2009年10月中旬、パリ南端・ポルトドヴェルサイユにて「サロン デュ ショコラ」が開催されました。
1996年、チョコレートメーカー・ヴァローナのもと、チョコレートで作られたドレスが登場し、世界の注目を浴びた第1回目から、今年ではや15年。
98年にはニューヨーク、2003年には日本、05年に北京、翌年モスクワ……と、いまや世界じゅうが注目するチョコレートのイベントになりました。
毎年、恒例の会場となっているパリ市内・ポルトドヴェルサイユの大きな会場は、プロフェッショナルだけでなく、世界中のチョコレート好きの人々でごったがえし、活気にあふれかえります。
さらに今回は、2007年から隔年で開催されているプロや業者向けの、「サロン デュ ショコラ・ プロフェッショナル」の第2回目にもあたります。今回のプロフェッショナルの内容は、前回にくらべ、様々なイべントやブースがさらに充実してパワーアップ。数々のチョコレートのコンフェランスや実演だけでなく、期間中には、チョコレートの“クープドモンド”ともいえる、世界のショコラティエが競う、チョコレートのコンクール「ワールドチョコレートマスターズ2009」が開催されました。



パリの南・15区のPorte de Versailleの展示会場で毎年行われるサロンドショコラは今年で15回目。一昨年から隔年で始まった、プロ向けのイベントがそろったサロン デュ ショコラとしては、今年で2度目を迎え、さらに充実した内容に



そしてこの展示会にあわせて、前夜祭にファッションショーが行われるのは毎年恒例の注目イベント。今年のショーのテーマは「オペラ」。
中央の特設ステージで、劇場さながらの迫力ある「オペラのワンシーン」を、モチーフとした、チョコレートのドレスをまとったモデルさんたちが、次々と登場しました。



主催者の2人・ドゥース&ジャンテ夫妻の挨拶で、ファッションショーが始まります



まず最初は、カカオの産地、南米やアフリカの大地を思わせる、カカオの実をあしらった衣装の女性が、会場に響き渡る歌を披露。彼女のコスチュームはヴォワロンのショコラティエ、ボナー氏によるもの。



今年のテーマは「オペラ」。カカオの育つ、豊かな大地を思わせるようなカボスのモチーフと、厚みのある歌声が会場に響くオープニング



そのほか、仮面をかぶった豪華なドレスの女優さんや、少女達が華麗に踊るバレエの集団の中に、颯爽とあらわれるバレリーナの女性、大きな絵画のフレームの中のミューズ(女神)・・・など。ストーリー性のあるテーマゆえ、モデルさんの演技や装いも生き生きとしたもの。「どの衣装を手がけたのがどのショコラティエか?」と審査員が思いめぐらす中、総勢二十数組の作品が次々と発表されます。
その美しさにためいきがでるばかりでなく、これがすべて繊細なチョコレート細工で表現されているという事実に、あらためてその技術やアイディアのすばらしさを実感します。



チョコレートでできた、繊細な衣装をまとったモデルたちが、次々と登場。神話や戯曲、童話などをモチーフにした、夢のあるアイディアを楽しめる。まず、ファッションショーは作り手やデザイナーはシークレットで発表される。どんなショコラティエが手がけたのか、観客側が想像力をかきたてられるのも恒例に


そしていよいよ、ショコラティエや衣装デザイナーの登場です。衣装をまとったモデルとともにあらわれたのは、ピエール・マルコリーニ氏や、ミッシェル・クルイゼル氏、フランソワ・プラリュ氏のほか、バリカレボーなど、有名ショコラティエメーカーの名だたるショコラティエたち。全員がステージにたつファイナルでは、大歓声が起こり、甘く、香りの高いチョコレートの祭典にふさわしいショーとして、華やかな雰囲気で終了しました。



ミッシェル・クルイゼル氏によるデザイン。太陽を思わせる、オレンジ色の大輪の花が印象的な帽子が見事



舞台いっぱいのダイナミックな作品は、ピエール・マルコリーニ氏によるもの。チョコレートで作られた見事なアール・デコ風のフレームにゆったりとたたずむ男女は、まるで一枚の絵画のよう



豪華で甘い香りのする、チョコレートの衣装をまとったモデルや女優、歌手で一巡したファッションショー。さらにデザイナーとショコラティエを明かして、もういちど登場します!
チョコレートの盾と矛をもったかわいらしい女性の勇者。遊び心いっぱいの衣装は、アルノーラエール氏によるもの




フランスのテレビM6のインテリア人気番組「D&Co」で人気のジャーナリスト、Valerie Damidot (ヴァレリー・ダミド)氏も ショコラティエJean-Luc DECLUZEAU(ジャン・リュック・デクルゾー)氏とともに登場。氏はこのほか、会場に飾られた、レオニダス社のチョコレートのオペラ座のオブジェも手がけている



真紅のドレスにチョコレートをふんだんにあしらったドレスは、メゾン・デュ・ショコラのショコラティエ、ジル・マルシャル氏が製作。優雅でかわいらしい雰囲気のドレスに、会場に歓声が沸きました



プラダのアガタ・ルイ氏のデザインを、メゾン ド ボナーのボナー氏がチョコレートで表現。ハート型のモチーフがとても愛らしい雰囲気に



舞台に登場したモデルさんが、再びステージ上に集合し、とても華やかなフィナーレに。デザイナーさんやショコラティエも加わって、チョコレートの祭典の幕開けにふさわしい舞台となりました



今年逝去した、ルノートルのガストン・ルノートル氏の業績をたたえ、ステージ上でも追悼のイベントが。ファションショーのリハーサル中に、熱心に耳を傾けるシェフたち



ショーの最後には、ガストン・ルノートル氏が60年代に考案したとされる、「フィーユドトンヌ」を、会場のパティシエたちがひとつずつ手に持ち、彼の偉大な功績を称え、追悼の意を示しました。この後、エコールルノートルの生徒たちの協力で、会場にいた全員にこのケーキが振舞われました



このほか、展示会場には、オペラにちなんだ作品が展示。
会場に入ると、「ダロワイヨ」のスペシャリテの“オペラ”をモチーフにしたピエスモンテが。ジャンポールエヴァンやシャポンなどの、オペラにちなんだチョコレート細工を展示するブースも。さらに、ベルギーの「レオニダス」による、チョコレート製のオペラハウス。スワロフスキーをちりばめた、輝くオペラハウスが、チョコレートで再現され、会場がひときわ華やいでいました。



7000個のスワロフスキーをあしらった、オペラハウスは、レオニダス社の展示。ひときわ輝くこのオペラハウスは、道行く人の注目の的に



女性の曲線美と弦楽器をモチーフにした作品



日本のチョコレートメーカー「メリー」の新ブランド・TOKYOショコラも登場。オペラをイメージしたボンボンショコラ。かろやかな音符の描かれた、ケーキのようなボンボンショコラ



パリのショコラティエ「シャポン」のパトリス・シャポン氏による、オペラでバレエを練習する少女をモチーフにした作品



まさにチョコレート尽くしといった会場には、連日、長蛇の列で、甘い香りの中、お目当てのショコラを探す人々でいっぱいになります。
さて、各ブースの紹介やデモンストレーションなど、気になる話題は、次回お届けする後編でご紹介します。お楽しみに。





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