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取材・文 佐々木 千恵美 |
京都は宇治にある老舗製茶問屋(創業:1861年)、山政小山園が立ち上げた究極の抹茶体験プロジェクト「ALL FOR ONE」の第1弾、Toshi Yoroizuka 鎧塚俊彦氏とヒルトン東京エグゼクティブ・ペストリーシェフ播田修氏とのコラボレーションスイーツお披露目試食会に伺ってきました。
*「ALL FOR ONE」についてはPanaderiaのこちらの記事もあわせてどうぞ。 http://www.panaderia.co.jp/event_report/allforone/index.html ヒルトン東京内のバンケットルームを会場に、12月8日、応援購入サービス「Makuake」での販売がスタートするその日に行われたお披露目試食会には、プロジェクト発起人の山政小山園取締役 小山雅由氏、鎧塚俊彦氏、播田修氏と株式会社マクアケ共同創業者取締役 坊垣佳奈氏の4名が登壇。プロジェクトのコンセプト、経緯、スイーツに込めたストーリーなどをお話しくださいました。 |
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はじめに小山雅由氏から、プロジェクトを立ち上げる動機について興味深いことを伺いました。20年前と今とでは、抹茶の立ち位置が変化してきたというのです。 20年前の抹茶といえば、茶席などで飲むものでしたが、今は食べ物として認知されるようになりました。とても身近になり喜ばしい反面、本来の味からは遠くなってしまい、訪問した中国では抹茶が飲み物だと知らない人がいたことに驚いたそうです。 抹茶本来の味を知ってもらいたい。 生産者が人生をかけて育てた「これぞ、抹茶だ」という味わいを知ってもらいたい。 そのために個性の違う人たちが集まれば新しいものが生まれるのではないか。 そこでフランスの作家アレクサンドル・デュマ作「三銃士」に出てくる言葉「ALL FOR ONE」からヒントを得て、共に創り上げるこのプロジェクトの名前としたそうです。 |
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「ALL FOR ONE」ブランドのキーヴィジュアル |
第1弾の最高級抹茶とスイーツのコラボレーションでも、飲み物としての抹茶を再確認してほしいと、ペアリングの抹茶を用意。試食会では参考までにと、平均的な品質の抹茶との比較も準備されました。実際その場でたてた2種類を飲んでみると本当に分かりやすく、どういう仕事がされているのか知りたくなります。
抹茶の原料となるてん茶は、普通の茶葉と違い日光を遮るようによしずなどで茶葉を覆い栽培します。そうすることでカテキンの苦みが少ない、うま味のある茶葉が出来ます。さらに手間をかけての加工で、雑味のないおいしい抹茶になるそうです。 まろやかな甘さと深いコクの抹茶と、渋みを感じる抹茶。私自身美味しい抹茶を飲んでいなかったことに気づかされました。 |
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「ALL FOR ONE」プロジェクトに使われるてん茶(左)を石臼で挽いていくと抹茶になる(右) |
ひと口目から余韻まで心地よい甘さの希少な最高級抹茶を、スイーツで表現したらどんな美味しさになるのか!? 期待は高まります。 |
◆鎧塚シェフコレクション「至高の抹茶テリーヌ」 |
出身地が京都・宇治で、茶畑を見て育ったという鎧塚シェフの作品「至高の抹茶テリーヌ」は、シンプルを突き詰めた、引き算による究極の抹茶スイーツ。
「抹茶は繊細で高いものほど難しい素材。製菓用抹茶とは味の出かたも違い難しい。それだけに無駄には出来ない。その繊細さを引き出すには、素材を足していくより引き算していくしかない。それは極上のフルーツはそのまま食べるのが一番なのと一緒のこと。」 鎧塚シェフは語ります。 「ただお菓子だから卵も乳製品も使います。テリーヌは焼き菓子だけれど、焼くというより火入れの仕方、芯温が80度以上にならないように気を使い卵や粉にじっくり火を入れ、焼き上げ後すぐに遮光フィルムで覆い瞬間冷凍します。何故なら良い抹茶ほど色や風味が光と熱でダメージを受けやすいので、そこをリスペクトしながらベストな方法を選んで制作しました。」 |
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「至高の抹茶テリーヌ」を作る現場。最上の抹茶の味わいを最大限に引き出し、そのままを食べ手に伝えたい。 |
まろやかで繊細な甘みが広がり、なめらかな食感に和栗のほっこり感がアクセント。ひと口ごとに味覚センサーに伝わる香りと余韻を楽しむことができます。 |
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◆播田シェフコレクション「thé thé (テテ)」 |
「普段から抹茶スイーツを作っているけれど、より素材を深掘りするために小山氏の辻製菓専門学校の特別講義を受けに行った。歴史や香りなど知らなかったことを学んで刺激になった。感銘を受けた。」
テーマ性を持たせて、素材を組み合わせるなど飽きさせないスイーツビュッフェを作る播田シェフは受講後、今回のプロジェクトに当たり考えを変えました。素材である抹茶をマリアージュさせるより、抹茶にフォーカスし、洋菓子の手法でいろいろな濃淡をつけながら表現することにしたのです。 |
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「thé thé(テテ)」に茶畑を描く播田シェフ。色々なアプローチにチャレンジできたことは貴重な体験。 |
「ストーリーあるものにしたいから見た目を歴史と地層の断面に、上部は上空から見た抹茶を育てる茶畑の色をイメージし、抹茶という食材にいろいろな食感と濃淡をつける足し算をしました。 いい抹茶にはミネラル分、うま味、塩味があるように感じる。そのうま味をフルールドセルで昇華させる。 この1本に23gもの抹茶を使っているが、通常の抹茶を同じ量使ったら苦くてとても食べられない。この抹茶だからできるお菓子が完成しました。」 上空からてん茶畑を旅するように眺め、上から底までをひと口いただけば、塩味とサクサク、マスカルポーネチーズのうま味とコク、味わいのグラデーションが花開いていきます。旅の締めくくりは飲む抹茶とのマリアージュ。抹茶って苦いだけではないのですね。 |
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偶然にも、引き算、足し算と対局の作品となった今回のプロジェクト。食べ比べをするのも面白く、奥深い抹茶の世界を探求できるチャンスとなりました。 今までなんとなく抹茶を味わっていた人、詳しい人、苦手な人、良く知らない人、いろんな方にぜひ、農家さん、製茶屋さん、パティシエ、それぞれの作り手の想いを感じていただければと思います。 国内の抹茶原料葉生産量の 0.03%の希少な抹茶を使用して開発したこれらオリジナルスイーツ2種類に加えて究極の抹茶や茶せん、エプロンなどがセットになったプランもあります。応援購入サイトMakuakeで、商品が生まれる瞬間に立ち会ってみませんか。 締め切りが迫っています。詳しくは下記サイトをご覧ください。 |
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