そう、4日目の朝、事件は起こりました・・・。

〜前夜、ブノアからの帰りの電車で〜

スタッフS :「○○だけ場所が離れてるんですよね。早く出発しないと厳しいかなぁ」
スタッフY:「じゃあ、私朝一で買ってきましょうか?」
一同:「えー本当!じゃあ、お願いしまーす」



時差に旅の疲れでもうクタクタ。そんな中、1人元気なスタッフYは朝6時に起床。身支度を整えて、いざ○○へ出発したのでした。


一つ目の悲劇は車中で起きました。

「ガラガラだから、電車の風景でも撮ろうかな」

・・・ん?・・・あれ??

がーん!!

そう、スタッフSから借りたカメラにはカードが入ってなかったのです。

急遽、ホテルに戻り、気を取りなおして再出発。


(やっと手に入れたカメラで、駅のホームをパシャッ!)



ところが、本当の悲劇はここから始まるのでした。


2つ隣の目的地「ANSESSE」駅へ到着。降り立ったホームは、スプレーで落書きされ、殺伐とした雰囲気・・・。

“こ、怖いかも・・・”

コソコソと地図を開くと、どこにも○○の名前がないのです!



“あれ?確かに○○って言っていたのに・・・”

と目を皿のようにして探してもどこにもない・・・。


慌てて他の地図も調べてみると、全然反対方向の遠く離れたGLACIERE駅のページに○○の文字がありました。

“どうしよう・・。でも、せっかく早く来たからなぁ”

本当に携帯がないって、不便です。
時計を見ると、すでに8時をちょっと回ったところ。
片道30分とて、予定の10時にはギリギリ間に合いそう。


「よし、行ってみよう!」


(サンジェルマン店とは異なるモダンでシャープな雰囲気)


実は、○○とは「ローラン・デュシェーヌ」のこと。なぜか、前夜の会話で、「グルニエ・ア・パン」と「ローラン・デュシェーヌ」の名前がゴチャゴチャになっていたのです。(一文字も合ってないのに・・・)


ローラン・デュシェーヌで、パンを買い、大急ぎでホテルへ。やっとの思いで駅に到着すると、なぜかホームに、見慣れたMの心配そうな姿が!


「あー良かった!!!もう、死んじゃったかと思った〜!!!!」


・・・え?確かに遅くなったけど、し、死んだりはしないかも。


「もう、殺されちゃったんじゃないかって心配してたんだよー!あー良かった!」


と胸をなでおろすM。



なんて間抜け!
そう、みんなは、たった2つ隣の駅にある「ル・グルニエ・ア・パン」に買いに行っただけなのに、いったい何が起こったんだろう・・・と心配してくれていたのでした。

この後、みんなから散々に言われたことは言うまでもありません・・・。



さて、気を取り直して再スタート!
「ル・グルニエ・ア・パン」へ。




(お店のかわいらしさに大興奮。パンの見せ方も上手!)


まるで、おとぎ話の絵本から現れたような、カントリー調の可愛らしい店内。木の棚のあちこちに、飾られたアンティークのキャニスターがセンスの良さを物語っています!


(パンを焼く様子もしっかり見ることができます)



電車に乗り、
歴史あるM.O.Fパティシエの店として日本でも人気の「ジャン・ミエ」へ。



「ジャン・ミエ」と言えば、有名シェフの修業先としても有名なお店。どんなに堂々とした店構えなのかと思いきや、イメージとかけ離れた古い喫茶店のような雰囲気にちょっとびっくり。

(古き良き伝統の味がしっかりと息づいています)(マジパン細工も種類が豊富)


エクレア(カフェ)  

酸味の強いカフェクリームはインパクト大!表面のグラサージュはツヤツヤ。でも、洗練されたというよりは町のケーキ屋さん的な安心感のある味わいです。
フィナンシェ  

ふっくらと厚みがあり、口当たりの良いフィナンシェ。バターたっぷりで、キャラメルのようなミルキーな風味がフワッとやさしく広がります。ケーキのショーケースに入っていたのにびっくり!
ババ  

驚いたのはお酒の量!お皿に乗せたケーキに、ジャバジャバとコニャックを振りかけてサーブされます。想像通りの、酔っ払いそうな味でした。



そして、因縁の(?)「ローラン・デュシェーヌ」を再訪。



(おいしさを予感させる気品漂う店構え)


お店があるのは、ジェラール・ミュロのマカロン&ショコラ専門のショップやカイザーも店を構える13区。
新興住宅地なのか、比較的新しい大きな建物が目立ちます。

ベージュのファサードに描かれた、ダークブラウンの筆記体がなんとも上品。お菓子のM.O.Fを持つローラン・・デュシェーヌ氏は、なんとパンでも高い評価を受けており、クロワッサンでは賞を受賞したほどの腕前。
店内には、パンやケーキ、焼き菓子にショコラと魅惑的なアイテムがたくさん!どれもキラキラと輝くようで、あれも欲しい、これも食べたい!と興奮するパナデリア一行。

(丁寧な仕事ぶりが伺える逸品が並びます)(全部食べたい!)



