部分があると思う。だから、この辺でもう1度きちんと調べてみたいんだ。原点に返って、掘り下げてみたい。もう何度も取り上げている素材だけど、まだまだ伝えられることがあるはずだし。 D:・・・ということは、次回の会報は生クリーム特集ですか? C:賛成、賛成!絶対やりたい! E:じゃあ、早速、ページ構成を考えないと。 |
ラ・メゾン・ドゥ・ビスキュイの「ガレット・ノルマンド」。 濃厚なバターの風味にうっとり |
プラリュの「バールアンフェルナル」。 プラリネ&アーモンド入りの「ノワール」と、 プラリネ&ノワゼット入りの「レ」の2種類 |
B:おっと、クリスマスケーキの試食会とは思えない深刻な展開に(笑)。それもいいけど、もうちょっと楽しくこれでも食べたらどう?ただし、お腹に余裕があったらね。 C:こ、これは、貴重なノルマンディの「メゾン・ド・ビスキュイ」のガレットじゃあないですか! E:それに、「プラリュ」のショコラバーまで! D:うーん、やっぱりうまい!素材のインパクトが違うよね。 B:でしょ?私が思うに、この2つは、絶対来年あたりに流行ると思うんだよね。 C:そうかも!それに、もっと皆にもこのおいしさを知って欲しい〜。 A:よし!じゃあ、パナ一丸となって盛り上げていこうか。来年も会員の皆さんにおいしい情報を届けないとね。 一同:賛成! |
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