店内には、パンやケーキ、焼き菓子にショコラと魅惑的なアイテムがたくさん!どれもキラキラと輝くようで、あれも欲しい、これも食べたい!と興奮するパナデリア一行。
そんな中、登場したローラン・デュシェーヌ氏は、物腰のやわらかい、素敵なジェントルマン。
ところが、

「今朝、買いに来た方ですよね?」

と不審そうな表情を浮かべる・デュシェーヌ氏。
実は、一般人のフリをして買いに行った通称“隠密取材”は、思い切り怪しまれていたのです。ご挨拶をすると、やっと事情がわかり、ホッと一安心、笑顔を浮かべたデュシェーヌ氏でした。
残念ながらサロン・ド・ショコラ東京には来られないそうですが、春にはル・レ・デセールのイベントのため日本を訪れ、講習会をする予定だそうです。


(ル・コルドン・ブルーで講師の経験をもつデュシェ-ヌ氏)


ショーケースに並ぶケーキは、エルメやアオキを思わせるスタイリッシュさと、つやのある華やかな色合いが素晴らしい!フルーティな香りの活かし方や繊細な味わいが、ケーキの完成度を高めています。

みんなに迷惑をかけたスタッフYでしたが、因縁から一転、忘れられない思い出のお店になりました。

Sao Tome サオトメ  

話題のサオトメがここにも。個性的なサオトメのクリーム(ショコラ)は、気泡がなくなめらか。一番下のサブレの食感がよく、力強さの中に繊細さを感じる一品。
Passionata パッショナータ  

ミルキーなガナッシュと、キャラメル&パッションフルーツのクレームブリュレの組合せ。濃厚なのに軽さがあるのは、やはり生クリームの力でしょうか。まるで、ボンボンショコラを口にした時のような一体感が素晴らしい。
Macaron figue Framboises マカロン フィグ フランボワーズ  

少しクチッとしたマカロン生地の間にはフレッシュなフランボワーズとイチジクが。フワッと軽いクリームは、生クリームとクレームパティシエールにほんのりキルシュが香り、瞬く間にスッと溶けてしまうよう!フルーツとの相性が抜群です。
Rubis ルビ  

ホワイトチョコレートのムースは練乳のようなやさしい乳風味。中央に忍ばせたフランボワーズの果肉入りジュレが、香りと爽やかさを高めています。
タルト オ ポンム  

あまりのおいしさに2個も食べてしまったのがこれ。香りと酸味がギュッと凝縮したフランスのリンゴは、秋冬のマスト素材ですが、これはその中でもダントツ。見た目の美しさもさることながら、程よく食感を残したリンゴ(上)とピュレ状のリンゴ、そしてサクサクのサブレの食感が見事です!



バゲット  

薄くパリパリとしたクラストに、儚さを感じるほどきめ細かく軽いクラム。ふんわり口どけの良い生地に、ケーキに通じる繊細さと上品さを感じます。
クロワッサン  

細身のスタイルで、バゲット同様、軽さのある作り。外側はサクサクハラハラで、中はふんわり。かみ締めるほどに、バターの上品な風味がギュッギュッと溢れてきます。
ブリオッシュ  

きめ細かい生地は、サクッと軽い食感で口どけが抜群。卵よりもバターの香りが立ち、シンプルでさっぱりとした味わいです。
ショーソン  

サクサクとした食感と、ジューシーなバター感を併せもつフィユタ-ジュに感動。トローッと絶妙な煮崩れ加減のリンゴのコンポートは、甘さを抑えてあり、その分香りの高さが活きています。フランスのリンゴはすごい!
ル パリズィ  

イル・ド・フランス地方に伝わる伝統菓子「Le Parizi」なるものを発見!表面をカリカリに焼き上げたマカロン生地の下に入っているのは、大きめにカットしたオレンジピールとチョコレート。少しかための食感で、ずっしりと濃厚な味わい。10日ほど日持ちがするので、お土産にも最適です!


サロン・ド・ショコラ会場へ


今日は、グランプリ発表の日。大急ぎで、会場へ戻ります。


(晴れやかな笑顔の受賞者の皆さん。おめでとうございます!)




食べ過ぎの体が欲するのは、なんといっても“野菜”!
そんなわけで、地元パリジェンヌたちでにぎわうにあるベトナム料理店「Kim Lien」が、今日のシメとなりました。

(ここはパリ?エビの生春巻きは少し大きめです)(甘めの味付けがパリ風(?)のベトナム焼きそば)




サロン・ド・ショコラ取材は今日でおしまい。

明日からは、ケーキとパン食べるぞー!と誓ったパナデリアなのでした。
(つづく) サロン・ド・ショコラの詳しい内容は、PANADERIA会報誌23号でご紹介しています。
お申し込みはこちらから!






〜 Shop Data 〜
<ル・グルニエ・ア・パン>
38,rue des Abbesses 75018 Paris Tel:01.43.37.54.20
<ジャン・ミエ>
103,rue St-Dominique 75007 Paris Tel:01.45.51.49.80
<ローラン・デュシェーヌ>
2,rue Wurtz 75013 Paris Tel:01.45.65.00.77
<Kim Lien>
33,Palace Maubert 75005 Paris Tel:01.43.54.68.13




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